仮想通貨取引所FTX「Tether(USDT)、お前はステーブルコインではない」

仮想通貨取引所FTX「Tether(USDT)、お前はステーブルコインではない」

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画像とタイトルで煽っていきますが、BTCのインデックスの話です。「そもそもFTXってどこのぽっと出の取引所だよ」という方は下記のBloomberg記事辺りを見てください。アフロすげーってなるので。

仮想通貨トレーダー、匿名性捨てて急成長-世界の取引高の5%扱う - Bloomberg

※本記事は最後のPineエディタ用のコード以外は全て無料でお読みいただけます。

1)FTXのBTCインデックス構成

発端はくりぷ@CRYPTANNEWSさんが某Discordに貼ってくれたFTXのBTCインデックス計算の取説でした。

FTX Index Calculation

表は取引所FTXがBTCのUSドル建て価格のIndexを算出する時の要素(2020-03-27updated)です。要はFTXという取引所が定めたビットコインの平均価格算出要素という感じですね。

インデックス構成要素に着目すると以下の10の取引所の通貨ペアを1/10ずつ均等に重み付けして構成されています。

  • Binance BTC/TUSD
  • Binance BTC/USDC
  • Bitstamp BTC/USD
  • Bittrex BTC/TUSD
  • Bittrex BTC/USD
  • Coinbase BTC/USD
  • Coinbase BTC/USDC
  • Kraken BTC/USD
  • OKEx BTC/TUSD
  • OKEx BTC/USDC
(FTX BTC/USDも含めると11のハズだけどそれは記載されていない…)

つまり、これらの取引所の通貨ペアこそFTXが「世界中で取引されているビットコインのUSドル建て平均価格を算出するのに相応しい」と判断したものということになります。(ただし各要素のズレは中央値から30bpが上限)

USD建てが4社、いわゆるステーブルコインと呼ばれるUSDC建てが3社、同じくTUSDが3社です。

 

2)最大手のBitMEXのBTCインデックスとの比較

最大手の取引所の1つであり無期限先物の先駆けであるBitMEXのBTCインデックスを見てみましょう。

  • Bitstamp BTC/USD
  • Bittrex BTC/USD
  • Coinbase BTC/USD
  • Gemini BTC/USD
  • Kraken BTC/USD

5社のUSD建てだけを独自に重み付けして基準にしています。特にCoinbaseの比重が重いですね。

出典:BitMEX indices

MEXと比べると、いわゆるステーブルコインを含めて平均を出すFTXは冒険的だなと感じます。重み付けを一切せずに均等にしたのはメンテナンスを考えてシンプルにしたのだと思います。この点も大胆ですね。駄目なペアがあればすぐ外せて、良いペアがあればすぐ足せる――FTXのフットワークの軽さを象徴している気がします。

また、

  • MEXが入れているウィンクルボス兄弟の米GeminiをFTXは外している
  • MEXが含んでいない中華大手のOKExをFTXは入れている

辺りも考察し甲斐がありますが、ここでは横において「いわゆるステーブルコイン」について着目したいと思います。

そう。FTXはUSDCTUSDUSドルとほぼ同等に扱っているんですね。

USDC(USD Coin)

USDC is a fully collateralized US dollar stablecoin. It is an Ethereum powered coin and is the brainchild of CENTRE, an open source project bootstrapped by contributions from Circle and Coinbase. USDCs are issued by regulated and licensed financial institutions that maintain full reserves of the equivalent fiat currency in a 1 USDC:1 USD ratio. Issuers are required to report their USD reserve holdings frequently, and Grant Thornton LLP issues reports on those holdings every month.

 

出典:https://coinmarketcap.com/currencies/usd-coin/

(雑な意訳)米金融大手のCircle社と大手取引所CoinbaseがコラボしたUSドルとペグしたやつ。1コイン=1USD。ETH上で動く。コイン発行時に法定通貨の裏付けが必要で厳しくチェックされている。

 

TUSD(TrueUSD)

TrueUSD is a USD-pegged stablecoin, that provides its users with regular attestations of escrowed balances, full collateral and legal protection against the misappropriation of the underlying USD. TrueUSD is issued by the TrustToken platform, the platform that has partnered with registered fiduciaries and banks that hold the funds backing the TrueUSD tokens. The USD funds are regularly verified in scheduled attestations, and kept in third party escrow accounts such that TrustToken has no direct access to the funds.

 

出典:https://coinmarketcap.com/currencies/trueusd/

(雑な意訳)大体USDCと同じ。こっちは複数の信託会社等が運営主体。

 

3)FTXの考える「ステーブルコイン」

へー、FTXはUSDペグのステーブルコインもUSDとして扱うのかー、という感じですが待ってください。大事なやつを忘れていませんか…そう、ここで表題の話にようやく入ります。

Tether(USDT)入ってないやん

はい。BinanceやOKExなどのBTC/USDTが入っていないですね。出来高的には結構あるはずですがガン無視です。それどころかUSDTのインデックスすらある始末です。

USDTはUSドル建てで取引される数ある暗号通貨の1つに過ぎない、ということを暗に言っているんでしょう。

 

アフロ「Tether(USDT)!お前は(USドルとペグされた)ステーブルコインではない!」

 

・・・

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まぁFTXを使っている人なら既知のことでしたね

 

4)おまけ

TradingViewでFTXのBTCインデックスを再現してみました(30bpの処理は省略しています)。

灰色が各取引所の対USDTUSDUSDCペアで、青の太線が平均値すなわちインデックス価格です。画像は今この記事を書いている時の5分足です。ちゃんと連動していない悪い子が何人か居ますね…

 
USD建て組(優等生)

Bitstamp君とBittrex君がちょっと怪しいですが、USD建て組は平均価格に近く優等生ですね。Coinbase君は花丸です。

 

TUSD建て組

OKEx君とBittrex君の外れ値が目立ちますね。もっとがんばりましょう。Binance君はよくできました。

 

USDC建て組 

商いの薄いアルトコインみたいな動きをしているOKExのBTC/USDC君は放課後に職員室へ来てください。

 

番外:BinanceのBTC/USDTとの比較

大体一定の割合で乖離を維持している点は先生も評価しますが、もっと1USD=1USDTになるように努力しましょう。

 

以上です。

 

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おまけ2

以下、有料部分に上記のインジケーターの主要ロジック部分を乗っけておきました。遊びたい人はTradingViewのPineエディタに貼り付けて遊んでみてください。@versionは4です。

FTXのインデックスを自分で構成してインジ作ってゴニョゴニョしている人がいるとアレがナニなので一応こういう形を取ることにしました。

なお、正確なFTXのインデックスを再現するにはここから更に中央値から30bp以上離れた場合の処理を付け加える必要があるのでご注意ください。あとFTX自身のBTC/USDがインデックスにどう組み込まれているか不明だったので省いています。

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