【和訳】2020年のクリプトはどうなるのか?Coinbase CEO Brianの予測

【和訳】2020年のクリプトはどうなるのか?Coinbase CEO Brianの予測

nakamoto.comというウェブサイトをご存知でしょうか?イーサリアムのVitalikなどの業界の著名人が記事を投稿しているサイトです。

この中から、暗号通貨取引量(現物)が世界3位のCoinbase CEO、Brian Armstrongが書いた2020年のクリプトはどうなるか?という記事を紹介しようと思います。

界隈に詳しくない人でもわかるように、用語を解説しながらかみ砕いて書くので、ぜひご一読ください。

まとめとしては、プロトコルの統合や、資産を預からないタイプのアプリが増加する事による規制への対応の変化、また彼の友人の投資家のコメントとしてビットコイン価格が将来的には1,000万円になる可能性の示唆など、足元の分析から夢のある話まで楽しめる内容でした。

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2020年のクリプトはどうなるのか?
誰も未来を予測することはできませんが、クリプトコミュニティはその発展に注力しています。

今後10年間で、速度が速くてプライベート性を持ったブロックチェーンが、約10億人のユーザーに広まると私は信じています。

先進国の投資家、エンジニア、ベンチャー企業と、金融システムが壊れている新興国の人々の両方によって、急速な広がりを見せると思います。

今後10年間で、ほとんどのスタートアップがインターネットや機械学習を利用しているようにブロックチェーンを使うようになると私は予想しています。また、政府や機関も、これまで以上に大規模なにクリプトに参入してくると考えています。

ここからはいくつかのカテゴリに分けてくわしく説明します。

 

1.スケーラビリティ(通信速度)

2020年代には、レイヤー2のソリューションや、通信速度をを数桁向上させる新しいブロックチェーンが登場すると思います。現在、多くの改善方法が検討されていますが、それらの多くはお互いに関係しあっています。

最近のブロードバンドインターネットが昔の56Kモデムに取って代わられたことで、YouTubeやNetflixのようなインターネット上の新しいアプリケーションが生まれたように、スケーラビリティは制約を取り除き、全く新しいアプリケーションを可能にすると思います。

 

2.プライバシーの保護

スケーラビリティに加えて、2020年代にはプライバシーがブロックチェーンに組み込まれると思います。

インターネットがHTTPで始まり、後に多くのウェブサイトでデフォルトとしてHTTPS(プライバシーを保護するウェブサイトです)が導入されたのと同じように、2020年代にはプライバシー機能が組み込まれた「プライバシー・コイン」やブロックチェーンが主流になると思います。

ほとんどの場合、台帳上のすべての支払いをだれにでも見える形にする事は意味がありません。

 

3.統合

Dfinity、Cosmos、Polkadot、Ethereum 2.0、Algorandなどの次世代プロトコルに取り組んでいる質の高いチームが多数存在し、既存のチェーンのためのレイヤー2スケーリングソリューションに取り組んでいます。

(スピードを速くするプロジェクトですね。Spotlightで使っているLightningもその一つです。)

私の予想では、今後10年以内にこれらのチェーン上でわかれている開発者やユーザーのチェーンの統合が見られるかもしれません。スケーラビリティ、プライバシー、開発者ツール、その他の機能において最も進歩を遂げたチェーンが、最も大きな利益を得るでしょう。Winner Takes All(一人勝ち)です。

これらのチームの間でM&Aが行われることもあるかもしれません。あるトークンが固定されたレートで他のチェーンに統合されることもあるでしょう。

トークンの数は、世界に存在する企業やオープンソースプロジェクト、DAO、NPOの数と同じくらい(つまり数百万人規模)になるでしょうが、これらの資産の基盤となるインフラを支えるチェーンは、ほんの一握りになるかもしれません。

 

4.トレーディングからユーティリティ(その他の用途)へ

2010年代は主に暗号通貨への投機と投資が中心で、トレーディングが活動の大部分としてビジネスモデルを牽引しました。この傾向は2020年代にも続きますが、2020年代にはユーティリティ(トレーディングではない目的で暗号通貨を使用する)を推進することになると考えています。

すでにこの傾向は始まっていて、より多くのユーザーがトレーディング以外の通貨のステーク(預け入れ)、レンディング(貸し出し)、デビットカード、買い物などを行うようになっています。

 

