🐇21のレッスン - ビットコイン・ラビットホールに落ちて学んだコト🕳️Lesson 4

🐇21のレッスン - ビットコイン・ラビットホールに落ちて学んだコト🕳️Lesson 4

🐇Lesson 4🕳️
同一性の問題

“あなたはだれ?” 毛虫がたずねた。
引用元:不思議の国のアリス

ニック・カーターが、トマス・ネーゲルがコウモリに関しての同じ問い(※翻訳者注1)を考察した論文へのオマージュとして、下記の問題を議論するのに素晴らしい作品を執筆した。ビットコインであるとはどのようなことか?

彼は一般的なオープンでパブリックなブロックチェーン、とりわけビットコインがテセウスの船(※翻訳者注2)と同じ難問に苦しんでいるのを華麗に示している。どのビットコインが本当のビットコインなのか?

“ビットコインの構成要素が持つ永続性が、いかに少ないものかを考えてみよう。コードベース全体は書き直され、変更され、元のバージョンとはほぼ似ていない程に拡張されている。 […] 誰が何を所有しているかのレジストリ、台帳そのものが事実上、唯一のネットワークの永続的な特性である。 […] 真にリーダーがいないと見なされるためには、一つのチェーンが正当なものであると明確に指定するような構成要素を持つ、といった簡単な解決策を放棄しなければならない。”
ニック・カーター

テクノロジーの進歩により、こうした哲学的な問いを真剣に受け止めざるを得なくなっているようだ。遅かれ早かれ、自動運転車は現実世界バージョンのトロッコ問題(※翻訳者注3)に直面し、誰の命が重要で誰のがそうではないかの倫理的決定を強いられる事になる。

暗号通貨は、最初の論争を呼んだハード・フォーク以降、本質的に同一性の形而上学について考え、同意する事を余儀なくされている。興味深い事に、我々がこれまでに得た2つの大きな事例は、2つの異なる答えに繋がった。2017年8月1日、ビットコインは2つの陣営へと別れた。マーケットは、変更されていないチェーンをオリジナルのビットコインと決定した。それより1年前の2016年10月25日、イーサリアムもまた2つの陣営へと別れた。マーケットは、変更されたチェーンをオリジナルのイーサリアムであると判断した。

適切に分散化されている場合、このテセウスの船によって提示された質問に、これらの価値移転のネットワークが存続する限りにおいて、永遠に答え続けなければならないだろう。

ビットコインは私に、分散化は同一性と矛盾する事を教えてくれた。

 

レッスン3:複製と局所性 <<-->> レッスン5:欠点なき概念

(C)Gigi "21 Lessons" クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に基づき翻訳

※翻訳者注1:アメリカの哲学者トマス・ネーゲルが論文で問うた「コウモリであるとはどのようなことか」という思考実験。科学的なアプローチで物理的・客観的にコウモリの神経構造などをいくら調べたとしても、コウモリが実際にどのように世界を体験しているか、その主観的体験を人間には知りようがないとする、意識の主観性の問題を扱っている。

※翻訳者注2:テセウスの船・・・ギリシャ神話をモチーフにした同一性(アイデンティティ)におけるパラドクス。英雄テセウス王が、ミノタウロスとの戦いののちに持ち帰った船を、アテネの人々がその後も大事に保存していたが、船の建材は徐々に朽ち始める。朽ちた部分は少しずつ新しいものと置き換えられていったが、やがては全て新しい建材で置き換えられてしまった。この時、この船は元の船と同じと言えるだろうか?

 

※翻訳者注3:トロッコ問題・・・これな。

 

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