Mona is moving the branch to Bitcoin core, why?
SNS あたりを眺めていると、先走っている方々がいらっしゃるようですが。
モナコインのベースを Litecoin から Bitcoin に移すというのは、決定事項ではありません。何人か居る core 開発者のうちの一人がお試しで作ってみますよ、という、お知らせの段階。
Litecoin の成果物を全部捨てるわけでもありません。モナコインは Litecoin が採用しているコンセンサスアルゴリズム Scrypt を採用していた時期があり、覆せません。その時期に採掘されたブロックの検証には、引き続き Litecoin のコードが必要です。
提案を、正確性を失わない範囲で簡単に言うと、こんな感じ。
「Litecoin が今後何か決めたり機能追加したりしても、モナコインは追っかけ実装はしませんよ」ということにしません?
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「変えるからには、現状追認だとデメリットやリスクが予想され、変えるとメリットがあるんだよね?」という疑問が湧くのは当然だと思います。ここで簡単にまとめておきます。
現状ブロックチェーンとしてのモナコインが抱えているデメリットやリスクのいくつかは、「Litecoin と一蓮托生になりがち」というところに起因しています。
よく知られているように Litecoin は Bitcoin を基にしたコインで、現状のモナコインは Litecoin を基にしたコインです。
大抵の機能実装は Bitcoin で行われ、後に Litecoin に採用され、その後にモナコインが採用します。
SegWit の有効化を Bitcoin や Litecoin に先立ちモナコインが達成するというような例外的な事例はあります。しかしこれは Bitcoin で実装が先に済んでいたものの、Bitcoin や Litecoin 勢が政治的な調整に手間取っている間に、フットワークの軽いモナコイン勢が出し抜いたというのが実際のところです。(それはそれで、ノード運用者やマイナーを含めた総合力の結果で、誇って良いとは思うのですが。)
ともあれ、ノードの機能追加に関していえば、先端である Bitcoin より階層的に 2 段下がっているのは否定できません。
そして、モナコインは Litecoin の後追いだけして過ごしてきたかというと、それは全くの誤解です。ハッシュパワーが不安定な環境でも安定した採掘が行われるよう、採掘や難易度調整のアルゴリズムは別のものに置き換えられてきました。
結果として、今やモナコインには、Litecoin の後追いをするメリットが無くなっています。
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Litecoin に追随していった場合に有り得るリスクとして、匿名化技術の導入があります。Litecoin は、トランザクションの匿名性を高める、 MinbleWinble という技術を導入する方向にあります。
匿名性向上機能の導入そのものに対して、無職業者BOTは反対の立場ではありません。しかし、日本の金融庁のほうからは、否定的な意見がちらほら聞こえてきます。
Litecoin が仮に MinbleWinble をメインネットで有効にした場合、どうなるでしょうか。楽観的に予測できるなら、Litecoin は上場維持され、かつ他の匿名通貨の上場も行いやすくなるかもしれません。そうなったなら喜ばしい。しかし、そんなギャンブルに巻き込むには、モナコインは日本でのシェアがありすぎます。Litecoin は、結果がどうであれ、海外で安泰に生きていけますけれども。
ちなみに余談として、もう少し先の未来について。Bitcoin が匿名性を高める機能を追加する可能性は、低くないと予想しています。モナコインもその機能を取り込むか否かの、決断を迫られることになるでしょう。しかし、そのとき日本の金融庁は Bitcoin の取引を禁止するでしょうか? できるでしょうか? Litecoin は禁止できたとしても Bitcoin は別格ですから。
匿名性の獲得は、その時まで遅延させても遅くはないでしょう。
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最後に軽微な話ですが。「Bitcoin のクローンのクローン」から「Bitcoin のクローン」になることで「Litecoin や Dogecoin の価格より安くて当たり前」という思い込みから少しだけ自由になるでしょう。
それだけで価格が上がるとは思えませんが。しかし、現在のところ暗号資産の価格は、なんとなくのイメージから湧く、ふわっとした値頃感で決まっている。これを否定することも難しいでしょう。