『ザ・インターネット・オブ・マネー』第1章 What is Bitcoin? 日本語訳

『ザ・インターネット・オブ・マネー』第1章 What is Bitcoin? 日本語訳

先日の著名人Twitterハッキング事件により、久々にビットコインの事を思い出したという方も多いのではないでしょうか。

今回の事件で世の中的には、“ビットコイン=詐欺・やっぱり怪しい”のイメージを強める結果になってしまったかもしれませんが、そんな人たちにこそ是非触れて頂きたいのは、“マスタリング・ビットコイン”の著者アンドレアス・M・アントノプロス氏の講演動画や著作たち。

中でも初期の講演集を集めた『ザ・インターネット・オブ・マネー』は、なぜテクノロジーとしてのビットコインが、インターネットに次ぐ革命的発明なのかが初心者にもよく分かる分かりやすい例えと含蓄に富むお話の数々で構成された素晴らしい名著となっています。

ですが、現在の所、残念ながら日本語版は未発売です。

なので訳しました。※出版元から公開の許可は得てあります。公開したらアンドレアスさんにもリンクで伝えてくれと言われましたので、アンドレアス近々Spotlightへ降臨ですわお!

ここに集う方々にはすでに基本情報かもしれませんが、復習もかねてお楽しみください。ではどうぞ!

こんにちは、アテネの皆さん。
本日は、お招きいただきありがとうございます。

ディスラプトが必要なんですか?私は持ってますよ。

いや、私が持ってるのは正真正銘の革命です。

これからお話しするのは最もエキサイティングで興味深く、そしておそらくもっとも重要な技術革新、ここ20年の間のコンピューターサイエンスの分野における最も価値のある発明です。

今日はビットコインの事をお話しに来ました。
皆さんもおそらく以前に聞いた事があると思います。

簡単なチェックをしてみましょう。
今日より前からビットコインについて耳にした事がある方は何人いますか?

わかりました。いい集まりですね。
ではビットコインを保有しているという人は?

ますますいい感じです。

ビットコインはデジタル・マネーです。ですが、それ以上のものです。ビットコインをデジタル・マネーと言うのはインターネットを大げさな電話とか、電子メールがその全てと言うようなものです。

マネーは最初のアプリケーションに過ぎません。

ビットコインはテクノロジーであり、通貨であり国際的なペイメント・ネットワークです。そして分散化されています。銀行や政府に依りません。

人類の歴史上、今までこんな事は成し得なかったんです。

この発明は本当に革命的なものです。振り返ってみれば、これが歴史的な瞬間だった事がわかるでしょう。コンピュータ・サイエンスの進化のみならず社会政治的な革命が起きているんです。

では、始めましょう。
ビットコインはデジタル・マネーです。ユーロやドルもまたデジタルです。しかし、ビットコインは政府によって所有されていません。

世界中のどこからでも送る事ができます。瞬時に、安全に、そして最小限の料金で。

2日前、ビットコイン・ネットワーク上で過去最大のトランザクションが記録されました。誰かが1億5000万ドル 相当のビットコインを、約10分で手数料0円で送金したのです。

これでビットコインが、国際的な決済システムの面で、いかに破壊的なイノベーションになるかを把握できるはずです。

ですが、これは単なる始まりに過ぎません。

ビットコインは2008年にサトシ・ナカモトと呼ばれる人物によって考案されたデジタル通貨です。

彼は論文を発表し、そこで分散型ネットワークを作る方法を発見したと述べました。そのネットワークは、いかなる中央管理権限もなしにコンセンサス/合意に達する事が可能であると言います。

もしコンピューター・サイエンスや分散型システムを学んだ事があれば、これはビザンチン将軍問題として知られています。この問題は[1982年]に最初に記述されました。2008年まで、これは未解決な問題でした。

しかし、この問題を解決する事の重要性は理解されていました。そしてサトシ・ナカモトはそれを解いたというのです。次に何が起こったと思いますか?みんな彼を笑いました。大勢が彼を無視し、相手にしませんでした。

彼は論文を発表しました。そして3カ月後、彼はビットコイン・ネットワークを開始するソフトウェアを発表しました。

ビットコインは会社でも組織でもありません。ビットコインはちょうどインターネットのTCP/IPのような標準プロトコルです。誰によっても所有されていません。数学的なルールに基づいて運用されます。ネットワークに参加する人は全員、それに合意しなければなりません。

