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チャネルの強制閉鎖 (Force Closure)はなぜ起きるのか?
ペイメントチャネルの二者間がオンラインでいるにもかかわらず強制閉鎖される場合があります。自分のノードだけがこの問題に悩まされているのかなと思いましたが、以下のツイートを見る限り強制閉鎖は頻繁に起きているのが現状のようです。 強制閉鎖される主な理由はHTLCのタイムアウトによるものです。なのでこのタイムアウト時間を長くすることである程度緩和できるかもしれません。以下のリンクのようにLNDはデフォルトのHTLCタイムアウト値(CLTV)が40から80ブロックへ変更されました。 タイムアウト値を長くすることで強制閉鎖を緩和できるかもしれませんが、上記のツイートにあるようにソフトウェアのバグや複数の条件が重なることで起きており、根本原因の究明は難しそうです。 ・・・ 強制閉鎖されると大きな痛手を負う場合があります。以下がその一例です。 手数料高騰している場合 HTLCが追加されていない場合 複数のHTLCが追加されている場合

ルーティング要求のレート制限で資源効率を向上させる
前回の記事でDiamondhandsノードのルーティングエラー統計について紹介しました。このルーティングエラーの中には自身ではどうにもできないエラーがあり、前回の記事ではエラー番号99がそれであり、DOWNSTREAM_ERROR、後続エラーなどと呼んでいます。そのようなルーティングエラーが多発している場合、そのルーティング要求をしているノード、チャネルに対してレート制限を掛けることが望ましいです。 また、DOWNSTREAM_ERRORを多発させている先行チャネルを特定して、そのチャネルからのルーティング成功率や収益性などを調べてみます。DOWNSTREAM_ERRORが多発していても、ルーティング成功回数や金額が多く収益性が良い場合はレート制限をすると収益が落ちる場合があります。なので、DOWNSTREAM_ERRORを多発させているかつルーティングの収益性が悪いチャネルを特定させて、そのチャネルに対してレート制限をかけてみるのが良さそうです。 以下の画像はルーティングエラーの統計データからある1日を選んで、チャネル別にエラー回数を集計したものになります。

Package relay がメモプール混雑時のLN送金効率を向上させる
最近のビットコイン手数料の高騰下では、レイヤー2のライトニングでもその影響を受けています。手数料の高騰下ではメモプールが混雑している状態なので、手数料が低い状態でチャネルを閉じようとしてもなかなか承認されません。オンチェーン手数料は常に変動するので、LNではチャネルを閉じるためのトランザクションの手数料もそれに合わせて更新しています。チャネルを閉じる方法は2種類あって、お互いが協調する場合と協調しない場合です。協調的にチャネル閉鎖する場合は、二者間で手数料の交渉を行います。一方、非協調的にチャネル閉鎖する場合は事前に更新された手数料が使われます。この時更新された手数料が適応されるトランザクションをCommitment Txと呼び、二者間の最新の残高がそれぞれアウトプットに割り当てられており署名もされています。このTxは二者間がそれぞれ保存し、どちらかが長時間オフラインになった場合など、協調的にチャネル閉鎖できない場合にブロックチェーンへ送信します。これが非協調的にチャネルを閉じる仕組みです。 LN送金の都度、二者間の残高を更新するためにCommitment Txが更新されますが、それと同時にこのTxの手数料も更新されます。二者間の残高が更新されるわけですが、手数料が増加した場合、送金金額の上限が低くなります。上限値を越えた金額を送金しようとしていた場合、送金が失敗します。具体的には、A - Bのチャネル残高が0.1 - 0.8と手数料0.1の合計1BTCという場合に手数料が2倍に高騰したとします。この時、AがBへ0.1BTC送金しようとすると、手数料を0.2へ更新して、Aの残高から0.1引いてBに0.1足す必要があります。しかし、手数料が0.2になったのでAの残高が0になり送金可能な金額がなくなってしまいます。Commitment Txの手数料を払うのはチャネル開設者で、上記の例はAがチャネル開設者と仮定しています。もしBがAへ0.1BTC送金した場合、0.1 - 0.7と手数料0.2というチャネル残高になります。 上記の理由により手数料の更新ルール`update_fee`を廃除したいという思いがあります。しかしその場合Commitment Txの手数料が低すぎるとブロックに取り込まれません。そのためにAnchorアウトプットと呼ばれるアウトプットがCommitment Txについています。このAnchorアウトプットを使うことでCPFPによる手数料のバンプが可能になります。ただし、CPFPをするには親Tx、この場合Commitment TxがMempoolに存在しないといけません。手数料高騰時にはCommitment TxはMempoolにすら入ることができない場合があります。この問題を解決する仕組みがPackage relayになります。これは関連するトランザクションを1つのパッケージにしてMempoolに送信することができ、そのパッケージ内のトランザクションの平均手数料率が適応されるというものです。これによりCommitment Txの手数料調整を気にする必要がなくなり、低い手数料で非協調的にチャネルを閉じた場合でも、Anchorアウトプットでの手数料バンプで調整することができるようになります。 <iframe style="position: static; visibility: visible; width: 550px; height: 433px; display: block; flex-grow: 1;" id="twitter-widget-1" scrolling="no" frameborder="0" allowtransparency="true" allowfullscreen="allowfullscreen" class="" title="Twitter Tweet" src="https://platform.twitter.com/embed/Tweet.html?dnt=true&embedId=twitter-widget-1&features=eyJ0ZndfdGltZWxpbmVfbGlzdCI6eyJidWNrZXQiOltdLCJ2ZXJzaW9uIjpudWxsfSwidGZ3X2ZvbGxvd2VyX2NvdW50X3N1bnNldCI6eyJidWNrZXQiOnRydWUsInZlcnNpb24iOm51bGx9LCJ0ZndfdHdlZXRfZWRpdF9iYWNrZW5kIjp7ImJ1Y2tldCI6Im9uIiwidmVyc2lvbiI6bnVsbH0sInRmd19yZWZzcmNfc2Vzc2lvbiI6eyJidWNrZXQiOiJvbiIsInZlcnNpb24iOm51bGx9LCJ0ZndfZm9zbnJfc29mdF9pbnRlcnZlbnRpb25zX2VuYWJsZWQiOnsiYnVja2V0Ijoib24iLCJ2ZXJzaW9uIjpudWxsfSwidGZ3X21peGVkX21lZGlhXzE1ODk3Ijp7ImJ1Y2tldCI6InRyZW

