本の要約サービス( SERENDIP )を使ってみたよ!
Time is money, 一秒を無駄にできないビジネスマンにとって,読書は自己啓発のために避けて通ることができないインプット手段でありながら,何千何万の活字を追う時間や手間というのペインポイントがあります.その問題をついた本の要約サービスはよいと思います.
私は上記のような一秒を争う世界に生きているわけではない平凡な勤め人なのですが,それでも好奇心を充足させる手段,日々の生活をよりよくするための上質なインプット手段としてそれなりに本を読みます.実際にどれくらい,どんな本を読むのかというのはこちらの記事でも紹介をしています.
私のような人でも「読書の費用対効果をもっと高められないかな〜」という思いはあります.というわけで今回は本の要約サービスであるSERENDIP(セレンディップ)を体験してみたのでそれをレポートしたいと思います.
1.お試しでできたこと
セレンディップというサービスのお試し期間では以下のことができました.
・お試し期間は2週間
・最新5冊の書籍レビューを読むことができる
・新しい書籍レビューが追加されたらその連絡を受けることができる
私の場合だと下の画像の上部5冊のレビューを読むことができました.またお試し期間中でも数冊,新しい書籍レビューが追加されており,それも読むことができました.
要約の分量はおそらく原稿用紙数枚分と言った量,数分あれば目を通すことができます.内容は書籍の要約+ライターの感想となっており,本の骨子をほどよく掴むのにちょうど良い分量だと感じました.要約は著者や出版社のチェックを受けているようで出鱈目な内容が掲載されることはなさそうです.
また,要約の内容はPDFでダウンロードすることも可能でした.興味あるものはとりあえずダウンロードしておいて,後でまとめて読む,なんて使い方ができますね.
有料会員になることで最新5冊だけではなく,過去の何百何千とありそうな本のレビューを読むことができるみたいです.
2.感想
本のチョイスが渋い(いい意味で)
この手のサービスは本のチョイスが非常に重要です.画像を見てもわかりますが,本のチョイスがビジネス本だけでなく人類史,サイエンス,ノンフィクション,未翻訳の本といったものも取り扱っています.
これは非常に良い点だと思います.万人受けしそうな浅い,大量生産可能なビジネス本(笑)を取り上げることなく,純粋に良いと思った本をチョイスしている印象を受けます.
読み手から見ても,自分が内容を知っているような本ではなく,自分が全く知らない,あるいは全く興味がなかった分野の本の内容を知ることで思いがけない発見(まさにこのサービスのコンセプトでもあるセレンディピティ)に出会うことができるでしょう.
書籍レビューの更新速度が気になる.
2週間という短い期間でしたがその間に追加された書籍のレビューは6冊程度でした.サービス概要を見ると1週間で4〜5冊のレビューが追加されるみたいなので「あれ?少し少ない?」と感じました.
この手のサブスクサービスは,登録したての頃は自分からコンテンツを漁ってそれを享受するものですがいずれは飽きたりして,サービスの利用頻度が減るのではないかと思います.その時にサービスをどういう形で享受するか,それはサービス側からプッシュされるコンテンツ,つまりは新しく追加される書籍レビューだけ見るのが主だった使い方になると思います.ですので更新速度は非常に大事だなと思いました.
良質なブックレビューを提供するのに時間がかかることは理解できますが,もう少し書籍レビューの提供スピードが上がってくれると嬉しいなと思います.
ケチな私には有料会員になるには少し勇気がいる.
2週間の無料サービスが終了したらあとは有料会員になるしかないんですが,サービスの利用料が1年間で33000円かかります.1ヶ月だと3000円弱です.
その金額を捻出するのに必要な労働時間を考えたら時給1000円の人でも3時間.3時間でこれらの本を自分で調達して読んで,骨子を掴むのは到底不可能です.そういう意味で質の高い情報をお金で買うことができるのは間違いないことを理解しており,有料会員になっても続けるかどうかを迷っています.
鳥の雛のように口を開けて餌がやってくるのを待っている,そんなイメージで新しいインプット口を探している人にとっては少し高く感じるんじゃないかなと思います.
その一方で,コンサルティング職で幅広いクライアントと付き合いがある.そのクライアントに高い価値を提供するためにその業界について人並み以上のリテラシーを身につけないといけないという方にはとてもフィットするんじゃないかと思います.そうなった場合は特定の産業分野のような軸で書籍レビューを読み潰していく,そんな使い方ができるんじゃないかなと思います.知識やノウハウ,見解の百科事典という使い方ですね.
実際「ビットコイン」と調べたら以下のような本が登録されていました.「暗号通貨」「ブロックチェーン」など関連する単語をベースに書籍を漁ればその業界に対する理解をそれなりに深めることができそうです.
要約そのものがはらむ矛盾
先日,材料工学の本を読んでいたら「ローマ帝国時代の人は窓ガラスやワイングラスを作っていた」ということが書かれていて驚きました.あー自分はローマ帝国のことを全然知らないなと思い,ローマ帝国について興味を抱きました.これは本の要約サービスでは枝葉の情報として切り落とされてしまい,到達しえなかったものではないかと思います.
このサービスのコンセプトはセレンディピティ(思いがけない発見)ですが要約によりどうしても情報の取捨選択がされてしまい,その中には自分にとって価値のある情報があるかもしれないなと思います.これはしょうがないことでもあります.私が本を1冊読むのにかかる時間で要約を10冊分読めたとした場合,後者の方がトータルのインプットが高い可能性もあります.ようは時間の使い方,トレードオフです.有料会員登録をする場合は後者が前者よりも価値があることを確信していないとなかなかできないなと思いました.
以上です.
結論としては「書籍要約サービス自体はとても良かった.でも有料会員登録後の自分の使い方を思うとちょっとペイしづらいな,他のサービスも試してみよう」でした.
このような書籍要約サービスはいくつもの会社が提供していますのでそれらも試してみたいと思います.