酔拳2の教訓
みなさんこんにちは。昨日何気なくネットニュースを見ていたら、こんな記事が出ていました。
ロシアでウォッカの代わりに手の消毒液を飲んだ9人が死亡したと言うニュースです。当時周辺の地域では、新型コロナウイルスの対策などで酒類の販売が制限されていたそうですが、だからと言ってさすがに消毒液までは普通飲まないだろうと個人的には思ってしまいました。
そして、さらに不運だったのが、この消毒液の中に猛毒のメチルアルコールが高濃度で含まれていたと言う点です。記事によると、この消毒液にはメチルアルコールの記載がなかったと言う事で、この点も被害を大きくしてしまった要因かもしれません。
ここでちょっとアルコールについての基本的な事を書いてみたいと思います。アルコールには実はたくさんの種類がありますが、唯一私達が飲用可能なのがエチルアルコール(エタノール)です。エチルアルコールは、私達が普段飲んでいるお酒に含まれているアルコールと同じ成分です(エタノールにも2種類あり、農作物から造られる発酵アルコールは飲用可能ですが、エチレンから造られる合成アルコールは飲用不可です)。
そして、主に天然ガスから造られるアルコールが、先程も書きましたが猛毒のメチルアルコール(メタノール)です。燃料用や溶剤などに用いられますが、飲用すると様々な中毒症状が現れ、最悪の場合は死に至ります。さらにメチルアルコールの特徴的な症状が、視神経へのダメージで、最悪の場合失明する事もあります(メチルアルコールは「目散る」だから飲んじゃダメだって覚えた記憶があります)。
たまに密造酒などを飲んで失明したり死亡したと言うニュースを聞いた事があると思いますが、これらは恐らくエチルアルコールに価格の安いメチルアルコールを加えて度数を上げたり量を増やしたりした物を飲んだために中毒症状を起こしたものと思われます(終戦後の日本の闇市でも、メチルアルコールが混ざったお酒が出回り、中毒事故が多発した)。ちなみに、漫画「北斗の拳」でも、酒場で店主が酒を出すのですが、それを飲んだ客が倒れてしまい、「ありゃ!?メチルアルコールって飲めねえのか」と言うシーンがあります(笑)。
さて、この記事を見た時に私はある映画を思い出しました。それは、ジャッキー・チェン主演の映画「酔拳2」です。「酔えば酔うほど強くなる」と言うキャッチコピーが有名ですが、私は「酔拳」が大好きでした。そして1994年に新作の「酔拳2」が劇場公開されると言う事で、私は映画館に見に行きました。
(ここからは少しネタバレになります)そして映画のクライマックス、ジャッキーは鉄工所でラスボスと戦うのですが、敵がとにかく強いんです。そして、この時ジャッキーはお酒を持っておらず、しらふの状態で酔拳を使うのですがまったく歯が立たないんです。そこで、追い詰められたジャッキーは、なんと鉄工所にあった工業用アルコールを飲んでしまいます(笑)。しばらく苦しむジャッキーでしたが、その後驚異的な力を発揮して敵を見事に倒してしまうのです。
当時見ていた私は、さすがに工業用アルコールなんて飲んだらヤバいでしょって思っていましたが、映画のラストではジャッキーが口からシャボン玉のような泡を吹いて倒れこむ少しコメディな感じのシーンで終わっていたので、最後はハッピーエンドで楽しい映画だったなと思っていました(もちろん、工業用アルコールは飲んでも大丈夫とは思いませんでしたが(笑))。
ところが、この映画のエンディングには実は続きがあったのです。私が見た日本公開版は上記のシーンで終わっているのですが、中国や香港などで公開されたオリジナル版にはカットされた幻のエンディングがあり、しかもそれがとても怖いのです(笑)。もしご興味がある方は、有料部分に内容を紹介しているので、ぜひそちらもチェックしてみて下さい(笑)。
と言う事で、エチルアルコールとメチルアルコール、一文字しか違いませんが中身はまったくの別物ですので、みなさんもくれぐれもお気を付け下さい(ちなみに、飲まないからと言ってメチルアルコールを手などの消毒に使うのもNGです。皮膚などからもメチルアルコールの成分が吸収され、中毒症状を起こす危険があるそうです)。