5.クリプトスタートアップの活躍

今後10年では、新しいタイプのスタートアップが一般的になります。

ドットコムの流行がインターネットのスタートアップのアイデアを一蹴したように(そして10年後には、ほぼすべてのハイテクスタートアップが何らかの方法でインターネットを使用しています)、2020年の終わりまでには、ほぼすべてのハイテクスタートアップが暗号通貨のサービスを利用していると私は信じています。

クリプトスタートアップの定義とは何でしょうか?これには3つの要素があります。

第一に、暗号通貨を使用して資金を調達する(グローバル資本の大きなプールから、ベンチャーキャピタルに操作されることなく資金調達ができます)

第二に、製品を市場に早く広めるために、アーリーアダプター(初期のユーザー)にトークンを発行することで、彼らをエバンジェリスト(製品を広めてくれる人)にする事ができます。これはベンチャー企業が初期の従業員に会社の株式を配るのと同じように、受け取った人に企業に対して協力するインセンティブ(報酬)になります。

第三に、従来のスタートアップ企業では見たことのないようなペースで、グローバルなコミュニティやマーケットプレイスを結びつけることができます。(各国の支払い方法や規制を一度に統合して国ごとに拡大していかなければならないため、難しい点はあります。)

この規制上の問題は無数にありますが、その利点は非常に強力なので、市場は方法を見つけると思います。ただもちろんこれらの暗号の新興企業は、人々が本当に欲しているものを作らないと成功はしません。

次の1億人がクリプトに触れるのは暗号通貨の事を知っているからではではなく、ゲームをプレイしたり、分散型SNSを利用したり、収入を得ようとする際に、結果的に暗号通貨を利用する事になります。

暗号通貨を利用するのが目的ではなく、特定のアプリを使う際に暗号通貨の利用が必須になるのです。


6.アジア、南米、アフリカのような新興国市場

上で書いたクリプトのスタートアップから巨大な世界の変化は始まりました。このほかにもクリプトが活躍するのは、既存の金融システムに大きな問題がある新興国市場です。

特にインフレ率が高く、大規模な送金市場を持つ国では、暗号通貨が非常に役立ちます。2019年、GiveCrypto.orgはベネズエラ(過去に年間インフレ率268万%という記事で書きました)の5,000人に暗号通貨の支払いを行い、そのうち90%以上が暗号通貨を受け入れる地元の店舗または現金化できるお店で少なくとも1回の取引を行うことができました。

これは、新興国市場(信頼性の低いインターネット、古いスマートフォン、教育の不足が課題)では、ツールが使い勝手の閾値を越え始めていることを示しています。

2020年代には、新興国市場での暗号通貨の採用が数億人のユーザーにまで拡大し、少なくとも1つの国では経済の取引の大半が暗号通貨で行われるように「傾く」ようになると思います。


7.巨大な機関投資家

私たちはすでに、小規模な機関投資家が暗号通貨市場に参入しているのを見ています。過去18ヶ月間に何百もの機関がCoinbase Custodyに参加しています。

この急速な成長は2020年も続くと予想され、より大きな金融機関が参入してくるでしょう。最終的には、ほぼすべての金融機関が何らかのクリプトカレンシーの運用を行うようになり、ほとんどのファンドが資産の一部をクリプトカレンシーで保有するようになるでしょう。

世界のお金の90%のようなものは、機関投資家によって保管されているので、彼らの資産はおそらく暗号資産のための多くの使われるようになります。

 

8.各国の中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)

FacebookによるLibraは、アメリカ政府のほぼ全員の怒りを買いました。中国は人民元のデジタル化を開始し、ブロックチェーンを彼らの国家戦力としてコア技術投資の一つにすることによって世界の中でも先進的な立場をとることに成功しました。

アメリカは、中国に少しずつ追いついてきており、ドルをどのようにデジタル化するかについて活発な議論が行われています。USDコインを持つCENTREは、米国が注目するソリューションかもしれませんし、FRB(簡単にいうとアメリカの中央銀行です)はブロックチェーンを使って独自のデジタル化されたドルを実装しようとするかもしれません。

その時には、LibraやCENTREのようなコンソーシアムによる、あるいはIMF自身による、バスケットデジタル通貨が出てくると思います。


9.市場構造の成熟

過去10年の間に、私たちが暗号通貨の取引所と考えている企業の多くは、実際には証券会社、取引所、カストディアン、清算機関が1つにまとめられていました。

2020年代には暗号通貨の市場構造が、より伝統的な金融の世界に似たものに進化し、これらの機能が法的・規制的な観点から分離されていくと思います。

※カストディアンは、投資家に代わって有価証券の管理を行う機関です。特に、国外の有価証券に投資する際、現地で有価証券を管理したりします。

この動きはすでにある程度おきています。例えば、Coinbase Custodyは、NY州に承認された独自の取締役会を持つ別会社になっています。Coinbase Proも同様に証券会社と取引所に分かれています。

