『せつない』という感情

『せつない』という感情

せつない、を辞書で引くと”悲しさや孤独に胸をしめつけられる気持ち”とあります。

 

 

せつなさとはある種の独特な感情で、うまく表現した文章になかなか出会いません。そして多くの人が関心をもっているようで、さまざまな場面で論じられています。

 

日本のポップミュージックや本には、そういったせつなさを表現したものがたくさんあります。サザンオールスターズや松任谷由実などはたくさんのせつない歌を歌っています。

 

 

私は昔から、「せつなさ」にとても興味があり、一時期評論などを集め読み漁ったこともあります。新楽直樹は、「せつなさとは、『悲しい』という感情を生むできごとのように『ここにそれはあるべきだった』という前提に立たない。喪失の痛みを伴いながらも欠落したもの特有の美を抱きながら完結する」と表現しています。これを読んで、うまいなあと感心しました。まさにはっきりと言葉の本質を射抜いているように感じます。

 

また、内田樹は「『せつなさ』とはアジア人特有の感情である、そのため喪失への思いをうたった日本の歌謡曲はアジア圏では人気がでるが、欧米では受けない。」というようなことを書いていました。ただ、せつなさとはすこし違うものの、ポルトガル語の「サウダージ:『何か』または『誰か』から距離が離れていること、またはそれが無いことにより引き起こされる感情」などもあるようで、われわれのみにしかない感情とはいえないようです。

あの、ソフィア・ローレンが演じた「ひまわり」でも、私たちはそのせつなさに心動かされますから。

山田詠美は、せつなさのことを、「大人だけが所有することができる、極上の感情の消費」といったそうですが、たしかに年齢をかさねて、少しずつ理解できることが増えていったように思います。

 

 

サザンオールスターズの「TSUNAMI」を聴いて晩酌しながら、そんなことを言ってみたい夜なのでした。

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