仮想通貨を嫌う人が仮想通貨を嫌う理由 (文藝春秋2021年4月号を読んで考えたこと)
今月号の文藝春秋に、仮想通貨の記事があると知って、遅ればせながら読んでみました。
記事のタイトルは、『「仮想通貨」詐欺と国税があなたを狙う』となっています。
記事の一部だけなら、電子版で読むことができます。
タイトルからも分かるように、仮想通貨に対してあまり好意的な内容ではありません。
記事の前半では、仮想通貨の儲けに重い税金がかかることが説明され、一時は「億り人」ともてはやされた人たちがいかに資産を消滅させていったかが語られています。
後半は詐欺の話で、「ノアコイン」等について触れられています。
おそらく、これを読んだ多くの方たちが、仮想通貨への不信感を深めることはあっても、「投資してみよう!」と思うことはないでしょう。
そもそも、記事の内容の前半と後半で、統一感がありません。
税負担の話と、詐欺の話は、本来はまったく別の話です。
この両者を一つの記事にまとめるのは、ふつうに考えて無理があります。
結局は、この記事で言いたいのは、
「仮想通貨に関わると痛い目に遭うぞ! 火傷したくなかったら近づくな!」
・・・ということなのでしょう。
また、この記事の執筆者が、どれだけ仮想通貨やブロックチェーンについて知識があるのかも謎です。
少なくとも、この記事の中では、仮想通貨の特徴や仕組みを全く語っていませんし、イーサリアムやカルダノエイダといった個別の名前を挙げたとしても、具体的な違いには一切触れていません。
だた、この執筆者に知識がないのではなく、文藝春秋の編集方針として書かせてもらえなかった可能性もあるので、断定は難しいところです。
いずれにしても、この記事を読んでも、仮想通貨に関する知識は、まったく増えませんでした。
さて、読後感として、「この記事は、仮想通貨を忌み嫌う人を増やしたいんだな・・・」という印象を抱きました。
おそらく、記事を書いた人か、あるいは編集部が、仮想通貨を嫌っているのでしょう。
その点は、やっぱり残念な気持ちになったのですが、一つだけ、おもしろい発見もありました。
同じ号の別の記事に、興味深い指摘があったのです。
それは『数字の科学』というコラムです。書き手は佐藤健太郎という方です。
佐藤さんは「ダグラス・アダムスの法則」なるものを紹介しています。
「人は、自分が生まれた時に既に存在したテクノロジーを、自然界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じる。35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じる」
つまり、ある年齢を超えると、新しいテクノロジーに対して、不安や恐怖を感じるようになる、ということでしょう。
これを踏まえて、佐藤さんは言います。
うまい話に簡単に乗らない防衛意識も大切だが、優れた新技術を受け入れる柔軟さと、成否を判断するリテラシーも、同じほど大切だろう。35歳はとうに過ぎてしまった筆者だが、なんとか頭だけは柔らかく保ちたいものと思っている。
・・・いかがですか?
まるで、同号の仮想通貨の記事を皮肉るような指摘ではありませんか。
仮想通貨を嫌う人たちが、なぜ仮想通貨を嫌うのか、私はしばしば考えるのですが、結局は「歳をとって頭が固くなったせい」という単純な理由なのでしょうか?
経験豊富な年配者を軽んずべからずと考える私としては、あまりそう結論づけたくはないのですが・・・
意外と、大手マスコミもそうなのかな・・・?
前に記事を書いた時は想像しなかったけど・・・
あなたはどう思いますか?
コメントいただけると嬉しいです。
ちなみに、文芸春秋4月号は、他の記事も読みごたえありました!
たとえば、『東京五輪 国民は望むのか』というタイトルだけでも、興味をそそられます。踏み込んでますね~
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最後まで読んでくださって、ありがとうございました!