三権分立の脆弱性を修正する (Part VI):結び
我々はまず、「三権分立」が実は「国民」と「政府」による二層構造であることを指摘した。そして、そこに「世界」を加えた3つのレイヤーによって権力分立を考えることを提案した。「世界」「国民」「政府」の3つのレイヤーが、3レイヤーサイクルを形成することによって、無限階段的な相互制御が可能になり、王様もなく、外部もなく、メタのメタもない形での権力分立が表現可能になる。
3レイヤーサイクルは、正方向であろうと逆方向であろうと、矢印の方向がそろっている場合に機能する。だが時に、一部だけ矢印の方向が変わって、不均衡が生じてしまうことがある。
また、この原稿では触れていないが、3レイヤーサイクルは、それぞれのレイヤーが自律的である場合は機能するが、たとえば2つのレイヤーが癒着した場合にも破壊されることが考えられる。
我々はこれらのレイヤーサイクルの劣化対策として「フェアネス評価」という手法を考えている。これにより、王もなく、外部もなく、メタのメタもない構造でありながら自律的に権力分立が保たれる仕組みを模索したい。この点については次稿「3レイヤーサイクルと劣化」で示す。
本稿はそもそも、忖度や癒着が発生しないような権力分立の形式(構造)についての考察を重ねるなかで、いわばその副産物のようにして生まれたアイデアに基づいている。本稿は、その本論のためのイントロダクションであるので、興味を覚えた方は、続きを参照されたい。
→この記事の続き:補遺:「多様性」なら何でもいいのか? ー Google vs Pynchon
Credits:
原案:西川アサキ
草稿執筆:古谷利裕
同時編集:VECTION
作図:掬矢吉水
冒頭画像
Marble Statue Group of the Three Graces, 2nd century A.D.