Validity Rollupsとビットコイン
ビットコイン上でzk-rollupをする提案「Validity rollup」についての備忘録。ゼロ知識証明の検証にはそれ専用のOPコードの追加が必要ですが、それを使ったユースケースを考える場合、どうしても再帰的なコベナンツが必要になります。ビットコインの場合、コインを送信するためには署名が必要で、署名さえあればそのコインを自由に扱うことができます。逆に言えばコインの送金金額や送金先の制限をかけることができません。以前の記事でこれらの制約をかけることのできる特徴をリッチステートフルネスと呼び、それをもつイーサリアムともたないビットコインについて紹介しました。このリッチステートフルネスを持たないビットコインだとどうしても表現できることが少なくなりますが、一方でバグが少ないシステムだと言えます。そのため、ビットコイン上でzk-rollupをするには1.ゼロ知識証明の検証と2.再帰的なコベナンツが必要になります。 ゼロ知識証明について、イーサリアムではどのように検証しているか見てみました。その検証には、楕円曲線上での加算、乗算とペアリング暗号が必要で(イーサリアムでは主にzk-SNARKを対象としている)、そのため2017年にプレコンパイルされたコントラクトの導入をしています(EIP196, EIP197)。これらのOPコードを使いゼロ知識証明の検証をスマートコントラクト(ブロックチェーン/フルノード)で実行させて、その証明が有効だったらオフチェーンで管理しているユーザーの残高情報などをマークル木でまとめたデータ(コミットメントと呼ぶ)を次の状態として更新させています。ちなみに以下がイーサリアムのプレコンパイル一覧。 ビットコインで同じようなことをしようとした場合、ゼロ知識証明の検証に必要な新しいOPコード(OP_STARKやOP_ZKP)が必要なのはもちろんですが、再帰的なコベナンツの導入が必要不可欠です。なぜならロールアップによる状態遷移をする度に必ず指定されたロールアップ用アドレスへビットコインを移転させる必要があるからです。現状のビットコインではUTXOを消費するために署名をしてしまうと、コインの送付先を自由に決めることができてしまいます。ロールアップ用アドレスとは無関係なアドレスへ送付できてしまうと、ロールアップに参加しているユーザーの出庫用コインがなくなってしまいます。なので、再帰的なコベナンツを使って状態遷移するごとに指定されたアドレスに対してコインを送付させる必要があります。 Validity Rollupsをするにはコベナンツを使いビットコインの送付先を制御する必要があることは分かりました。さらに面白いことに、コベナンツさえあればゼロ知識証明の検証に必要なOPコードがなくても、それを表現することができると言われています。イーサリアムでもEIP196, EIP197がなくてもzk-SNARKは可能だけど、それだと実行コスト(ガス代)が高くなるので、プレコンパイル済みのOPコードにしているみたいです。以下、<a href="https://github.com/ethereum/EIPs

同一HW内でのUmbrelでのノード再インストール&移行備忘録
上記リンクの通りなのですが、出来心でruncをアップデートしたところ、Umbrelに必要なパッケージが削除されてしまい、解決策が見つからなかったためUmbrelの再インストールとLNDノードの移行を行いました。 将来またやらかしそうな気がするので、以下にノード移行の手順を記録しておきます。今回は同じハードウェア内での移行ですので気が楽です。下記リンク等ちゃんとした解説記事があるので、余程recklessじゃない限りはそちらを参考にしてください。 Umbrelのバージョン:v0.5.3OS:Ubuntu 22.04.2 LTS きちんと計画しての移行であれば全チャネルをdisableしてHTLCがゼロになるまで待った上でUmbrelを停止してからスタートするべきですが、今回は既に停止してしまっているので割愛。 1. まずは最低限必要なデータの避難から・シードフレーズの確認 → Umbrelが生きている場合にはダッシュボードから確認できます。(確認後はちゃんとUmbrelを停止しましょう)・SCPのコピー → bos telegramを使っている場合にはTelegram上で保存されています①~/umbrel/app-data/lightning/data/lnd丸ごと実際に必要なのはlnd.conf, umbrel-lnd.conf, channel.db, wallet.dbなはずですが面倒なので全部コピーしました。②~/umbrel/app-data/bitcoin/data/bitcoinにあるbitcoin.confとumbrel-bitcoin.conf他のUmbrel上のアプリデータ等は特段細かい設定等していないので今回はゼロからインストールしましたが、必要であれば他のファイルもコピー。③