AMPLホールドとGeyserの損益の差に関する試算(どっちが得か)

AMPLホールドとGeyserの損益の差に関する試算(どっちが得か)

以下の論考は、全てきょろナッツさんの良質な記事(この記事や、この記事等)を参考にしながら私なりに作成したものですが、本稿に誤りがあった場合の責任は全て私に帰します。

1.問題意識

AMPLについて直近1か月の収益を報告している海外のTwitterによれば、単純ホールドだと資産61倍、Geyserに入れると約9.4倍となっています。

一方、本報告は、Uniswapの流動性手数料や、Geyser収益を計算に含めていないので、どちらがどれだけ稼げるか、という点についてやや不正確な点があります。また、それらを含めた試算をしているサイト・記事は(少なくとも私の知る限り)ありません。

そこで、UniswapやGeyserによる収益及び損失の要素も含めた上で、ホールドとGeyserの選択の分岐点となる基準を試算します。

2.結論

  • 投資期間1か月の場合、AMPLの(ETH建)時価総額(価格×供給量)が約4倍以上になるならホールドの方が得、4倍未満ならGeyserが得
  • 投資期間2か月の場合、AMPLの(ETH建)時価総額(価格×供給量)が約10倍以上になるならホールドの方が得、10倍未満ならGeyserが得

(注:以下のとおり、本推計には多数の粗い前提を置いており、結果の見方には留意が必要。また当方の能力の限界から、計算に誤りがあり得る)

以下は、計算の具体的根拠です。

3.考察

(収益の前提)

①Uniswap流動性供給

Uniswapに流動性を供給した場合、トレードの度に手数料(トレード額の0.3%)が流動性提供者に分配される。日利 = トレード量比 * 0.003であるが、

トレード量比 = 日次トレード量 / その日の流動性プールサイズ 

として計算できる。

ここで、1週間のトレード量比をみると、下図のとおりである。日利(その結果としての月利)は日ごとのトレード量比によって異なるが、直近1週間の日利の平均的な水準が今後も継続すると仮定する。その上で月利、2か月間の利率を推計すると、下図のとおり月利は約8%、2か月分の利益は約17%となる。

(注)日利 = トレード量比 * 0.003、月利 = (1 + 日利) ^ 30 - 1、2か月分の利率= (1 + 日利) ^ 60 - 1として計算している。

(出典)Uniswap

②Geyserの収益

Geyserの日ごとの収益は表示できないが、公式サイトによれば、この1週間は、年利換算約300%程度で推移しているため、年利換算300%を推計の前提に採用する。

仮に、この年利が複利だとすれば、月利換算で約12%、2か月間の利率は約26%となる。一方、Geyserは長期でデポジットすることにより、乗率が加算され、最大で3倍まで利率が増加する。その基準については、当方は把握していないが、Geyserの期間が3か月間であることを踏まえ、2か月預ければ2倍、3か月預ければ3倍のインセンティブが発生するとの粗い仮定を置く。 

この場合、先ほどの2か月間の利率は、2を乗じることにより約52%となる。

上記の①と②を加算すると、GeyserによるUniswap流動性手数料を含めた収益は

月利=約20%、 2か月間の利率=約69%

となる。

(損失の前提)

Uniswapについては、価格が動くと損失が発生するImpermanent loss(以下、「価格変動損失」)があるため、これを考慮する必要がある。

価格変動損失 = 2 * sqrt(価格変動率) / (1 + 価格変動率) - 1

(参考)https://alis.to/lisalisa/articles/anLYvOqDwWqb

で計算できるが、AMPLの場合は、価格に加えて供給量も増えるため、より一般的に、

価格変動損失 = 2 * sqrt(時価総額変動率) / (1 + 時価総額変動率) - 1

と示すことが可能。

ここで、時価総額の変動率を具体的な数字に当てはめた上で、上記の式を代入し、単純ホールドと比較した場合の資産額(ただしETHを含むことに留意が必要)を推計する。なお、ここでは計算を簡易にするため、ETHの時価総額は2か月間で不変との粗い仮定を置いている。

計算結果に先ほど計算した月利、2か月間の利率を足し上げて、価格変動損失の穴埋めを計算する。

これらをまとめると、以下の図のとおりとなる。

投資期間1か月の場合は、100%の水準を切る基準(すなわちGeyserの方が損をする水準)は4倍超、

投資期間2か月の場合は、100%の水準を切る基準は10倍超、となる。

なお、この4倍という時価総額の伸びがどのくらいの規模なのか、ということだが、仮にAMPLがリベースで毎日5%ずつ供給量が増えていった場合(すなわち価格が1.5ドルで推移した場合)、1ヶ月後の供給量の伸びは約4.3倍(1.05の30乗)となる。今のように2ドル程度の水準維持であれば17.4倍(1.10の30乗)となる。ETH価格不変との仮定を置くならば、AMPLが1.5ドルの水準を維持し続けるか、という予測が、Geyserを選択するかホールドのままにするかどうかを決める判断基準になるように思える。

以上、推計終わり。

かなり粗い計算をしていて、また私は特段数学が得意という認識もないので、もし計算に誤り等あれば、ご教示いただけると幸いです。

Remaining : 0 characters / 0 images
100

Sign up / Continue after login

Related stories

Writer

Twitter: @crypt_guko

Share

Popular stories

1か月で250万円が3億円になった話(小説)

17454

仮想通貨の有力VC20社の投資先ランキングを調べてみた

11375

XRPの証券性のガチ検証 前編

8918