「信頼できる」とはなんなのか その1
暗号通貨について学ぶようになって度々考えることは「信頼できる」とはいったいなんだろうかということです.
そして,私が暗号通貨に惹かれるのはその「何を信頼するか」問題に一つの答えを提示してくれているような気がするのではないかなと思います.
手始めに,別の例を出しながら考えていきたいと思います.少し専門的な話になるかもしれませんが,わかりやすく書きましたのでぜひお付き合いいただければと思います.
「証明書」に見る信頼の連鎖
情報通信を支える技術に「証明書」というものがあります.これは皆さんが普段WebサイトやE メールを利用するときに意識・無意識的に利用している電子的な仕組みです.
証明書によってできることやそれを使う場面はいろいろあるんですが,ここで紹介したいのは”信用を与える”ことです.
例えば,あるWebサイトに対する証明書があるとします.
その証明書はWebサイトに対して「このWebサイトは確かにこういう会社が運用しているものですよ.(だから,あなたを騙そうとする偽サイトじゃ無いですよ)」というお墨付きを与えてくれます.
証明書はWebサイトに対するある種の「信頼」を与えているんです.
では,その証明書ははたして信頼できるのでしょうか?
例えば悪意のある第三者が銀行利用者の情報を盗むために偽サイトを作るとしましょう.
偽サイトを作り,さらに偽造した証明書を使って「うちのサイトは信頼できるよ」と利用者を誤認させてしまうということもできますね.
しかし証明書はこの点もクリアできるようになっています.
その証明書を発行する発行者(これを認証局と言います)も誰かによって実在性や正当性を検証され「信頼できるもの」とされているのです.
X(Webサイト)に信頼のお墨付きを与えるY(認証局)があり,Yに信頼のお墨付きを与えるZ(上位の認証局)がある,といった感じです.
「こいつ,信頼できるよね」が連鎖しているんです.
そうなると気になるのが「じゃあZは信頼できるのか?」です.これはつまるところ連鎖の一番根本は??という問いにつながります.
信頼の起点がないとどれだけそれを辿っても信頼して良いかどうかわからないですよね.
「証明書」の領域では力技で解決しています.
先の例えで言えばZ(上位の認証局)が「俺はZだ.その信頼性は俺自身が与えるんだ」と自作自演で信頼を与えて信頼の連鎖の根っこ問題を解決しています.
Y(下位の認証局)やZ(Webサイト)はそれを受けてそれが信頼できるものであると受け入れているんですね.
これってお金に非常に似ていませんか?と私は思うのです.お金と信頼は蜜月の関係にありこれを深く考察し理解することが,暗号通貨への理解につながると考えています.
(続く)