ボージョレ・ヌーヴォーとヌーヴォーではないボージョレの飲み比べ

ボージョレ・ヌーヴォーとヌーヴォーではないボージョレの飲み比べ

みなさんこんにちは。先日解禁したボージョレ・ヌーヴォーですが、みなさんはもう飲まれましたか?

さて、ボージョレ(地区の名前)と聞くとほとんどの方がヌーヴォー(新酒)を思い浮かべると思いますが、実はボージョレにはヌーヴォーではない普通のワインも存在します。しかし、日本ではヌーヴォーの知名度が高いので逆にヌーヴォーではない普通のボージョレワインを見かける事の方が少ないかもしれません。

そこで今回は、同じ造り手さんが全く同じブドウ品種(ガメイ種)で造った、希望小売価格も全く同じのヌーヴォーとヌーヴォーではないワインの飲み比べをしてみたいと思います(かなりマニアックな企画です(笑))。用意したのは、ボージョレ地区のペレオン村を代表する自然派の造り手「ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌ」が醸したワインです。

ここで少しだけ補足をすると、ボージョレ地区には特に優れたワインを産出する10の地域が「クリュ・デュ・ボージョレ」として認められています(言わばボージョレのグラン・クリュ)。残念ながらこのペレオン村は、この「クリュ・デュ・ボージョレ」には含まれていないのですが、実力に関してはそれらを凌ぐとも言われる銘醸地として知られています。

そんなペレオン村で造られた、まずはヌーヴォーからご紹介したいと思います。

ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2021 希望小売価格3,300円(税込)

こちらは「ヴィラージュ」と言って、通常よりもワンランク上のヌーヴォーです。対するは・・・

ボージョレ・ル・ペレオン・キュヴェ・フュ・ドゥ・シェーヌ 2017 希望小売価格3,300円(税込)

「フュ・ドゥ・シェーヌ」とは、フランス語で「オークの樽」を意味し、こちらは文字通りオーク樽にて12ヶ月間熟成を施したワインとなっています。

それでは、さっそく両者を見比べてみたいと思います。

ぱっと見外観は同じように見えますが、近づいてみてみると・・・

やはり、ヌーヴォーではない方が色は若干濃い目のようです。続いては香りを嗅いでみたいと思います。

まずヌーヴォーは、赤い果実が主体のチャーミングな香りに、スミレのようなフローラルなニュアンスも感じられ、とてもフレッシュで若々しい印象があります。一方のヌーヴォーではないワインは、赤系に黒系の果実も混ざった香りに、上品な樽由来のバニラや香ばしいニュアンスが加わり、より複雑で落ち着いた印象を感じました。

最後に味わいですが、ヌーヴォーは柔らかいタンニンにチャーミングな酸味、そしてフレッシュな果実の風味が加わり軽やかさを感じつつも、中盤から余韻にかけては程よいコクを感じる、一般的なヌーヴォーよりは重心の低いしっかりとした味わいでした。

これに対してヌーヴォーではないワインは、とてもシルキーな口当たりで、こなれてはいるもののタンニンのボリュームはヌーヴォーよりも豊かで、酸味もボリュームはあるものの丸くて落ち着いた印象、そして果実味に加えて樽由来の風味や甘苦系のスパイスのニュアンスも感じられる、より複雑で濃厚な味わいでした。

どちらも品質の高さを感じるワインで美味しかったのですが、個人的にはやはり樽熟成を施したワインの方が好みでした。まあ、ヌーヴォーは短い醸造期間内でワインに仕上げなければならないので、複雑味や落ち着きのある味わいと言うよりは、どうしても軽やかでフレッシュな味わいになるわけで、好き嫌いは完全に個人の好みになります。

ただ、金額に関しては以前もブログで書いたように、日本の解禁日に間に合わせるために運賃の高い航空便を使うヌーヴォーに対して、ヌーヴォーではないワインは航空便よりも安い船便で輸送されます。ですから、同じ販売価格であるならば当然運賃が安いヌーヴォーではないワインの方が、ワイン造りにかかっているコストは高いわけです。

ヌーヴォーは年に一度のお祭りなので、来年も私は購入する予定ですが、みなさんはどちらのワインを選びますか(笑)?

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