ワイン怪談2
みなさんこんにちは。今年も、このワイン怪談の季節がやってまいりました(笑)。今回も、ワインにまつわるちょっとだけゾッとするようなお話をご紹介したいと思います。やや暑さも和らいできた今日この頃ですが、さらなる涼を感じて頂けたら幸いです。
さて、これは今から20年近く前、私の友人(Aさん)が都内のレストランで働いていた頃のお話です。ちょうど今のように、少し涼しさを感じるような夏の夜。その日は6名の予約が入っていたそうで、お店に唯一ある個室を用意したそうです。
その個室は、赤を基調としたデザインが施されたモダンな造りで、天井には立派なシャンデリアもあり、高級感のある雰囲気が当時の顧客の間では人気を博していたそうです。
やがて、仕事終わりと思われる20代半ばぐらいの男女6名のお客様がお見えになったそうです。Aさんはいつものようにお客様を個室へと案内し、ドリンクメニューを置いて個室から出ました。
しばらくして、個室からAさんを呼ぶ声が聞こえてきたのでオーダーを取りに行くと、彼らはフランスのアルザス地方のスパークリングワイン「クレマン・ダルザス」のロゼを注文したそうです。
Aさんは、すぐに慣れた手つきでワインクーラーに氷と水を用意し、そこに注文されたスパークリングワインを入れてテーブルへと持って行きました。
そして、スパークリングワイン用のフルートグラスを用意し、ワインが適温になった頃を見計らって、スパークリングワインの抜栓を始めました。
このお店では、ボトルで注文されたワインは全て客前で抜栓して、グラスにサーブするそうで、最初の頃は緊張して手こずっていたAさんも、この頃にはスムーズにサービスが出来るようになっていたそうです。
しかし、いつものように瓶口のキャップシールを剥がし、針金を緩め始めた次の瞬間!!
ポン!!ガシャン!!
ものすごい音をたてて、瓶口からコルクが勢いよく飛び出し、さらにそのコルクがあろうことか天井のシャンデリアに直撃!一瞬何が起こったのか状況を把握できなかったAさんでしたが、激しく揺れるシャンデリアと手元から消えたコルクを見て、すぐに何が起こったのかを理解し、一気に青ざめました。
飛んでいったコルクには、
このような金属部分が付いたままだったので、直接当たっていたらケガをする危険がありました。さらにシャンデリアが割れていたら、その破片がお客様に当たってケガをする危険性もありました。
あまりの出来事に頭が真っ白になっていたAさんでしたが、一瞬の静寂の後、思わぬ展開が待っていました。
お~すごい飛んだね~!!
なんと、そのお客様達はこの光景を見て怒る訳でもなく、むしろ凄いと言って歓声を上げ始めたのです(笑)。我に返ったAさんはすぐに謝罪をし、コルクが当たってケガをされていないか、シャンデリアが割れてガラスの破片が当たっていないかを確認、幸い誰にもコルクは当たっておらず、シャンデリアも無傷だったそうです。
今回はたまたま20代のノリの良いお客様で、しかも誰もケガをされなかったので大事には至りませんでしたが、一歩間違えれば大惨事になっていた訳で、Aさんは相当肝を冷やしたそうです。
通常スパークリングワインを抜栓する際には、
このように、必ずコルクを指で押さえながら針金を緩めなければいけません。なぜなら、瓶内は非常に高圧になっているので、針金を緩めた瞬間に勢いよくコルクが飛び出す危険性があるからです。また、万が一コルクが飛び出した際の被害防止のためにも、ふきんなどを被せながら行う事も必要となります。
Aさんもその事は理解していて、当初はふきんを被せながら指でコルクを押さえていましたが、これまで一度もコルクが飛び出した事がなかったために、いつからかふきんを使わずに、形だけ指を押さえるようになっていたそうです。
今回は、仕事の慣れが生んでしまったゾッとするお話でしたが、少しは涼を感じて頂けたでしょうか(笑)?ぜひみなさんも、スパークリングワインを抜栓する際には、くれぐれもご注意下さいね。さもなくば、恐怖の出来事があなたを襲う事になるやもしれませんよ・・・。
楽しませていただきました。
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