ビットコインは、このサトシ・ナカモトが発明したコンセンサスの仕組みを介して、ネットワーク上でどのような取引が発生したか、現在誰がどれぐらいお金を所有しているかについて合意するコンピュータの分散型ネットワークです。

もし私が、電子メールを送るみたいにお金を他の誰かの“口座”にピア・ツー・ピアネットワークで送ったなら、間に仲介者は誰もいません。私のコンピューターから受信者のコンピューターへと何の介入もなしに、ビットコインのトランザクションはブロードキャストされます。

10分毎に、ネットワークはどんなトランザクションが生じたかの合意に達します。いかなる中央集権的な権限もなしに、ある意味電子的に行われる選挙によってです。この特定の[ビザンチン将軍問題への]解決策は、通貨よりももっともっと重要です。

通貨は、分散型コンセンサス・システム上に構築できる最初のアプリにすぎません。

他の用途として、投票、株式所有権、資産登録、公証、その他多くのアプリがあります。以前には考えた事もなかったアプリケーション。

私が初めてビットコインを発見したのは2011年の事です。初期の時代のインターネット以来、自分が見た可能性にここまで完全に圧倒されるような感覚は、今まで感じた事がありません。

私も1991年の商用化前だったインターネットの夜明けの時代にいました。私にはこれが世界を変えるテクノロジーである事がわかりました。周りにいる皆にそう言って歩きましたが、誰も私の言う事を信じませんでした。

それと全く同じ感覚をビットコインに感じています。

皆さんの何人かはビットコインは通貨だと聞いた事があると思います。お金のシステムとして、現在、値段はある時はむやみやたらに高かったり次の日には低かったりしています。

私が皆さんにこの場で言いたいのは、値段は無視してくださいという事。

お金としてのビットコインの値段は無視して、テクノロジーとしてのビットコインとビットコインが作り上げるネットワークを理解してくださいという事。

もしお金でしくじってしまったのなら、単に別の通貨をまた立ち上げればいいのです。ビットコインのテクノロジーは、もう発明されなかった事にはできません。

このテクノロジーは、この地球上で見た事のないスケールの分散型組織の可能性を作り出します。

これがビットコインが私にとってなぜ重要なのか、その理由です。今日の世界では、およそ10億人の人々が銀行口座を持ち、主に上流階級や西欧諸国の中で、クレジットへのアクセスや国際金融を扱う能力を有しています。

この地球上の65億の人々は、銀行の世界へのコネクションが何もありません。彼らは他のあらゆる国際資源へのアクセスがほとんどないキャッシュベースの社会で暮らしています。

でも彼らには銀行は必要ありません。
20億人の人々は既にインターネット上にいて、簡単なアプリをダウンロードすれば、このビットコインと言う国際的な通貨を使用して国際的な経済に参加可能なんです。

どこにでも少額の費用で送金ができ、政府によるコントロールもありません。国際的なピア・ツー・ピアファイナンスの国際的な世界に接続する事ができるんです。

ビットコインは人々のお金です。

全員が合意した数学的なルールに従って運用されます。中央管理はありません。

65億の人々を生産的な社会に連れて来て、残りの世界に繋げてあげるというのは本当に革命的な事です。

まずは、支払い処理業者に影響を与える事から始まるでしょう。こうした巨大企業は、送金先の国が貧しければ貧しいほど、送金費用をより高くしています。

この状況は搾取的であり腐敗しています。

こうした企業は、ビットコインならほとんど手数料なしでできる事から莫大な利益を得ています。

かつてインターネットの格言にこんなのがありました。

“俺はただこの業界丸ごとを数百行のPythonコードで置き換えただけさ。”

これとまったく同じ事を、私たちはビットコインで行っているのです。

現在、ビットコインはどのように使えるのでしょうか?単純に言えば、ビットコインは通貨として機能します。外貨を買うようなものと考える事ができます。

Webを使って取引所にアクセスし、いくらかのユーロを送金すれば、現在の為替レートでビットコインを買う事ができます。

でもそれはあまり正しいやり方ではありません。私たちは起業家でしょ?私たちはディスラプトがしたいんです。

ビットコインを手に入れるベストな方法は、誰かがビットコインでそれを買いたがるような、あなたが提供できるプロダクトやサービスを見つける事です。

ビットコインを稼ぐ事から始めてください。

あなたがビジネスを始めるとして、それを国際的なビジネスにするためには、主に2つの障害があります。

最初の障害:国境を超えてプロダクトやサービスを届けるのが難しい事。

インターネットを使って、私たちはこれを解決しました。そして今やバーチャルで売れるプロダクトやサービスが作れるようになりました。

世界中どこへでも売って届ける事ができます。でもまだ大きな問題がありました。

どうやって支払ってもらえばいいのか?

