ローソンPBのパッケージデザインをくわしくみる

ローソンPBのパッケージデザインをくわしくみる

ローソンのPBが変更されて、賛否両論ありますね。

ネガティブな意見が多いように思いますが、個人的にはすごく好みなデザインで、これからの時代にもぴったりな変更だなーと思ってます。

その変更について、デザイナー目線から考察していきます。

デザイナー目線といってもデザインのことだけ書くのではなく、ローソンのビジネス的な話からデザインへ深掘りをしていきますので、最初の方は退屈かもしれません!

 

もくじ

  1. IR資料から読み解くローソンの戦略
  2. 戦略とデザインの関わり
  3. 変更したデザインのポイント
  4. まとめ

 

1. IR資料から読み解くローソンの戦略

[IR資料]

ローソンは令和から「マチのほっとステーション」というスローガンを掲げています。
他のコンビニとは違い、店内で作ったお弁当、惣菜の販売や手渡しのコーヒー販売など、ローソンはマチや人に対して美味しさだけではなく温もりを提供しています。

そうした個性とは裏腹に、店舗数は大幅に増えているものの、売り上げは少ししか上がっておらず、営業利益率は下がっています。

 

実質、コンビニとして1番になれないことが確定しているに近いデータです。

私がローソンの社長だったら間違いなくやばい、と思います。
これから人口減少が進み、景気も悪くなりコンビニで物も買えないような貧困層が増えていきます。
そんな中、この伸び率では着実に衰退していくことが見えています。

資料にもそう予測する文章があります。

私は、平成時代に大きく成長したような、品揃えも営業時間も一律なコンビニエンスストアのあり方は、今後、社会の変化とともに当然変わっていくべきではないかと思います。
今、社会全体でも一人ひとりのお客さまのなかでも、世の中の非常に多様な価値観を互いに 認め合う流れがどんどん生まれてきています。
そこをどう汲み取っていけるかが重要です。

単に店舗数を追うのではなく、いかに変化する社会のニーズに応えて新しい価値を生み出せるかが最も大切なことだと考えています。

 

この文章から戦略は以下と読み解きました。

”コンビニとして便利さを追求するのではなく、
マチのお店として新たな価値の提供をする。”

具体的には、以下三点が重要視されていると考えます。

  • 地域密着
  • 個への最適化
  • PBの強化

 

2. 戦略とデザインの関わり

上記の戦略にあった店舗デザインや、PBパッケージの見直しが令和になったあたりから始まったと推測しています。

地域密着という点に関しては、IR資料にも記載がある通りマチの特性を生かした食べ物などを並べて、地域ごとに品揃えが違う、そのマチにあった店舗デザインがなされています。

 

個への最適化は、個人のニーズに沿うことが一番ですが、多様化しているので難しいと考えます。
ローソンのデザインでいう個への最適化は、人生、生活の邪魔にならないことだと思いました。

物を売る時の広告で大切にされている手法として、「シズル感」という表現があります。
「みずみずしさを表現する」みたいな意味で用いられているのですが、あくまで物が売れるようにするための表現です。

それを採用することによって、もちろん美味しさやみずみずしさは顧客に伝わりやすいですが、手にとって持って帰った時に果たしてそれが必要でしょうか。

自分の家の冷蔵庫、冷凍庫を見るとわかると思いますが、すごくごちゃついていませんか?
そして、目立つものや手前にあるものばかり手にとって、賞味期限切れを起こしてしまいませんか?

シズル感が生活に入ってくることで、生活のリズムが乱れる可能性があります。

そうした中で、ローソンのパッケージは生活の乱れを抑えた、個へ最適化されたデザインになっていると感じています。

パッケージデザインを手がけたnendoにも記載があります。

購入後の生活空間に入り込むノイズが減るように配慮した。
Lawson private brand logo & packaging | nendo

 

PBの強化についてですが、美味しさではセブンイレブンには勝てないと思っています。
なので、別の場所で勝負するしかない。

ファミリーマートは、商品と他社やキャラクターのコラボレーションで勝負しています。

ではローソンは?
人へのぬくもりと他と違うパッケージデザインでの勝負をしていると推測します。

ぬくもりと言う点に関しては、はじめの方で記載した通り、店内で作ったお弁当、惣菜の販売や手渡しのコーヒー販売を行っています。
そして今回リニューアルしたパッケージは他のコンビニにはないデザインで、生活に溶け込めるようにしています。
また、このパッケージは女性を意識したものになっており、女性が社会進出している現代ではかなり強みとして活かされています。

こういった戦略に基づくデザインの変更で、ローソンは他社との大きな差をつけてコンビニという立ち位置から大きく変化しようとしています。

 

3. 変更したデザインのポイント

長くなりましたが、ここからがデザインの詳細な話です。

まずは商品名のデザインから。

こんな感じで死ぬほど不評なんですがw

実際、納豆のパックは日本人だったら納豆だなと一発でわかりますよね。
そう言った観点から「NATTO」と英字を大きくして記載していると推測しています。

そもそも、日本語、英語、中国語、韓国語と4ヶ国語載せているのは海外からの訪問客が困らないように配慮されてのことです。
それを考慮するとの日本人が一目でわからないような商品は、日本語が大きく記載され、他は英語が大きく記載されていても不思議ではありません。

パッケージが統一されているため日本語を大きくしている

日本人に馴染みのある商品とパッケージのため英語を大きくしている

 

つぎに商品イラストの部分。

小さめのシルエットのイラストと、周囲に中身や原材料などがそれとなくわかるような手描きのイラストをパターン状にあしらっています。

確かに美味しさは伝わりにくいと感じます。
女性だったらかわいいー!と言って、購入するかもしれませんが、男性だったら手に取るのを躊躇うようなデザインです。

でも、それでいいんです。

基本的に女性はこだわりが強く、男性はこだわりが薄いです。
女性だったら近所のセブンイレブンのコーヒーより、スタバのコーヒーを飲みます。
男性だとたぶん近所のセブンイレブンのコーヒーで済ませちゃう。

こういったこだわりの差を加味したときに、女性目線で商品作った方が良いのです。

 

そして、全体について。

食品はベージュという、溶け込みやすい色味をベースに、ブラウンを文字に使用し、イラストのトーンも明るく柔らかくしており、優しい印象を与えています。

これらは、上でもお話ししましたが、生活に入るノイズが減るよう考慮されたデザインです。

店頭で少し見にくかったり、分かりにくかったりしても、それは一瞬です。
店頭から出たあと、家に帰って冷蔵庫に入れたり、そのまま食べたり、棚に置いておく時間の方が圧倒的に長く、その人の生活に大きく関わっています。

そういった、人々の生活を少しでも豊かにより良いものにしたいという気持ちが現れたデザインだと感じました。

 

4. まとめ

上の文章は綺麗な言葉でまとめたんですが、結局のところローソンは
このデザインでやっていくからこれが嫌なら他に行けばいいんじゃね??
みたいなスタンスを持っていると思っています。

正直今は適応できる人は少ないと思いますが、これから時代が変化し、自分の心の豊かさを追い求める時がくると思います。
時代に合わせて自分の生活スタイルや価値観を変えていけるといいですね。

 

あと、ローソンのビールはめっちゃうまいから飲もう!!!!!

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