ワインはちょっと危険な飲み物!?

ワインはちょっと危険な飲み物!?

みなさんこんにちは。数か月前に、私はあるワインの試飲会に参加しました。そこでは数十種類のワインが試飲出来るのですが、この時私にはある不安がありました。それは・・・

歯が痛くなるかも

と言う事でした(笑)。なんだ虫歯かよ!ってツッコミが聞こえてきそうですが、実はそう単純な話でもないのです。では一体どう言う事なのかお話しますね。

昔ワーキングホリデーでオーストラリアにいた頃、現地でオーストラリア人の歯医者さんと仲良くなりました。彼は、私がワインが大好きで良く飲んでいる事を知っていたので、ある時こんな事を教えてくれました。

「ワインを飲んだ後は、すぐに水でいいから口の中をすすいだ方がいいよ。私の患者さんでワイン関係の人は、みんな歯がボロボロだよ(笑)。」

え!?歯がボロボロ!?

最初にこの話を聞いた時、私はかなりの衝撃を受けました。彼の話によると、どうやらワインの酸はかなり強いらしく、長時間そのままにしていると歯が溶けてしまうそうなのです。

まあ、さすがにボロボロだよと言う表現は彼なりのジョークだったのかもしれませんが、それでもこの話を聞いてからと言うもの、私はワインを試飲した後には必ず水で口の中をすすぐようにしてきました。

さて、それから数年後。

この友人の話を知ったからと言うわけではないのですが、私は定期的に歯医者さんに行って歯のメンテナンスをするようにしていました。毎回歯のクリーニングと状態を確認してもらい、これまで特に問題もなかったのですが、ある時から左の上の歯が時々痛むような感覚が出るようになりました。

始めの頃はとても気になっていたのですが、しばらくすると自然と歯の痛みも消えていくので、特に何もせずにそのままにしていました。

そんなある日、また歯が痛み出した私はある事に気が付きました。それは・・・

ワインを飲んだ後に痛みが出る事がある

と言う事でした。毎回ではないのですが、歯が痛くなった時にはその前にワインを飲んでいる事が多かったのです。これは・・・まさか!?・・・あの友人の言葉が脳裏に浮かびます。気になった私は、因果関係があるのかを少し調べてみる事にしました。すると、こんな症状にたどり着きました。それは・・・

酸蝕歯(さんしょくし)

私達の歯は酸性の飲食物にさらされると、歯の表面のエナメル質が溶け始めます。しかし、それと同時に唾液が酸性に傾いた口中を中性に戻すため、通常であれば歯が溶ける事はほとんどありません。

ところが、酸性の飲食物に歯が長時間さらされてしまうと、唾液による中和が追い付かず結果として歯が溶けてしまう、これが酸蝕歯と呼ばれる症状です。そしてこの酸蝕歯は、酸性度が高い飲食物ほどそのリスクが高く、ワインもその中の一つとして挙げられるのです。

歯の表面が溶け始めるpH値(酸性・中性・アルカリ性を示す指標で、7が中性、それ以上はアルカリ性、それ以下は酸性となる)は5.5と言われているのですが、ワインのpH値は約3前後と非常にリスクが高い事がわかります(ワインの種類によってもpH値は変わるので一概には言えませんが)。

もちろん、ワインだけではなく他の飲食物、例えば炭酸飲料やレモンなどの柑橘類、意外なところではスポーツドリンクなんかも酸蝕歯のリスクが高いと言われています。しかし、特にワインはゆっくりと時間をかけて楽しむ事が多い飲料なので、口中が酸性状態に長時間さらされやすく、よりリスクが高くなっているのです。

さて、この事実を知った私は、すぐに歯医者さんにこの事を相談しました。しかし、調べてもらうと特に酸蝕歯の症状は見られず、さらに意外な事実がわかりました。それは・・・

左上の歯間に虫歯があります

え!?虫歯あるの(笑)。じゃあ、これが痛みの原因か、と思ったのですが、歯医者さんいわく、

初期の虫歯なので痛みなどが出る事はほとんどないんですけどね

との事。じゃあ、この痛みは一体何が原因なのよ(笑)。結局、はっきりとした原因がわからないまま、私は冒頭に書いたような不安を抱えてワインの試飲会に参加する事になりました。

さて、試飲会では歯の痛みの原因かどうかは別にして、酸蝕歯のリスクを避けるために試飲するたびに水で口中をすすぐようにしていたのですが、しばらく試飲を続けていると・・・

あれ?なんか歯が痛いかも。

不安は的中しました(笑)。だんだんと歯が痛み始めたのです。もうこれは、確実にワインと初期虫歯が原因としか思えません(笑)。おそらく、水ですすいでもワインの酸性度が高いうえに頻繁に歯に触れる事で口中の中和が追い付かずに歯が溶け始め、そしてそれが初期虫歯の部分で何かしらの痛みの原因として作用したのだと勝手に結論付けました(500mlのペットボトル2本分はすすぎましたがダメでした(笑))。

さて、こうやって書くとワインは危険な飲み物のように思えてしまいますが、試飲は味を確かめるために口中全体にワインを行き渡らせるようにしますし、この日は2時間絶え間なくワインを口の中に入れ続けると言う特異な状況だったので、こうなってしまったのだと思います。

そして、そもそもワインが原因ではなく、単純に虫歯が痛み出しただけの可能性もあります(笑)。ただ、痛みは別にしても、ワインによる酸蝕歯のリスクが高い事はおわかりいただけたと思います。そのため、みなさんもワインを楽しまれる時にはこの酸蝕歯のリスクを少しでも下げる飲み方をされる事をおすすめします。

例えば、ワインを飲んだ後にはこまめに水を飲んだり(飲酒時は脱水状態になりやすく、適度な水分補給はアルコールの分解も助けます)、長時間ダラダラ飲まないようにして、口中の酸性状態を長引かせないようにする、と言った方法が考えられます。また、チーズは口中をアルカリ性に変化させる効果があるそうなので、ワインを飲む時にはチーズをつまみながらと言うのも効果があるかもしれません。

そして、ワインに関わらず炭酸飲料や柑橘類などを食す時にも、この酸蝕歯のリスクを考えた摂取を心掛けたいものです(成人の4人に1人がこの酸蝕歯と言うデータもあるようですよ)。

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