モナコイン財団(Monacoin Foundation):暗号通貨界隈のキーワードを考える
その昔、NEM財団というNEMを代表していると言っても差し支えない有名な組織がありました。
しかし、NEM財団はメンバー選挙に際し、現在の財団メンバーが開発の足を引っ張っているとか、利益相反だとかいう批判がNEMコミュニティ内から噴出し、炎上しました。(NEM財団はその後解散した。)
モナコインも同様に、モナコイン財団(正式名称:Monacoin Foundation)という組織がかつて存在し、2014年初期に参加したモナコイン愛好家(古代モナコイン人)たちの間で様々なドラマがありました。
今回は、組織特有の問題に悩んでいる人も、悩んでいない人も暗号通貨の歴史に学んでみましょう。
Monacoin Foundation
2014年3月8日、Monacoin Foundationという、モナコインコミュニティにおける情報環境の共有、支援環境の整備などを一本化しようとする組織が設立されました。
設立趣旨は、下記画像の通り、ウェブサイト上に記載がありました。
当時のモナコイン界隈において、内部における情報共有は、割とスムーズに行われていました。
なぜなら、モナコインエンジョイ勢のほぼ全員が登録している掲示板サービス「Askmona」(時期により「2ちゃんねる」)に連絡事項を書けばそれで済むからです。(他には、Monabountyというサービスもありました。)モナコインちゃんがモナコインの擬人化キャラとして瞬く間に定着したのも、上記のようにコミュニティの範囲が狭かったためと考えられます。
例えるならば、モナコインコミュニティは、広い公園で様々な子供たちが、各々自由奔放に遊んでいる、そういうイメージです。
しかし、すべてが個々の責任とされる状態でイベントやプロジェクトを実行することは、イベント主催者の知名度や信頼度などに依存することもあり、できても小規模なものが精一杯でした。
特に対メディアや日本語圏外とのコミュニケーションなどについては、相手も個人と対話する気もなく、皆が限界を感じた部分でした。
Monacoin Foundationは、公園内の子供たちにとって、困ったことは自分たちに聞けば何でも解決してくれるお兄さんであり、外の世界の大人たち対しては、聞きたいことは自分たちに聞けばわかる顔役である、そんな存在を目指したものだと思われます。
では、どのような活動を予定していたのかというと、
素晴らしい取り組みを行っています。
現に、「Bitcoin Monacoin Conference」を主催し、 このような方が参加していたようです。
14:30 「bitFlyerサービス紹介(仮)」 株式会社bitFlyer 代表取締役 加納裕三
出典 Bitcoin Monacoin Conference
素晴らしいコネクションと実行力だと思います。
他には災害への義援金等の取りまとめを行っており、モナコインを集めて寄付を実行しています。
エボラ出血熱と戦う国境なき医師団への寄付:約9,563 MONA
広島豪雨災害義援金:約937 MONA
一方で、古代モナコイン人には、突然公園に現れた「管理人」的な存在に、嫌悪感を示す人も存在しました。
「そもそも『Monacoin』を名乗るとは何事じゃい、公式のように見せて利権を握るつもりか」という人もいれば、「ビジネスマンの作った組織に、開発者の声を代弁してほしくない」とか、「ビットコインコミュニティで行われている政治を持ち込むな」、「日本におけるビットコインコミュニティで主導権を取れなかったらから、代わりにモナコインコミュニティに傀儡団体を作りに来たのか」などの批判的な意見などが存在しました。(参考[Ask Mona])
設立直後から上記のような逆風もあり、Monacoin Foundationは活動を続けていく中で様々な問題に直面します。
モナコイン愛好家への説明不足、また構成員によって密室で物事が決定される印象などの批判が増え、メンバーによる多くの失言、未成年者へ飲酒を勧めて問題を起こす、色々ほっぽり出して消える、預かった寄付金をギャンブル(モナダイス)に使用するなど……。
明確な上下関係のない緩い組織だったためか、責任の所在が不明確で、自分たちがモナコインを名乗る組織のメンバーであることの自覚がないのかという批判が積み重なって、モナコインコミュニティ全体を大火に包み、大炎上したのでありました。……その炎は、Askmona、Twitterを越えて三日三晩、夜空を明るく照らしたという。(暗号通貨 三大大火の一つに数えられる。)
次第にMonacoin Foundationはモナコイン愛好家たちの支持を失っていき、「Monacoin Foundationがモナコインの顔として外部に認知されたら、モナコインは死ぬ」という趣旨の意見も出ていたようです。
上記は、Monacoin Foundationの始まりと終わりですが、モナコインに関わらず、非公式組織なのにコミュニティの名前をつけた組織やプロダクトを作るときは、かなり慎重になった方がいいでしょう。(逆に、「モナコインちゃん(キャラクター)」、「ミスモナコイン(ハンドルネーム)」は、定着した成功例だと思います。)
Monacoin Foundationも、「Monacoin」と名前に冠しなければ燃えることはなかったのでしょう。「Monacoin」と付いている以上、公式に準ずる責任ある組織と見做されてしまいました。
名前に「Monacoin」と付いていなくても、モナコイン愛好家の間の情報提供を行うようなハブ的な活動や、モナコインの開発者を支援する活動は行えます。また、実績が積み重なれば、信頼も積み重なりますので、名前に拘らず、地道に活動をするべきなのかもしれません。
モナコイン愛好家が臨時で集まり、力をあわせることがあっても、自らの公園の王(代表者)を作りたがらず、むしろ邪悪な存在だと思っている人が多いのは、この事件のためか、もともとの2ちゃんねるの気質なのかわかりませんが、他の暗号通貨とは異なる独特な雰囲気だと思います。
古代モナコイン人にとっては、今ではMonacoin Foundationの名前を聞くと、「嫌な事件だったね…」とか、「うっ、頭が…」と拒否反応を起こす人もいるようです。
しかし、我々モナコイン愛好家は、この歴史を教訓に、今日も前へ進んでいくのです。
ちなみに、アイキャッチは記事の内容とは全く関係ありません。
関連リンク
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「ビットコインマキシマリスト」: 暗号通貨界隈のキーワードを考える
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排他的といわれるモナコインコミュニティの気質について(続く)