オルタナティブってかっこいい

なんでも好きなこと書いちゃうね

researchat.fm で東浩紀さんの「ゲンロン戦記」が激推しされていたので積読していた。昨晩寝る前に開いてしまったのだが、寝る前に読んでいい本ではなく、そのまま夜通し読破したのであった。それについて頭に浮かんだことを、またここに書き下す。("書き下す"の使い方あっているのだろうか?頭にあることをそのまま文字に起こした、ぐらいの意味で使っているのだが...)

この本は東さんがゲンロンの運営者(大体の期間を経営者)として振り返り、主にその失敗と成功の一部を書籍にしたものらしい。私は東さんの熱心な読者ではない。たまにテレビを含む動画媒体で見かけたり、書籍は何冊か一応読んだことがあるかも、という程度である。でもこの本はとても良かった。泣けて、熱くて、かっこよかった。

# 雑談の大切さ

先日こちらの記事でも、雑談こそがすべてということを書いたが、本書でも「誤配」のエピソードが数多く紹介されている。東さん自身も

> そのような事故=誤配こそがイノベーションやクリエーションの源だと思うのです。

とおっしゃっていて、それこそがゲンロン/ゲンロンカフェの価値なのだなと実感しました。哲学の難しい話をしている場所、という認識で、行ったことも見たこともなかったが、このような空間が増えるといいなと思った。

脱線するが、この観点から Dabel と clubhouse を比較すると私が求めているのは Dabel である。名前の話です。サービスの内容は無視しています(ただし clubhouse の UI はわりといい笑)。必要なのはコミュニティやグループやディスカッションではなく、ただ、だべることなのだから。

私のちょっとしかない経験からも、雑談の価値を感じている。
会社にいる時間のうち、どの時間にもっとも価値があったか振り返ってみると、迷うことなく退社後の 22:00 から始発まで時間であった。
もちろん実務で学ぶことはたくさんあった。けど、それよりも、after 22:00 のよくわからないけど雑談している時間は本当に素晴らしい時間であった。
そして、これは計測できないけど、なにか新しいことをしたり、正しいことをしようとするときに最も大切な時間であるはずだ。

# オルタナティブ

ではなぜ、誤配が価値になるのか。それは、オルタナティブであり続けることが一つの目的だからではないだろうか。  

> とにかくオルタナティブな場をつくりたかった

東さんはゲンロンを立ち上げた。
でもオルタナティブは、計画したり逆算したりしてなるものではない。
オルタナティブになる、のではなくて、自分のうちにオルタナティブな要素があることに気がついたときに、如何にそれを守り続け、そこにとどまり続けることができるかな気がする。  それは簡単ではないと思う。理解されないし、受け入れられもしないからオルタナティブなのだから。
なにもしなければ、メインストリームにいつのまにか乗っかってしまっているのだ。
なので、考えることが必要で、

> 思考は誤配=雑談から生まれ

るのだから、誤配が必要で、それがゲンロンの本質的な価値になったのかなとちょっと思った。  

# シラス

オルタナティブでありつづけるためには、特に、メインストリームから独立している必要があるだろう。  なので、ゲンロンが独自の配信プラットフォームシラスをもつことは自然な流れだと思う。  

ここで欠けているのはなにか。
お金である。オルタナティブでありつづけるためには、シラスはメインストリームではないお金をサポートする必要がる。
現時点でこれについて語るにはビットコインさんなしでは語ることはできないだろう。
電子マネーのアプリケーション化が急速に進んでいて本当にどうしたもんかと思う。
メディアのアプリケーション化がどのような結果をもたらすかは、たくさん示されたし、最近も SNS 周りで結構強烈に見せつけられたはずだ。
にもかかわらず、電子化という流れの中で、お金というメディアは言葉というメディアが進んだ誤った道を、再び通っている。
電子マネーはすでに失敗しているわけだから、ビットコインさんはそれに気がついたひとのオルタナティブたり続けないといけない。いつかメインストリームになる日を夢見て。
こういう問題は、顕在化したからといって流れが一気に変わるものではないのだなと感じている。  

シラスは「スケールはいらない」という強い信念をもって運営されているようだ。  

> 問題は「資本の蓄積」です。いまのことばでいえば「スケール」です

私はいちおう Web コンテンツのマネタイズにも関心があるので、この観点からも追いかけて生きたい。
でもそおもうとゲンロンってすごいな...。De Correspondent の英語版がだめになってしまったことからも、"健全な"マネタイズが難しいことは垣間見られるし...。
ちなみにこれおすすめです。
Blendle

資本の蓄積で思い出したけど、岩村さんの最終講義もなんとなくかぶる部分があったようななかったような...。

東さんが指向する

> スケールを追い求めることなく、地味にお金が回っていく世界

を「Web」に「独立」したものとしてつくるにはやはり現時点ではビットコインさんなしでは考えることはできない。
これを実現するお金は、アプリケーションではなくプロトコルではなくてはならず、メインストリームではなくてオルタナティブでなくてはならないのだから。  

ここ spotlight も同じように新しいマネタイズを指向していくことも一つの目的であるだろうから、盛り上げていきたいですね。  

# みんなで戦っていこう〜

思い出してほしい。これは「戦記」なのだ。
オルタナティブであり続けるために東さんがどのように戦ったのかとということだと思う。
自分は戦えているだろうか。まったく戦えていないな...。
ビットコインさんというオルタナティブを認識して重要だと感じて信じているにも関わらず、たぶん、一緒に戦ってはいなかったなと思う。
自分は応援していただけで戦ってはいなかったんだなと本書を読んで感じた。
オルタナティブを叫ぶ口だけなやつだ。  

東さんは

> 本書ではいろいろなことを話しますが、もっとも重要なのは、「なにか新しいことを実現するためには、いっけん本質的でないことこそ本質的で、本質的なことばかりを追求するとむしろ新しいことは実現できなくなる」というこの逆説的なメッセージかもしれません。

と綴っている。
本書では本質的でないことの例として、会社の運営があげられているが、まあ雑にいうとつまり、「戦う」ということなのだと解釈した。

傷つかない戦いはない。
叩かれ、無視され、批判され、理解されず、馬鹿にされても、オルタナティブであり続けるために、みんなで戦っていこうね。
オルタナティブはそれだけ価値があることなのだから。  

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