忘れられないシンガポール・スリング
みなさんは「シンガポール・スリング」と言うカクテルをご存知ですか?私は、カクテルはあまり詳しくないのですが、このシンガポール・スリングに関しては昔から名前だけは知っていました。ただ、当然飲んだ事もなければ、どんなカクテルかも知りませんでした。しかし、ある日を境に私にとっては忘れられないカクテルになりました。今日は、そんなシンガポール・スリングにまつわる私の個人的な思い出のお話です。
今から8年前、私はオーストラリアのパースへワーキングホリデーに行く事を決めました。現地で通う語学学校の手配や住居の手配など、慌ただしく準備を進め、そして飛行機のチケットを購入しました。当時私は名古屋に住んでいたので、中部国際空港からパースへ向かう飛行機を探しました。当初はLCCも考えましたが、旅の始まりは少々高くても確実な手段が良いと思い、私はシンガポール航空を選ぶ事にしました。
飛行機は直行便ではなく、シンガポールのチャンギ空港を経由してパースに向かう経由便でした。そしてすべての準備が整ったので、私は友人に出発が決まった事を連絡しました。
するとその友人は、「空港まで見送りに行くよ」と言ってくれました。正直、海外は初めてではなかったのですが、1人で行くとなるとやはり不安なので、私はその申し出をありがたく受ける事にしました。しかし、私が出発日を伝えるとその友人は、「ごめん!その日は会社の慰安旅行だから見送り行けないわ」と言いました。
少しがっかりしながらも、(それならしょうがないか)と私が思っていると、友人は「ちなみにどんな航路で行くの?」と聞いてきました。そこで、私がシンガポール経由である事を告げると、その友人は笑いながら「じゃあ会えるわ!」と言いました。
最初、私は彼が冗談を言っているのだと思っていました。しかし、よくよく話を聞くと、なんとその友人の旅行先もシンガポールだったのです(笑)。こんな偶然、なかなかないですよね?と言う事で、我々はシンガポールで落ち合う事になりました。
どうやら友人は、あの有名なマリーナベイ・サンズに宿泊していると言う事で(羨ましい)、ホテルのロビーで集合する事になりました。とは言っても、海外で落ち合うのは簡単な事ではありません。辛うじて携帯はiPhoneだったのでWi-Fiは使えますが、初めての国で迷わずにたどり着けるのか、しかもトランジットなのでそんなに滞在時間も無い中での行動となります。
そして当日、無事にチャンギ空港に着くと、私は友人にLINEを送りました。しかし、いつまで経っても既読になりません(笑)。不安な気持ちになりつつ、私は空港から電車に乗ろうとしました。すると、今度は乗る直前にドアが閉まり体が挟まれてしまいました(笑)。そして、そのままドアは開く事なく強引に閉まり、私はホームへと弾き飛ばされました(笑)。異国の地で異国の人にその光景を見られ、もうどうしていいのかわからない複雑な気持ちになりました(泣)。この時点でのシンガポールの印象は最悪でした(笑)。
なんとか次の電車には挟まれずに乗り込み、痛む肩をさすりながら友人の待つマリーナベイ・サンズにたどり着きました。ホテルは目立つのですぐにわかりましたが、中に入って愕然としました。ロビーが広すぎてどこにいるのかわからないのです(笑)。そもそも、どこまでがロビーなのかもよくわからない感じです。どうしていいかわからず、途方に暮れながら歩いていると、急に後ろから「よお!」と肩を叩かれました。びっくりして振り返ると、そこには当たり前のように友人が立っていました(笑)。
こうやって奇跡的に出会えた私たちは、取り敢えずホテルのバーで乾杯する事にしました。もちろん、選んだ飲み物は・・・
シンガポール・スリング!(写真が下手くそでよくわからないですが(笑))
シンガポール生まれの名カクテルを、本場シンガポールで友人と飲む、と言うだけの話だったのですが、様々な偶然と紆余曲折と奇跡によって実現した、私にとっては忘れられない出来事でした。しかし、正直どんな味だったかはもう覚えていません(笑)。たまにはワインや日本酒ではなく、シンガポール・スリングでも飲んでみようかな。