『誰も知らなかったココ・シャネル』(文藝春秋)
ハル・ヴォーンによる『誰も知らなかったココ・シャネル』は、今回シャネルのことを学ぶ途中で、手に取った一冊ですが、大変に面白いです。
原題が「Sleepnig with the enemy coco chanel's secret war」ということで、なんとも刺激的です。
要するに、シャネルは戦時中、ドイツ人諜報と恋に落ち、その諜報はシャネルをスパイとして使っていた、という事実に関する本ではありますが、シャネルはその加担を理解していたのか否か、積極的だったのか否か、という部分が興味深いです。
他の伝記では、その部分に関して、消極的で仕方がなかったがゆえに協力、という印象で書かれるか、沈黙するかではありますが、この本では明らかに自覚的で積極的な印象を受けます。
帯には「ナチスのスパイだった!」と煽りがありますが、内容をよく読むと非公式的外交官のような役割と理解できます。
ココ・シャネル個人やシャネルというブランドに興味のない向きにも、第二次世界大戦の占領下フランスを知る物語として、面白いと思います。