クラフトビールってどうなの?~後日談~
みなさんこんにちは。以前、私はクラフトビールのオンラインイベントに参加しました(その時の内容はこちらです)。実はその時に、主催者の方にビールに関する質問をしていました(チャットに書き込む事で、司会者の方がリアルタイムに確認する事ができ、その場で答えていくスタイルでした)。
しかし、当日は参加者も100人以上と多く、質問の数が多かった事と、私の質問があまりにもマニアックだったために(笑)、イベント内で答えてもらう事が出来ませんでした。その後送られてきたメールには、本日頂いた質問に関しては後日ご返答させて頂きますと書かれていたのですが、私はその事をすっかりと忘れていました(笑)。
そして先日、主催者からその質問の答えが送られてきたのです!完全に忘れていたので驚いたのと、とても丁寧に回答して下さったので、今回はその内容について少しマニアックな話も交えながらお伝えしたいと思います。
さて、さっそくですが私がした質問はどんなものかと言うと、
「4VGはビールの醸造においてはポジティブなものですか?(日本酒ではあまり4VGは好意的にとられないので)」
と言うものでした。おそらくみなさん「はあ?」ってなっていると思いますが、どうか見捨てずに最後までお付き合い下さい(笑)。これからわかりやすくご説明します!
まずは、4VGと呼ばれるものについてです。これは「4-ビニルグアイアコール」と呼ばれるフェノール化合物の事で、簡単に言うと酒類の香りの成分の一種です。特徴としては、燻製の様な香りやカーネーション、水彩絵の具の香りなどと言われています。
この4VGは醸造過程において発生する成分なのですが(詳しい発生メカニズムは複雑で、みなさんの読む気力を奪うので割愛します(笑))、以前日本酒やワインの勉強をした時に、4VGの香りはオフフレーバー、つまり欠陥臭としてネガティブに捉えられると教わりました。ですから私の中には、4VGは好ましくない成分と言う認識がありました。
ところが、この前のクラフトビールのオンラインイベントの時に、私はこんな場面に出くわしたのです。
ちょうどクラフトビールと燻製ベーコンを合わせる時に、主催者の方が「これはベーコンの燻製香とビールの香ばしい香りがよく合います。専門用語では4VGと言うのですが。」とコメントされたのです。
そもそも、ビールにも4VGが存在する事を知らなかったのですが、何よりこの4VGを好意的に評価している部分に私は驚いたのです。そして、ついつい先ほどのような質問をしてしまいました(笑)。
これで、「はあ?」だった質問の意味がおわかり頂けたと思うので、ここからは頂いた回答をご紹介したいと思います。ちなみに回答の一行目には、「4VGのような専門的な質問が来るとは思っていませんでした。」と書かれていました(笑)。
まず、4VGはラガータイプのビール、とりわけ日本でも世界でも主流のピルスナータイプのビールでは、オフフレーバーとして嫌うそうです。一方で、ヴァイツェンビール(小麦麦芽を50%以上使用しているドイツの伝統的なビール)やベルジャンスタイルのビール(ベルギー)などでは、絶対に必要な特徴の一つになっているそうです。つまり、ビアスタイルによって4VGはポジティブにもネガティブにもなる、と言う回答でした。
この回答を聞いた時に、私はなるほど!と納得しました。そして、この考え方はおそらく、ビールだけではなく全ての酒類に当てはまる事なのだと思いました。ワインや日本酒にとっては、この4VGの香りが他の香りの良さを邪魔してしまう一方で、ヴァイツェンやベルジャンスタイルのビールではこの4VGの香りがいいアクセントになっている、改めてお酒の奥の深さを知り、面白いなあと思いました。
いかがでしたか?少しマニアックな内容でしたが、私たちの世界に置き換えると、あの人はクセがあってあの会社では浮いてしまう存在だけど、こっちの会社だったら逆に個性が際立っていい仕事するよね、みたいな感じでしょうか(笑)。今日は、お酒の世界にも適材適所ってあるんですね、と言うお話でした(笑)。