1か月で250万円が3億円になった話(小説)
俺の名は金尾呉男(かねお・くれお)。30歳のしがないサラリーマンだ。
今日は俺が、ある銘柄で資産130倍を達成した話をしよう。今から書くのは、金なし・人脈なし・カオナシ、の俺が、1か月で3億円を稼ぐまでの思考・行動記録だ。多くの新規投資家にとって参考になるだろう。
1.どんな奴が稼げてるのかを知る(他者分析)
2021年8月、仮想通貨の復調を感じた俺は、クリプトで一山当てようと考えた。まずやったことは、手当り次第にインフルエンサーっぽい奴をフォローし、どんなタイプの奴らが成功しているかを調べたことだ。
成功者の特性を知るのは、勝負に当たっての大前提だ。成功者に共通点が見つかるかもしれないし、余計な失敗を防げるかもしれない。
調べた結果、稼げてる奴らのパターンは次の二つしかないことが分かった。つまり、①情報通か、②理論家、だ。
情報通は、とにかく情報を得るのが早い。または、情報の幅が広い。海外から皆が知らない情報を素早く集め、トークンセールやテストネットなど、初期時点で投資している。または、広く情報を集め、ブームにあわせてうまく波乗りする。中には、ボットで誰よりも早くミントする奴もいる。共通点は「情報量」だ。情報収集にめちゃくちゃ時間をかけている。つまり、こいつらはセンスのある暇人だ。やっぱり稼げてる奴は頑張ってる。
一方、理論家は、全体的な未来の方向性を予測し、頭脳で稼ぐ。そんなに頻繁にはトレードしていない感じだ。ツイートは論理的で実証的。比較的、少数銘柄・特定分野に絞って調べ、長期に分野を絞って投資しているのが特徴だ。皆から崇拝されてる奴もいれば、バカにされてる奴もいる。
俺はどっちの人間になれるのか。。。
2.自分の方向性を決める(自己分析)
自分が苦手なことをしたら負けるのは当然だ。人には向き不向きがある。自分が苦手なことをやり続けるのは、毎日ウンコを食べてから会社に行くようなものだ。
俺は自分の性格・行動パターンを振り返った。
情報通。俺がなれるか?無理だ。高校時代も、誰と誰が付き合ってるとか、そんな情報を知るのはだいたいクラスで最後だった。服装のセンスも悪い。だいたい俺には仕事がある。毎秒チャートを眺めるのは無理だし、そもそもこいつらは、どこからいろんな情報を得てるんだ。
理論家。うむ、俺の道はこれしかない。元々、俺は論理で物事を考えるタイプだ。未来予測なら兼業の俺にもできそうだ。だいたい、どう見てもこっちの方が情報通より楽だろう。
3.どんな未来を予想するか(分野選定)
次は分野選定だ。これからどの分野が来るんだろう。そういえばGameFiがブームという話も聞いたな。NFT関係のツイートもよく見るぞ。
でも俺はゲームはやらないから分からない。NFTは、あんなドット絵に何の価値があるのかも分からない。俺でも書けるぞあんなの。苦手な分野は深追いしないのが吉だ。他人は他人、自分は自分だ。
DeFi。これだ。ケーキとか寿司とか、わけわからんのが出てきて、界隈が大騒ぎしてた。こいつら全員バカだと思ってたが、俺が仮想通貨に初めてハマったのはDeFiだった。
俺の見たところ、今のところ仮想通貨のまともな実需はDeFiしかない。ゲームが流行っても、しょせんは小物だろう。一過性のブームで大半の銘柄は散る。長期で言えばDeFiだ。俺はみずほ銀行に入ってるが、明細は3か月前しか見れない。はっきり言ってクソだ。DeFiなら全ての取引が見れる。これだけでも民間企業を超えてるだろ?
