【読了】暗号化 プライバシーを救った反乱者たち

【読了】暗号化 プライバシーを救った反乱者たち

暗号化 プライバシーを救った反乱者たちスティーブン・レビー (著), 斉藤 隆央 (翻訳)

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大戦中の敵国との暗号通信競争を経て通信傍受を国防と信じて使命としていたNSAと、インターネット世界での通貨や情報の通信におけるプライバシーの重要性を予見した野良暗号研究者、それらが立ち上げた事業者、アカデミアとの間の苦難の話。
ディフィー、ヘルマン、基礎アイデアと関数の合流、RSA暗号の生みの熱、アリスとボブ、NSAがその時点で解読可能なレベルに落とし込まれたセキュリティ、マスアダプションのための特許戦争、技術が成し遂げた野良研究の育成、サイファーパンク。

後半、技術進歩を見据えたRSAの鍵長の必要性をNSAに訴えるためのサイファーパンクコミュニティの活動がなかなかたまらない。

次なるターゲットは、魅力たっぷりの相手だった。政府が輸出を許可した40ビットの暗号である。今度の目的は純粋に政治的なものだ。RSAを破った一致団結型の暗号解読手段を、1992年にソフトウェア出版社協会が合意したこの短い鍵(政府は約束したのにその後鍵の長さを増やしていなかった。)に対しても使えば、鍵はきっと破れ、より強力な暗号の必要性が明らかになると思われたのだ。
あるサイファーパンクが「鍵破り同盟」を作ろうと言い出すと、ティム・メイは行動を促した。「このメーリングリストのCPUパワーは相当なものだから、これを使って」六カ月で鍵を破り、アメリカの輸出用規格への不満を強く訴えることが出来ると考えたのである。(六か月というのはおよその検討だった。だが、ここでRSA破りの計算と比べるのは、リンゴとオレンジを比べるようなものだーキースペースの検索と素因数分解の違いがあるのだから。)
「へへっ、僕はもう始めてるよ……」こう書いてよこしたのは、イギリスのエクセター・カレッジでコンピュータ科学を専攻していた25歳の学生、アダム・バックだ。バックは、最初の啓示を見てすぐに、集団で解読作業をするためのスクリプトの作成のとりかかっていた。彼にはそれをうまくこなす力があった。つい最近、リヴぇストのRC-4アルゴリズムをいじっていたからだ。RC-4は、マイクロフトやロータスのプログラムに採用され、政府に輸出を許可された40ビットの暗号化をおこなうアルゴリズムだった。

色々繋がるシーンにちょっと興奮する。

自分がどんな巨人たちの方の上にいるかを実感することが出来た。
一方で、この領域においてNSAのような価値観のアップデートは再現性があるのかを考える。暗号の解放が国民を恐怖に陥れると怯える正義と、一つの自由の在り方としてのビットコインをAML/CFTの危機と怯える人々の正義の類似点。
この中ではインターネットが予見した広大な身体拡張とその広大なビジネス領域。ここがあったからアンドリーセン、ネットスケープが政府側が動いた印象も。Linux的な野良の組み込まれ方、菌類的な拡散なんだろうなあと。
何はなくとも黙々と取り組むだけであるのですが。

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