週刊暗号資産決済ニュース【2022年10月第1週】レイ・ダリオ/Hyperbitcoinizationと市場予想
先週は、レイダリオ「現金はもはやゴミではない」発言やHyperbitcoinizationなど、これまでとは異なる視点での議論が白熱し、通貨や決済に興味のある人にとっては、とてもエキサイティングな一週間でしたね✌️
上記のレイダリオ著「Principles for Dealing with the Changing World Order: Why Nations Succeed and Fail」を翻訳/解説した動画を参照すると、あくまで約250年周期の覇権国家の繁栄と衰退のサイクルの中で、現在は「不換貨幣」→「回帰」のフェーズにあり、ハードマネーが必要とされる時代がそろそろやってくる = ビットコインやゴールドの保有が推奨されるといった状況にあると考えられます。
ビックテックが巨額の利益を上げるようなったことによって、家賃が高騰し、ホームレスが増加したサンフランシスコの現状が下記の記事では描かれており、覇権国家の衰退、不換貨幣制度の光と闇についてとても考えさせられました。
https://wirelesswire.jp/2022/10/83197/
リーマンショックから「不換貨幣」→「回帰」のフェーズが急加速し、近年では、DSA(アメリカ民主社会主義者)など社会主義的な価値観を持つ若者層が増加している米国が今後どのように変化し、次の覇権国家が台頭するのかなど、中長期的に気になるところです。
では、先週の世界経済などをふまえ、暗号資産決済市場を振り返っていきましょう!
主な暗号資産決済ニュース 10選😎
・FTX 40カ国で使える暗号資産デビットカードの提供開始
・欧州連合の暗号資産市場 (MiCA)規制に伴うロシアへの暗号資産決済の制限
・Dapper Labs ロシアに関連するアカウントへ暗号資産決済を含むサービスの制限
・インド準備銀行(RBI)デジタルルピーの実証実験の開始を予定
・米国 今後2年間でのCBDCモデルを構築する可能性を示唆 司法省で立法の必要性を協議
・Lightning Networkキャパシティが5,000BTCを突破
・スイスのルガーノ市がビットコイン、USDTの決済を開始
・アフリカ ビットコイン カンファレンス(ABC)の開催を発表(12月5~7日・ガーナ)
・Suberra 270万ドルを調達 暗号資産のサブスク払いなど包括的な決済サービスを提供
・分散型ソーシャル ネットワーク「DeSo」 独自ステーブルコイン「DesoDollars」の発行を計画
世界経済と日本
米国の雇用統計が予想よりも良かったことで、今回のインフレの要因が
・脱グローバル化、戦争etc… = 発展途上国の安い労働力でモノが作れない
・モノを作る設備投資も利上げによってできない
・発展途上国は米国の利上げで経済的なダメージが深刻化
・米国も失業者増えていないため人件費下がらない→景気が維持され、インフレが収まる気配ない
などにあるとの見方もあり、より複雑な舵取りが米国には求められていますね。
ドルインデックスが下落する展開は現時点ではあまり考えられないですが、米国中間選挙(投票日11月8日)の結果次第で、下記の事例なども含めリスクマーケットへの資金流入の可能性についても考える必要があるかもしれません。
コラム:ドル高に陰り、新興国投資にチャンス到来か
https://jp.reuters.com/article/markets-emerging-dollar-idJPKBN2R00PY
そのような中で、フィデリティ・インターナショナルは、FRBの方針転換を見据え、安全資産として米国債や日本円の買いを推奨しています。(Japanese Yen…😲)
フィデリティ・インターナショナル、米国債と円購入-最善防御策
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-05/RJ9970T0AFB401?srnd=cojp-v2
2022年9月の日銀のマネタリーベース平均残高が、前年比3.3%減の634兆1,934億円となり、日本においては10月11日から海外からの個人旅行受け入れが解禁、中古ブランド品や観光市場は活況を呈することが予想されるなど、先週は日本円に関するポジティブな材料が多かったですね。
・マネタリーベース9月は3.3%減、12年4月以来の前年割れ 日銀当預の減少幅拡大
https://jp.reuters.com/article/monetary-base-sept-idJPKBN2QZ00A
日本は2010年代に「不換貨幣」を大量発行したものの、国民ひとりあたりのGDPを上昇させることはできず、逆に下落するといった残念な結果に終わりましたが、「不換貨幣」→「回帰」のフェーズの中で、日本円が相対的に再評価される場合においては、「不換貨幣」についてより学びを深める必要があるのではとも考えられます。
かなり希望的な観測ですが、フィデリティ・インターナショナルが安全資産として日本円を購入している現状と仮にドルインデックスが下落した場合を考慮すると、インフレの要因の少ない国家/通貨として、相対的な優位性を獲得するのかもしれません。
※あくまでドルインデックスが下落した場合の予想です。
脱グローバル化の流れの中で「不換貨幣」を大量発行した金融政策は全世界的に失敗だったと言えますが、より相対的に国家と通貨の今後について詳しく調査していこうと思った次第です。💪
ドルインデックス下落とHyperbitcoinization
仮に2023年にかけて「ドルインデックス下落→リスクマーケット活性化→ビットコイン価格上昇」といった市場展開となった場合、全世界的なスタグフレーションによる国家運営の混乱とともに「Hyperbitcoinization」の言論が説得力を持ってくるのかもしれません。
(2023年になっても米国の景気が悪くなっていない可能性もありますが)
「Hyperbitcoinization」は、約250年周期の覇権国家の繁栄と衰退のサイクルの中で、ハードマネーが必要とされる時代に必要とされる言論とも考えられ、簡単にですが、18世紀からの2つの基軸通貨による通貨実験の歴史を見てみましょう。
・18世紀の英国は、ポンド/金兌換制度のもとで経済発展を遂げる。
・金の保有量をあげるために南アフリカやロシアに戦争をしかけ、経済発展が鈍くなる。
・米国で石油が採れ始めたことで、相対的に英国の国力/経済が低下。
・1913年FRB設立、欧州での2度の世界大戦、覇権国家が米国に入れ替わり。
・1971年 プラザ合意から「不換貨幣」時代 米国を中心にお金を刷って経済成長を促進。
・2008年 リーマンショック後の金融緩和時代を経て、現在、インフレ中。
・2030年 デジタル人民元/ハードマネー時代???
(他、各国CBDC、SDR、ビットコイン、通貨バスケット連動暗号通貨)
今後の貨幣制度においては、18世紀のイギリスが、ポンド/金兌換制度のもとで金の保有量をあげるために南アフリカやロシアに戦争を仕掛けたのと同じように「ハードマネーを巡る争い」も前提に、経済成長を促進させる仕組みや新しい社会制度の構築が必要となってくることでしょう。
ドルインデックス下落とHyperbitcoinizationについて、現在の市況からはあまりイメージがつかない部分もありますが、中長期的にみていこうと思います✌️
暗号資産決済市場の今後について
暗号資産を決済手段として利用するインフラ整備が進み、Cryotoによる新しいエコシステムが世界経済に及ぼす影響が、大局的には日に日に大きくなっていると言えます。
国家や都市における暗号資産決済の採用が相次いで報じられており、人々の生活の中で、Lightning Networkやステーブルコイン決済が普及することは、今後の国家、通貨体制の新しいあり方を提示するのかもしれません。
「Principles for Dealing with the Changing World Order: Why Nations Succeed and Fail」で説明されていた長期債務サイクルステージ⑥において人類は何を選択するべきなのでしょうか?
https://youtu.be/ARNQ8asJY6k?t=1307
今後も各国の相対的な比較をもとに暗号資産決済の可能性について考えていこうと思います🤗