さて、何を買うか。俺の座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」だ。
ツイッターでスタート時点から皆が言及してる銘柄は、それだけ既に買われてるってことだ。そんなものは上がるわけがない。ICPとかBitDaoとか、お前らも見ただろ?今は誰も気にしてない、しかし、いずれ気づかれる、そんなものを買うべきだ。
一番大事なのは、DeFiはETHが一人勝ちするのか、他がどんどん出てきて群雄割拠になるのか、だ。ここを外すと死ぬ。俺はETHが好きだった。でも昨年12月にパンケーキが出てから、Solanaも出てきて、色んなチェーンが乱立している。
新しいプロダクトは、まずトークン配布をインセンティブに使って集客するから、新商品が出るたびに人が移動する。コピーが容易だから、プロダクト自体にはそんなに差がない。つまり、優れたベースレイヤーが生まれるたびに、同じようなことが起こるはずだ。BSCで起こったことがPolygonに起こり、polygonで起こったことは未来の新しいチェーンで起こるはずだ。つまり、ETHで勝負するのではなく、今後も新しいチェーンがある程度勃興し、一過性のブームが起こると予測して、その中で最も有望な銘柄に賭けるべきだ。
俺は、DeFiでこれまでどんな銘柄の価格が上がったかを調べた。そして、俺は二つの法則に気づいた。
法則1 プラットフォーム通貨は上がる
SOL、Matic、BNB、とにかくベースレイヤーのプラットフォーム通貨は、そのプラットフォームが流行れば大きく上がっている。Maticなんかは100倍くらい上がった。凄かったな。やっぱりプロトコルは強いってことが、証明されてきてる。時価総額の上位を見ろ。ベースレイヤーのプラットフォームが増えてるぞ。
法則2 一番強いDappsはDEX
DeFiの一番のユースケースは、結局は投機。つまりDEX(分散型取引所)だ。ETHのUNI、MaticのQuick、SolanaのRay、BNBのパンケーキとか、これらは例外なくブーム時に上がってるし、時価総額が一番高い。
これらの気づきから、俺はプラットフォームとDEXの銘柄のセットで勝負することにした。
いつものようにTwitterを調べる。今は流行ってないやつ。でもこれから流行るやつ。それを探す。こういうのはだいたい玄人っぽい奴が好きな銘柄だろう。俺は、玄人っぽい、でもまだ流行ってないプラットフォームを調べた。
SolanaやPolygonは4月に結構流行った感があるので除外した。その結果、絞れたのは3つ。
ATOM、Avalanche、NEARだ。
マニアが好きそうだろう?さて、この中で更に絞っていくか。
ATOM。たまに情弱っぽい奴が良く分からんコミュニティを形成してる。なんか怪しい。検索でも変なサイトの案内が出てくる。やめとくか。
NEAR。渋いのは良いんだが、渋すぎる。あとなんとなくロシア銘柄っぽい雰囲気が強い。国の色がついてるのは良くないな。DEXも見つからないし、とりあえずやめとくか。
Avalanche。これで行くか。流行る流行ると言われ、テレグラムも盛んな感じだ。でも流行ってない。マニアック。でも、プロが好きそう。
4.銘柄選定
俺はAvalancheで攻めることにした。AvalancheのDEXのナンバー1(当時)はPangolinらしい。これに投資するか。時価総額も低い。
Pangolinのサイトに行く。なんだこれ。Uniswapの丸パクリじゃねえか。どうせ技術力が低いんだろう。だからパクるに違いない。こういうプロジェクトはダメだ。そもそも、自分が命をかけてローンチする商品を丸パクリでローンチする、という精神性を疑う。哲学がない。これはアカン。
逆に考えよう。こんなパクリ商品が1位を続けることはあり得ない。いずれ環境が変わるということだ。
Pangolinに勝つDEXがブームになれば、一気に取引高は増える。Pancakeだって、他のDEXに勝ってブームが起きて、長者が生まれたのだ。
Avalancheさえ流行れば、DEXが流行る。どれだろう。俺は「Avalanche DEX」で検索しまくって、海外のツイートを漁った。日本を省くために「lang:en」を検索窓に入れたりした。
数日後、俺がたどり着いたのは、JOEだった。
TraderJoe、アメリカのスーパーマーケットみたいな名前だ。でも見た目が分かりやすい。UIが分かりやすいのは大事だ。チャートが横に付いているのが良い。
そして値段が0.03ドル。安い。時価総額も低い。伸びしろだ。なぜか人間は、価格が安い方が、将来上がると考える。XRPとか、そうだったよな?
