BitMEXが2020年3月のビットコイン大暴落以降に本当に衰退したか?を数字で見る(その2
引き続き、海外で最大級の暗号通貨デリバティブ取引所の1つであるBitMEXについてトラフィック(要はサイトの訪問者数やデータ通信量など)の観点から2019年9月〜2020年6月のデータを見ていきます。
前回の記事↓
前回は「衰退の定義にもよるが、数字で見ると2020年3月以降は利用者も建玉も減って他の取引所に徐々に追いつかれており、特に出来高はそれが顕著で他の取引所の後塵を拝し始めている」というオチでまとめました。
今回はBitMEXのユーザの多数を占める韓国の国別トラフィックのシェア推移とその背景を見てきます。
まずは軽く背景から。
1)韓国のクリプト事情
この記事を読んでくださる奇特な方なら大体は把握されていると思いますが、一応触れておきます。詳しく知りたい方はこちらのCrypto Timesさんが出されているレポートが大変すばらしくまとまっているので未読であればぜひお読みください。
Crypto Timesさんの韓国レポート、まとまっていてとても有り難い
— 単眼愛(モノアイ) (@mono_i_love) June 10, 2020
・2015年からのブロックチェーン動向
・韓国政府動向
・主要PJや取引所
・2017年の熱狂
・MEXやbybit等海外デリバティブへの食いつきっぷり
・上場と退場するトークンの多さ
・クリプト周辺ビジネス動向
etc.https://t.co/yx6ojxc3ro
ここで抑えておきたいのは以下の点です。
- 韓国では2015年頃からブロックチェーン技術への感心が高く「下地」があった。政府もブロックチェーン関連の施策を積極的に推し進めている
- 2020年にビットコインを含む仮想通貨に関する法が制定されるまでは、仮想通貨のキャピタルゲインは非課税だった
- そのため、あまりに仮想通貨市場が過熱し2017年にICOや信用取引が禁止された
…といった具合に、韓国のクリプト市場は世界的に見ても稀有なレベルで過熱していました。どれくらい過熱していたかというと、分かりやすい2017年末の弊ツイートが出てきたので貼っておきます。
#ビットコイン 国内価格の上下で盛り上がっていたけど、韓国はその上を逝っていたのか…250万円から170万円へのフリーフォール。-30%の値動き。韓国のBTC先物規制や取引所Banかも?関連の報道でコリアンショックくるか?、という話を見かけたけど、これだけでも十分○○ショックと名前つけれそう… pic.twitter.com/ERytkpJlVB
— 単眼愛(モノアイ) (@mono_i_love) December 8, 2017
あまりにも韓国でのビットコイン価格だけが高騰していて、しかもそれが常態になっていました。有名なCoinMarketCapでは韓国の取引所の価格を外れ値として平均価格の算出から一時的に弾いた程です。
つまりゴチャゴチャ書きましたが、韓国人はメチャクチャ仮想通貨相場が大好きです。それも投機的な意味合いで。
儒教社会ガーとか過度な学歴社会ガーとか経済的な閉塞感ガーとか色々な背景があるのかは知りませんが、とにかく大好きです。税金もかかりませんでした(日本だと総合課税なので累進MAXなら50%を超える)。
しかし、その彼らが規制で信用取引を禁止されレバレッジ1倍を強いられたわけです。
じゃぁ、韓国人がレバ100倍できる国外のBitMEXを使わないわけがないよね?…ということです(日本でも似た傾向が見られます)。
おまけに韓国最大の取引所の1つBithumbはこの有様です。
「韓国の暗号通貨取引所Bithumbへの調査では、Monero、Dash、Bitcoin Gold、ZCashでの大量の水増し取引が明らかになりました。月に応じて対象トークンが変更されるようです」
— 単眼愛(モノアイ) (@mono_i_love) December 18, 2018
あー、この時か https://t.co/twgIDjuYfR
2)2019年9月〜2020年6月のBitMEX国別トラフィック
では本題のBitMEXへの国別トラフィックを見てみましょう。
上図は2019年9月の国別トラフィックを円グラフで示したものです。見て分かる通り、BitMEXへのトラフィックのうちおよそ4分の1以上を韓国が占めています。
ですが、2019年9月頃がピークでそれ以降は下り坂です。下図の青い面グラフで韓国のシェアの推移を示しました。
基本的にビットコインの価格(赤の折れ線)が上がると韓国シェアが増えて、価格が下がると韓国シェアが減る動きをしていますが、2020年3月の暴落以降は価格が回復しても韓国のシェアは全く回復していません。1月に価格が上昇した頃はまだ復調の兆しがありましたが…
円グラフで2019年9月と2020年6月を比較してみましょう。
明らかにKoreaだけが突出して26.8%→9.6%とシェアを下げ(それでもまだ一位ですが)、Otherに流れています。
そして、前回その1で示した通り3月暴落以降のBitMEXは利用者数(を大まかに示す訪問者数の指標)を大きく減らし、直近の6月は今年最小の値を記録しています。
ここから読み取れることは、BitMEXで熱狂していた多くの韓国勢が3月の暴落で退場ないしは撤退したであろうということです。もちろん他国でも多くの退場・撤退者が出たはずですが、そちらはシェアにあまり大きな変動が見られないところを見ると、韓国は退場・撤退した人の割合が飛び抜けて多かった事が見えてきます。
いったい彼らはどこへ行ってしまったのかはこれらの数値からはわかりません。ひょっとしたら法整備が整ってきた韓国国内の取引所へ回帰していくのかもしれませんね。世界的にも有名()な取引所がいくつもありますから。
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あっ
出典:SimilarWeb 2020年6月レポート