ワインは噴く

ワインは噴く

みなさんこんにちは。みなさんは「ワインの噴きこぼれ(液漏れ)」をご存じですか?もちろん、シャンパンなどのスパークリングワインは、瓶内に炭酸ガスが充満しているので、抜栓した際にその炭酸ガスと一緒にワインが噴きこぼれてくることはあります。

しかし、炭酸ガスが含まれていない普通のワインでも、条件次第では中のワインが噴きこぼれる事があるのです。しかも、抜栓していない状態でです(さすがにアイキャッチ画像のようには噴きませんが(笑))。そこで今回は、そんな「ワインの噴きこぼれ」について書いてみたいと思います。

ではまずは、「ワインの噴きこぼれ」がどんな状態なのかを実際に見てみましょう。写真はフランスのブルゴーニュの赤ワインです(結構高めのワインです、シクシク(笑))。

まずはキャップシール(瓶口を覆っているフィルム)の画像ですが、空気穴の一部からワインが噴きこぼれた跡が確認できます。

続いてはボトルの側面からの写真ですが、キャップシールの隙間から噴きこぼれたワインが下に向かって垂れた跡が確認できます。

最後はキャップシールを外した瓶口の写真です。明らかに、コルクが噴きこぼれた赤ワインによって染まっているのが確認できます。また、瓶口にも噴きこぼれたワインが乾いたような跡が確認できます。

このように、「ワインの噴きこぼれ」は、コルクが刺さった状態でも発生するのですが、では一体どうしてこのような現象が起きるのでしょうか?

昔、私は「ワインを暑い場所に置いておくと噴きこぼれる事があるよ」と聞いた事があったので、てっきり中身のワインが沸騰して噴きこぼれるのかと思っていました(よくよく考えたら沸騰するような高温の場所ってないですよね(笑))。そこで、詳しく調べてみると次のような事がわかりました。

それは、液体や気体は冷やすと体積が収縮し、逆に温めると体積が増えるという性質です。これがワインボトルの中でも起こっているのです。つまり、ワインボトル内の液体と気体が温められる事で内部の体積が膨張し始めます。そして、ある程度の体積まで膨張すると瓶内の圧力が高くなりコルクを押し上げ始めます。

しかし、キャップシールや配送時であれば段ボールが蓋の役目を果たし、完全にコルクが抜ける事はありません。そしてそのうちに、押し上がったコルクの隙間から押し出されるようにワインが漏れ出します。その後、ボトル内の圧力が抜け切ると噴きこぼれは止まります。そして、ワインボトル内の温度が下がり始めると、今度は体積が収縮を始めます。

すると、今度はボトル内の圧力が低下するので、コルクを内部に引っ張りながら外気を吸引し始めます。そして、ボトル内の圧力が安定すると外気の吸引が止まり、何事もなかったかのような噴きこぼれワインボトルが完成するのです(笑)。

この噴きこぼれは、実は夏場のクール便配送時によく起こります。ワインは高温下では品質の劣化が起こるので、夏場の配送はクール便が一般的に使われます。この時、ワインは冷やされるのでボトル内の体積が収縮し、通常時よりも外気を吸引した状態となります。

その後、配送時や荷物受け取り後に外気温にさらされるなどして急激に温度が上昇すると、通常よりも多い気体が含まれたボトル内部で体積の膨張が急激に起こるので、より噴きこぼれを起こしやすくなるのです。

いかがでしたか?この「ワインの噴きこぼれ」が起きると、基本的に売り物にはなりません(必ずしも品質が劣化しているとは言えませんが、それでも急激な温度変化にさらされた事、外部から空気(酸素)を吸引した事で酸化が促進している可能性、そして何より量が減っているので売れません(笑))。みなさんも、ワインを買う時には噴きこぼれがないかを確認して、特に夏場にワインを買ったり配送する時には、噴きこぼれが発生するリスクに注意するようにして下さいね。

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