ビットコインがこのパートを解決します。

ビットコインがあれば世界中のどこからでも、ほぼ即座に支払いを受け取る事ができます。

ビットコイン・ネットワークはあらゆる個人が、1億分の1ビットコインという小さな金額でも送金が可能であり、それは今日の言い方では、ごくごくわずかな金額です。

それは伝統的なお金や支払いシステムはできない事です。

クレジットカードは1950年代に作られたもので、確実にインターネット時代向けに作られたものではありません。

ビットコインはインターネット時代向けに作られました。

100分の1、1000分の1ユーロの支払いを送れるようになれば、コンテンツを少額取引で売れるようになります。何百万人もの人から少額の支払いを集めれば、それを束ねて何か価値あるものにできます。

1000分の1ユーロの支払いを送れる同じネットワークで、10億ユーロも送る事ができます。費用はまったく同じです。なぜなら費用はキロバイト単位の取引サイズによるからです。送金額ではないのです。

インターネットと学んだ教訓を振り返ってみましょう。なぜビットコインが重要なのか。

インターネットの最も重要な原則の1つは、中立性です。インターネットは大きな組織と小さな組織を区別しません。CNNとエジプトのブロガーの違いを知りません。ブロガーにCNNが持っているのと同じ力を持つ声で世界に訴える機会を与えます。

ビットコインは送信者と受信者に対しても、取引の額に対しても中立です。それはつまり、全ての市民、ビットコイン・ユーザーが金融に革新をもたらす力を持つ事を意味します。

金融商品、決済システム、そして通貨を銀行が持っているのと同じ便宜で使えるのです。

あなたはシティバンクになれるのです。

個人がシティバンクと同じレベルで運用ができる。これは本当に革命的な事です。

これはアクセスを制限する事で安全性を実現していた階層的な国際金融システムを一変させます。

それが私たちの決済システムの“信用”の方法です。厳しく吟味されない限り入り込めない。

ビットコインは、全てのノードが平等なフラットで分散型のネットワークを使って、それをひっくり返します。

このプロトコルは取引に対して中立であり、ネットワークの端までイノベーションを押し進めます。これはインターネット上で見たのと同じ現象を作り出します。許可のいらないイノベーション。

インターネット上でアプリを公開するのに誰かの許可を得る必要はありません。ITを使って新しい業界を完全に破壊するのに誰かにお願いする必要はないんです。

ビットコインでも、新しい金融機関・決済システムやサービスを発明するのを誰かにお願いする必要はありません。

あなたがただやればいいんです。あなたがただコードを書けばよい。

そうすれば、今やあなたは国際的な金融ネットワークの一部です。そのコードを実行すれば何百万人ものお客さんとコンタクトできる。

今はまだまだ初期段階です。洗練されたインターフェイスもまだありません。使いにくいです。

メディアは、ビットコインは犯罪者によって使われていると言いますが、誰が使っているのかを確認するのは簡単ではありません。

こうしたあらゆる非難は以前にも聞いたものです。

1991年にネットをやっていた頃は「泥棒の巣窟」「ポルノ業者」「海賊」「犯罪者」でした。

でもそれはたいした事ではなかったし、今でもたいした事ではないんです。

なぜなら、犯罪者に犯罪行為を促す同じ力を持つテクノロジーが、私たち残り全員によって善き事のため、世界中で素晴らしい事のために使えるのですから。

世界には、もっと多くの人々がいるんです。

ビットコインはイノベーションのために熟した環境を作り出します。ただの通貨ではないのですから。

これは、テクノロジーであり、ネットワークであり、そして通貨なのです。

確かに、ビットコインの価格が上昇して私はとても嬉しいです。いくらかのビットコインを所有していますから、ある意味とてもいい気分です。

ですが、私は価格は気にしていません。ビットコインの価格が明日の朝クラッシュしても、そのテクノロジーはいまだ革新的なのです。

ウェブサイトやアプリが失敗しても、インターネットがどこへも行かないのと同じ事です。

もしビットコインがただの通貨ではなく、テクノロジーであると理解するなら、その真の重要性をつかむ事ができます。

繰り返しになりますが、これは私たちだけの問題ではないのです。他の60億人についてのものです。

これは世界がかつて見た事もない、金融統合をもたらすものなのです。

私たちの視点から見れば、ディスラプトなイノベーションに使える素晴らしいテクノロジーです。

面白いサービスを作り出せるでしょう。

でもケニアの農家が種を買うための資金調達をする際に、分散型のピア・ツー・ピアレンディングに参加して、世界中の貸金業者に繋がる事ができるようになるとしたら、これは単なるテクノロジーではなく、人生を変えるものです。

