Statechain は資金決済法(カストディ規制)を回避可能か?

つぶやき。ぽえむ。

早速 GitHub に飛んでドキュメントを読みました。

概ね Yuya 氏の記事の通りなのですが。

加えて、チェーン運営者(EC)が飛んだときの対応として、「バックアップトランザクション」という仕組みがセキュリティ上の肝となっています。(この仕組みを知るまで、裏切りをどう防ぐのか理解できませんでした…)

判ってしまえば、仕組みは簡単。

まず、EC は、チェーンにペグにされているビットコインを回収するための、トランザクションを公開します。

Statechain 上でビットコインが移転するたびに、このトランザクションは更新されます。トランザクションの output に指定されるべきアドレスが変更になるので、当然ですね。

そして、このトランザクションには nLockTime が設定され、遠い将来のブロックでしか取り込まれず、かつ、移転によりトランザクションが更新されるたびに値が減っていきます。

つまり A → B → C → D という送金で B C はバックアップトランザクションを裏切りブロードキャストできるのですが、nLockTime に阻まれます。阻まれているうちに D がブロードキャストすれば、より nLockTime が短い D のトランザクションは優先してブロックに取り込まれ、確実にビットコインを回収できます。

"バックアップ" という名の通り、EC が失踪した場合の最後の手ですね。

Ⓜ️

『そもそもマルチシグの一部保有は「事業者が利用者の暗号資産を主体的に移転し得る状態」ではないので、カストディアンではない』という説はあるものの、事業者失踪で回収不能になるようだと、たぶん法律が変わるくらいのインパクトがありそうなので…と思いながら英文ドキュメントを眺めていました。

バックアップトランザクションを使って回収可能なら、まあ安心ですかね。

とはいえ、nLockTime をどれくらい先にするのか、運用上は結構悩ましい気がします。「10 年後に戻ってきます」ってなっても、下手するとチェーン自身の寿命のほうが先に来るチェーンもありそうで…ビットコインならその心配は無いでしょうけれども。

ぽえむ。

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