PoS記事の追記
元記事:
https://spotlight.soy/detail?article_id=gpahtacsx
Ethereum PoSとPoW(主にBitcoin)の違いをあくまで書くつもりでありましたが、予想外に記事がシェア頂いたため(シェア&議論ありがとうございます!)、多くのトピック外の議論を呼ぶことになりました。
基本的にこの記事はEthereum全体の分散性に関して議論するものではなかったのですが、追記しますと、基本的に分散性(非中央集権性)はValidatorの他に二つの要素 Data Availability(DA)と開発主体(Core)の権力がどうなっているのかが大きい要素です。
DAに関してはEthereumではDASというアルゴリズムで分散化されるのですが、基本ValidatorよりもDAがボトルネックになると考えられます。つまりこの記事で書かれているところよりもDAが分散性の肝です。多くのクリプトプロジェクトではDA問題が無視されるため、強調したいところですが、EthereumでもDAは40万のような多いノードでは分散されません。BitcoinではDAも含めて多くのノードで分散されています。Bitcoin Layer3のRGBではDAノードがノータリーノードと同じ数になるため、ここがボトルネックとなります。Lightning Network (Layer2)ではDAは個別ノードに分離し自己管理となるので、この問題は発生せずBitcoin Layer1と同じセキュリティになります。
開発主体の分散に関して言えば、Ethereumが現状まだハードフォーク祭りであることを加味すればまだまだです。しかし、Core開発コミュニティは世界中に分散され、合理性のない提案は普通に却下され、創始者を含めた古参開発者の影響力は実質的に大きく下がっています。(これはTwitterやメディアからはいつもVBがフォーカスされるため、一見わかりにくい部分ではあります。)なんとかergeハードフォークが4つほど残っているため、これが終わると安定版となるでしょう。Bitcoinの初期の開発とマイニングの安定と分散まで2~3年かかったのを考えれば、この期間がEthereumでは10年ほどかかっていると考えることもできます。今の時点で言っても、十分Ethereumは機能するため、もし合理性のないHFがあればネットワークは分岐し、正当性のあるものが選ばれるでしょう。この点開発コミュニティの権力は内にも外にも限定されています。
PoSの他のデメリットとしては、KYCされた取引所で購入しなければトークンが手に入らないこと、つまりエコシステムに入れないことが挙げられており、これは非常に重要なポイントだと思いました。が、Ethereum内の通貨でサービスへの支払いが増えるにつれ、ここは解決されるでしょう。
PoSの証券性の議論にも波及されていましたが、個人のステイカーは明確にネットワーク維持の労働を行っておりこの対価として受け取るEtherが証券に当たるのはどういう解釈なのかは非常に疑問で、明確な指摘はどの公的機関からもされていない現状です。一方、ステーキングサービスがレンディングにあたる可能性はSECからも明確に指摘されていました。
PoSに限らず、全体的で主観的に見れば、未だEthereumの分散性はBitcoinの半分以下であるように思えますが、これは5年スパンで大きく変わるものと考えており、自由な競争に全ての通貨が分け隔てなくさらされることが本来の資本主義・市場原理であり、昔からの文脈で言えばハイエクの言う通貨の自由競争による最小政府ではないでしょうか?
環境やエナジーコンサンプションは、公共財と見た時もしかしたら重要なのかもしれませんが、個人的にあまり注目しておらず、火力発電のうち効率の悪いものを直して日本の火力と同じ水準にすればそれだけで解決するとも言われているので、Bitcoin以外で直す部分が多すぎて、正直どうでも良いのでテキトーに書いてしまいました。これに関する両サイドの議論(PoSは環境pump vs bitcoinで地球破滅)に本当に興味がないのです。Bitcoinサイドに関しても、宇宙空間やアエクメネ地域で自然エネルギーでマイニングすれば、用途のない電気がブロック伝播だけで、そのままセキュリティにつながり、効率的で強いセキュリティを作れるため、長期的にはBitcoinが"非効率"だとはどの視点で見ても思いません。