ビットコインは、月に30%以上ものハイパーインフレを課す中央銀行を擁し、抑圧し腐敗した政権のもとで暮らしている世界の大多数に影響を与えるでしょう。

そうした人々全員にビットコインがどのような影響を与えるかがもっと重要なのです。

インターネット上には20億人もの人がいます。そのうち銀行口座を持っているのは10億人だけです。

それを変えられるんです。簡単には行かないでしょう。

ミスを犯さないようにやりましょう。

破壊的なテクノロジーを地球上で最も強力な組織と政府のど真ん中に導入するとなると、彼らは気に食わないでしょう。

今はまだ、私たちは初期の段階にいます。

慣用句で言えば

“最初彼らは無視する。そして笑い飛ばす。その後戦いを挑んでくるが、勝つのは我々だ。”

まだ私たちは笑われている段階にいます。でもそれで全然いいんです。

彼らが戦い始める頃までには、彼らはもうすでに負けているのです。このテクノロジーは地球規模なものなのですから。

25億ドル以上が、米ドルの世界基軸通貨による世界支配へのカウンターバランスを発見した中国の投資家の手によってもたらされています。

世界には180程の通貨がありますが、国際通貨は1つしかありません。

中央銀行や政府が管理している通貨は180程ありますが、数学的に管理されている通貨は1つしかありません。

それはビットコインです。そして私たちはそれ以上にも作るでしょう。

暗号通貨は金融の未来の柱となるでしょう。それらはこの地球の未来の一部となるでしょう。

なぜなら発明されってしまったのですから。

簡単な事です。それらの発明をなかった事にする事はできません。

オムレツを卵に戻す事はできないのです。

すでに100以上ものライバル通貨が登場しています。これはビットコインという通貨を超えていかに早くイノベーションが爆発したかを示しています。

アルトコインとして知られる多くの代替コインが登場していますが、どれも同じ基礎的なテクノロジーを使用しています。

分散型コンセンサス・ネットワークと資産台帳。

他の形の通貨も作れます。インフレやデフレ通貨。デマレージやマイナス金利を使う通貨などなど。

そして慈善団体に収入の割合を再分配するようなチャリティー用通貨。

私たちは新しい形のお金と金融機関を発明できるのです。

ビットコインはプログラミングできるお金です。

一度プログラミングできるお金を手にしたなら、その可能性は本当に無限です。

現在のシステムにおける基本的な考え方の多くは、法律上の契約に依存しています。それらをビットコイン・ネットワークで強制可能なアルゴリズム的な契約に変換する事ができるのです。

先ほども言いましたが、ピア・ツー・ピアネットワークの他の部分に価値を送る事を選んだら、そこに仲介者や取引先というのはありません。

間には誰もいないのです。

もし私が新しい形のお金を発明したのなら、私はそれを全世界中に導入して他の人々の参加を呼び掛ける事ができます。

ビットコインがインターネットにお金を導入するだけではない可能性を秘めていると見るなら、確かにインターネット向けのお金としてパーフェクトです。迅速で、安全、そして自由。

えぇ、ビットコインはインターネット向けのお金です。しかしまたそれ以上のものです。

ビットコインは“マネーの”インターネットなのです。

通貨は最初のアプリケーションに過ぎません。

もしこれが理解できたら、FUDや価格の乱高下の先にあるものを見る事ができます。

核心において、これは世界を永遠に変えてしまう革命的なテクノロジーです。

私と一緒にこの革命に参加してください。

ありがとうございました。

 

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記事を書いた人

『俺が、そしてここへ来て、全てをBitcoinに捧げた奴等が望んだのは、俺たちがサトシを愛したように、サトシも俺たちを愛してほしい、それが俺たちの望む事だ!』ランボーのコスプレで₿を乱射しながら崖からダイブ!

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