Web5とライトニング
Jack Dorsey率いるTBDが"Web5"と銘打った構想をGoogleスライドで発表し、業界がざわついてから一週間も経ってないとは。時間が濃すぎて意味不明。
今日はそのWeb5について、特にライトニングとの接点にスポットライトを当てて親和性がどこにあるのかを見ていく。
Web5はウェブの形を変える提案
最近のweb3はウェブがどうこうよりトークンエコノミーとかそういう要素が強いという実感は皆さんもあるのではなかろうか。誰もウェブの話してねーじゃん。
しかし、ビットコイナー諸君は検閲耐性とかが好きな人が多いので、特にここ数年はプラットフォーマーによる表現の制限を問題視してる割合が多い。それってウェブの問題だよね、と。アプリを取り下げられたり、アカウントを凍結されたり、AWSから追放されたり。
実は2014年当時のWeb3.0は真面目にウェブの構造を問題視して、監視や検閲に強いウェブを作りたいという構想だったようで、BitTorrentとかTorとか、我々ビットコイナーがけっこう好きなゴキブリみたいなP2Pネットワークの要素がけっこう強かったらしい。みんなもプライバシーは好きだよね。
Web5はというと、Jack Dorseyは現在のウェブの諸悪の根源はApple/Googleによるネイティブアプリ流通・決済の独占とベンダロックインとみていて、じゃあデータの保持や認証をユーザー主権で共通規格に基づいて行って、サービス側がユーザーに許可を求めてデータを読み取るモデルなら解決できるのでは?という考えから生まれたものだ。
つまり、ユーザーの情報はユーザーが保有し、外部のアプリケーションやサービスには必要に応じて権限を与える。アプリケーションやサービスもDIDを持ってるから、ユーザーは必要に応じて証明書を取得して認証に利用したりできる。決済も誰かに頼らずP2Pでできたらいいよね(わかりやすすぎる伏線)。
ライトニングとなぜ相性が良いのか
TBDの資料にはライトニングという言葉は登場しないし、ブロックチェーンという表現もほとんどない。これらが主役ではないから当たり前だ。むしろ、ブロックチェーンを中心に据えるとP2P型ではスケールしなくなり、結局いまのウェブを作り直すだけになってしまう。(web3推しの人は反省してください)
じゃあ何を持ってライトニングとWeb5の相性が良いって言われてるのかというと、それはやはりビットコインノードの安定性や必要スペックの低さが個人によるDIDリゾルバの立ち上げを簡単にしていたり、ライトニングのP2Pなアーキテクチャやプライバシー性能がP2PなウェブであるWeb5に非常にマッチしてるからだ。
データのやり取りにfeeを課すのも非常に得意だしね。
Web5のP2Pな構造について深掘りするとキリがないので興味がある場合だけTBDのプロジェクトページやスライドから確認してほしいが、要するにサービス、ユーザー、リゾルバの3種類のノードがあって、誰でもどれにでもなれて、何かが嫌なら他に行ける。当然、Web5が普及するのかは別問題だが、OAuthとは桁違いなレベルでウェブのComposabilityだって実現できるかもしれない。いやむしろ、それ以外にマスに普及させる方法がない可能性だってある。(大半の人は現状を問題視してないからね)
あくまでWeb5の主役はウェブであって、ビットコインではない。でも、非中央集権的な決済機能がほしいなら、事実上ビットコインとライトニングネットワークがWeb5のビジョンと合致している、それだけのこと。
> いやむしろ、それ以外にマスに普及させる方法がない可能性だってある。(大半の人は現状を問題視してないからね)
ですよねーとうなずきまくり。自分はこのストーリーで普及するのが現実的かなと思ってます(普及するとしたら)。サービスを提供する事業者の「Apple/Googleによるネイティブアプリ流通・決済の独占とベンダロックイン」に対する辛みが爆発する事案がもうちょい発生し、そんなときに辛みから解放されるフレームワークが存在していたら、そっちいくよねと。