従来の金融サービスの世界と同じように、ある商品の顧客は別の商品の競合相手になります。これらの分離された構成要素が整備されれば、SECやその他の機関は、個人投資家向けの暗号通貨インデックスファンドを作りやすくなるだろうと私は予想しています。

10.分散化がより進む

Fiat(日本円などの通貨)から暗号通貨への交換を行う中央集権的な取引所は、従来の金融サービスと同じような発展を遂げるでしょう。しかしDEX(分散型の取引所)は全く違う形になりそうです。

いったんFiatを暗号通貨に代えれば、その後は暗号通貨同士の交換だけで楽しめる魔法の世界が広がっています。この世界では、ノンカストディアンウォレット(ユーザーの資産を直接保管しないウォレット)、DEX、Defi、Dappsは、使いやすさとセキュリティの面で改善され続け、ゲームからオンラインコミュニティ、独自の経済を持つ仮想世界に至るまで、多くの新しいアプリケーションが登場することになるでしょう。

この世界の多くのアプリや非カストディアンウォレットは、決して顧客の資金を保管しないため、金融サービス会社ではなくソフトウェア会社のように規制されることになるでしょう。これにより、イノベーションのペースは劇的に加速するでしょう。

この世界では、プライバシーがより大きくなり、プライバシーコインやノンカストディアン・ウォレットがより多く採用されるようになるでしょう。また、分散化されたID管理でプライバシーのリスクも少なくなり、それらのIDに関連した個人への評価も見られるようになるでしょう。

分散型の暗号経済が成長するにつれ、より多くの人々が暗号通貨で生計を立て、機会を見つけ、世界的な経済的自由の針を動かすことになります。

 

11.億万長者の資産割合の変更

最後のボーナスアイテムとして、私の友人であるOlaf Carlson-WeeとBalaji Srinivasanは、世界の億万長者が保有資産のビットコインの割合を増やすことで、ビットコインの価値が1枚あたり10万ドルから100万ドルの間になる可能性があると言っています。

※Olaf Carlson-WeeはCoinbaseの元従業員でPolychain CapitalのCEOです。Polychain Capitalはサンフランシスコが拠点で、ブロックチェーンや暗号通貨に投資をするクリプトファンドです。

※Balaji SrinivasanはCoinbaseの元CTOで、現在はエンジェル投資家です。

これは、世界中に2600人の億万長者がいるという事実に基づいたとてもおざっぱな計算です。2100万枚のビットコインが1枚当たり10万ドルから100万ドルの価値になるとすると、枚数と価値をかけて合計2.1から21兆ドルの時価総額になります。

仮にですが、さらに2600人の億万長者を暗号資産クリプトカレンシーで獲得するためには、この2600人に少なくとも260万ドルの富が必要になります。これは、ビットコインあたり100万ドルで全資産の時価総額の約12%に相当し、100万ドルで1000枚のコインが10億ドルの価値を持つことになります。

個人の保有者と機関投資家の割合がどうなるかはわかりませんが、世界で最も裕福な個人のかなりの割合が、すぐに暗号通貨を手にした人からのものになるように思われます。

これを良いことだと思うか悪いことだと思うかは別にして、2020年代にはより多くのプロフェッショナルな技術者が、暗号資産を通して多くの資本にアクセスできるようになります。

このことで科学技術への投資額が増加し、より多くの暗号化された人々がパイナップル基金、GiveCrypto.org、GivingPledgeなどの取り組みに見られるように、より事前的な取り組みが増えてくると思われます。

これらの予測のうち、どれだけの予測が当たるかを今後見ていきましょう!暗号通貨を主に取引や投機のためのものから、現実世界での実用性のためのものに変えることで、2020年代には暗号通貨を保有し、使用する人々の数が大幅に増加し、世界的な経済的自由の針を本当に動かし始めることになるでしょう。

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■仮想通貨で大損こいて、悔しい・・・っでも面白いっビクンビクンってしてる人。 ■USAと南米に良く行くので現地の様子をレポート ■Token-labライターさせて頂いています。

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