(図1:俺がJOEに気づいた時のチャート)
日本人はほぼ呟いてない。そりゃそうだろう。流行ってないから。流行ってないことが大事だ。流行った時、それは時すでに遅し、だ。
こうして俺は、手持ちの貯金500万円を半分ずつAvalancheとJOEに託した。8月半ばのお盆休みのことだった。
5.まさかのAvalancheブーム
それから1週間、まさかのAvalancheがインセンティブプログラムを発表した。
こんなの想像してなかった。でもよく考えたらPolygonと全く同じ手だ。結局、金でプロダクトを釣って、そこに人が集まる。インセンティブで人は動くんだ。よし、これは行けるかも。俺は握りしめたこぶしを見つめた。Avalanche関係のツイートが急に増えてくるのを、俺は実感していた。
そして数日後。。。
6.250万円→3億円
その日、俺は茫然としてパソコンを見つめていた。8月後半以降、JOEが爆上げしたのだ。含み益が1億円を超えてからは、正直、実感が湧かず、ただの数字にしか見えなかった。
しかし俺はバカではない。価格が100倍を超えて、俺はすぐに利確を決意した。100倍は、一つの区切りだった。2018年の仮想通貨バブルで500倍に上がった通貨が一気に暴落して、多くの投資家が涙を見たことを知っていたからだ。
そもそも俺はJOEなんて知らない。開発者も知らないし、Avalancheに愛着もない。ただ、皆が気づいていなくて、玄人が好きそうで、いつか流行りそうなものを選び、たまたまそれが当たっただけだ。9月22日、3円で買ったJOEは400円に到達していた。
(図2:とどまることを知らないJOE)
7.エピローグ
今、俺のウオレットには4億円相当のステーブルコインが入っている。いわゆる億り人ってやつだ。
(図3:メタマスクのウオレットDeBank)
これで日常が変わったわけではない。俺はいつものようにスーツに着替え、仕事を続けている。3億円じゃ人生変わらない。税金で手元に残るのは1.5億円。これじゃ一生遊ぶには足りない。税引き前で10億円が必要だ。俺は今も10億円を目指す旅を続けている。
もう次に買う分野は決まっている。
犬だ。犬しかない。俺には犬が札束にしか見えない。いや、ウンコにしか見えない、といった方が正しいかもしれない。
運営もどうせ、犬を札束としか思ってないだろう。あいつらはチャリティに寄付します、とか綺麗ごとを言ってるが、偽善でしかない。あいつらの目的は金だ。そんなの一瞬で気づく。チャリティーとは、養分から運営への寄付のことだ。
まあ、とにかく、俺はイーロンマスクが好きだ。イーロンマスクは犬が好きだ。よって俺は犬が好きだ。これが三段論法ってやつだろう?
そして、イーロンマスクはお金が好きだ。俺もお金が好きだ。よって、犬は上がる。これは何段論法だ?
犬ブームはまた来る。皆が犬を忘れた頃に。俺はまだ見ぬクソ犬を求め、今日もさまよう。
(終)
教訓
➀まず、稼げている奴らの特徴を調べろ
②そいつらの中で、自分がどのタイプなら真似できそうか考えろ
➂「情報通」でなく「理論家」の道を選んだら、人真似はするな
④日本人が注目してない銘柄を狙え
⑤玄人が好きそうなやつは結局上がることが多い
⑥一度買ったら、一日に何度も相場を見るな
⑦犬トークンは、全員、金目当てだ
⑦イーロンマスクは、実際のところ、犬が好きなわけじゃなくて、ドージコインが好きなだけだ
⑧Rippleの発音は、リッポーだ
⑨この話は、全てフィクションだ
面白かったです。これ、実話ですよね。アメリカの税務署の連絡先ってどこだろ?w