アフター・ビットコインを読んでみた

アフター・ビットコインを読んでみた

この本は、2017年に出版された本であり、「表紙には、ビットコインは「終わった」。ブロックチェーンは「世界を変える」。」と書かれています。ここで言う「ビットコインは「終わった」。」の意味は、「通貨としての役割に欠点が多く、satoshi=Nakamoto氏が考えていた事とかけ離れているのではないのか」という意味を持ちます。

その欠点は要約すれば以下のようになります。

①脆弱性
ビットコイン自体は堅牢だが、保管や流通の管理システムが脆弱

②偏在性
たった1%のユーザーが、ビットコインの9割を保有し、そのユーザーの大半は中国人である。

③非通貨性
通貨として使っているのは、全ユーザーのたった2パーセントであり、現状は通貨というよりは価値保存用資産として用いられている

④投機性
価格変動が激しく、通貨として扱い辛い

⑤集中性
2017年当時、全取引の94パーセントが人民元であること

⑥崩壊性
リワード半減、分裂騒動、政府介入・・・

以上のように、ビットコインが持つ欠点を指摘しています。その一例としてビットコインがビットコインとビットコインキャッシュの分裂騒動についてまず取り上げられています。 
 ビットコインの取引量が、ブロックの上限サイズを超えたので、取引に遅延が発生していました。それを解決するためにセグウィット(1ブロックの要領は変えずに、1件ごとの取引データを小さくする)の導入を決めたが、これを導入するとビットコインのマイニングができなくなると中国の企業が反発し、ビットコインを分裂させることでビットコインキャッシュが誕生しました。 
 そのような分裂騒動が続くことで、ビットコインの価値を維持できなくなることを危惧しています。そのように、ビットコインは影の側面を持ち、通貨として使いにくいけど、ビットコインを開発する中で生まれたブロックチェーンという技術はいろんな所で応用でき、特に金融分野ではプライベートブロックチェーンが主流になるだろうと筆者は主張し、金融分野を焦点にしてブロックチェーンについて説明します。

 その中で中央銀行がブロックチェーンをベースにしたデジタル通貨の発行やその実証実験について、XRPを用いた国際送金などについて説明しています。 
 大まかには第3章までは、ビットコインの仕組みや、通貨として欠点が多い事、半減期が訪れて報酬が減り、マイナーが撤退してビットコインのネットワークが維持できなくなる可能性等を説明しています。  
 第4章以降は、途端に難しくなります。第4章以降は、中央銀行(第4章、第5章)、リップル(第6章)、証券決済(第7章)になります。特に第5章では聴き慣れない言葉がいくつも登場し、理解しずらかったです。多分、著者は第5章を書くのに力を入れたのだなと感じています。

 この本で一番言いたい事は、中央銀行がブロックチェーンを用いてデジタル通貨を発行することじゃないのかなと思います。ビットコインがオワコンとは言っていないと感じます。むしろ、ビットコインは使いにくいと主張されているのではないのかと感じました。 
 正直、第4章以降は難しいので、無理して読む必要はないし、興味がある人や、経済学部でその分野についてゼミで学んだ人が読むような内容かと思います。
 現在、リップルについて話題になっています。もし、リップルについて概要を知りたいと言う場合は第3章までを読んだら、第6章に飛んでいいかと思います。また著者はXRPは市場価値が上がるとは主張していない事に注意して読んでください。

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