
避雷針ってなに?【ざっくり編】
元避雷針業者です。
なんで避雷針があるの?
ないとどうなるの?
どうゆう仕組み?
などの疑問が解決できれば幸いです。
その前に避雷針業者って何する人?
- 避雷設備自体の設計、製造
- 避雷設備の位置、高さなどを決めて図面作成
- 避雷設備の設置工事
などを行う業者です。業種的には電機系かと思いきや建設系です。
私は主に避雷針、避雷設備の位置、高さなどを決めて図面作成を行う仕事(設備設計・図面作成)をしていました。
避雷設備って?という疑問は後ほど説明致します。
まずは避雷針。
避雷針とは?
名前は避雷針ですが実際は逆で誘雷針です。
雷を針(デカくて高い金属の棒)に誘導します。
避雷針を見たことない、周りにないと思っている方、
マンションの屋上を見てください。
6~7階建て以上の建物なら大体あります。
なんで避雷針があるの?
建築基準法により高さ20m以上の建物には避雷設備(避雷針など)の設置義務があります。
逆に20m以上の建物がない地域には全然ありません。
実際、全国各地の避雷設備を設計しましたが都市部が多く、地方は極端に少ないです。役所の庁舎くらいです。(たまに物好きが一軒家に避雷針を設置したがる場合もある…)
電気・雷のよくある誤解と避雷針
漫画やアニメでは電撃攻撃をするキャラクターが時々います。
ワンピースのゴッド・エネルやピカチュウなどです。
そしてその攻撃を防ぐ手段としてゴムが度々登場します。
しかしそれは無理な話です。
なぜなら絶縁性(電気を通さない力)は
空気>>>>>>>>>>>>ゴム>人間>金属
だからです。
電撃を空気中に放てる時点で最強の絶縁体を突破できています。そんな高電圧な電撃にはゴムも人も関係ありません。ワンピースのルフィはエネルの2億ボルトで死にます。
避雷針の話に戻ります。
雷は上空から地面めがけて落ちます。ただその間には絶縁体の空気があります。そこで雷は空気を避けるために、どこでもいいので最短距離で着地したがります。そこで避雷針です。
避雷針は建物の一番高い所にあるので雷は避雷針に落ちます。つまり避雷針は材質より高さが重要です。
仮に避雷針がゴム製であったとしても避雷針に落雷します。
(ただしゴムなら落雷で壊れてしまいます。実際は金属製です。)
ないとどうなるの?
もし建物に落雷してしまった場合、コンクリート造なら中の水分が気化膨張し破裂、コンクリートの一部が剥がれて落下します。木造なら燃えます。電化製品も壊れるかもしれません(避雷設備があっても壊れる場合がありますが、詳しく説明すると長くなるので省略します)。基本的に避雷針は建物を守るために存在します。
避雷針だけでは意味がない
ここまでの説明で避雷針が大体分かって頂けたと思います。
ただ、避雷針は避雷針だけで完結しているわけではありません。
受けた雷電流を処理する部分が必要です。
それを避雷針含めて避雷設備(雷保護設備)といいます。
避雷設備(雷保護設備)の仕組み
避雷設備は3つの要素で構成されています。
- 受雷部…避雷針など雷を受ける部分
- 引下げ部…受雷部から接地部へ電流を流す部分
- 接地部…電流を地面に流す部分、いわゆるアース
受雷部
避雷針の他にアルミ導線がよく使われます。
アルミ導線を屋上の外周部や屋上の床にはわせます。避雷針は傘のように建物を保護するのに対して、アルミ導線は面で建物を保護します。高い建物で避雷針がない場合はアルミ導線で保護しているのかも知れません。
ただし屋上に設備器機など突起物がある場合は突起物がアルミ導線の高さを超えるので使えません。
引下げ部
受雷部に接続された銅導線やアルミ導線です。建物が鉄骨造や鉄筋造の場合、建物自体の鉄骨・鉄筋が引下げ部として利用されます。接地部に繋がります。
接地部
銅の板や鉄の棒などが地面に埋められています。地面との接触面を増やしてスムーズに電流を地面に流す目的があります。通常複数個あります。
まとめ
- 避雷針は誘雷針
- 避雷設備は20m以上の建物にある
- 避雷設備は雷から建物を保護する
- 避雷設備は受雷部・引下げ部・接地部からなる
おまけ
マンションなどの外壁には普段は気にもしない謎の金属プレートがあります。
これも避雷設備の一部です。
開けると中に銅導線があります。
接地部がキチンと機能するか調べられるように設置されています。
探せば2つ以上はあります。暇なら探してみて下さい(笑)
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