環境問題とワイン
みなさんこんにちは。みなさんは、昨日の6月5日が「環境の日」だった事をご存じですか?お恥ずかしながら私は知らなかったのですが、たまたまネットで調べ物をしている時に知りました。1972年の6月5日にスウェーデンのストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して、日本の提案で国連が「世界環境デー」と定めたそうです。
そういえば、最近はよくテレビでも環境問題をテーマにした取り組みを目にする事が増えたように感じます。例えば、日本テレビでは5月31日から6月6日までの期間を「GOOD FOR THE PLANET」ウィークと題して、様々な番組内で環境をテーマにした内容が扱われていましたし、CMなんかも目にする機会がありました。
また最近では「SDGs」と言う言葉もよく耳にするようになりました。ちなみに、私がこの言葉を知ったのはフジテレビのある音楽番組がきっかけでした。私が好きなハナレグミが出ると言う事で録画しておいたのですが、その音楽番組が「SDGs音楽特番 未来はぼくらの歌の中」でした(ハナレグミは「サヨナラCOLOR」を歌っていました!)。
それ以来、この「SDGs」と言う言葉を気にするようになりましたが、最近ではTBSで4月26日から5月5日までの期間を「地球を笑顔にするWEEK」と題して、「SDGs」に関連した取り組みを様々な番組で取り上げていました。
そもそも、この「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の略称で、人類が安心して暮らすための持続可能な開発目標という意味です。2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟国193か国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた目標だそうです。
このように、最近では環境問題を意識する場面が増えていますが、それはワインの世界でも感じる事があります。例えば、環境問題の一つとして挙げられる地球温暖化は各地で様々な影響を与えています。
まず一つは、各産地の平均気温が上がった事により、従来のその土地でのブドウの出来とは変わってきた事が挙げられます。ブドウは、基本的に気温が高いほどより早く、そしてより多くの糖度を蓄えます。しかし、早く熟し過ぎるとワインの香りを生み出す成分であったり、渋みの成分であるタンニンなどの成熟度が追い付かなくなります(これをブドウの生理学的熟度と言います)。そのため、ブドウの糖度と酸度のバランスだけを見て収穫し醸造すると、香りや渋みの質があまり良くないワインに仕上がってしまいます。
かと言って生理学的に熟成するのを待つと、ブドウの糖度は上がり過ぎ、逆に酸度が低下します。すると、多すぎる糖分によってアルコール度数が高くなり、酸味のボリューム感が低いワインに仕上がってしまいます。最近のトレンドとしては、フードフレンドリーなワイン(アルコール度数が抑制され、酸味のバランスが取れた料理と合わせやすいワイン)が好まれるため、この状況はあまり好ましくはありません。
また、フランスのボルドーでは栽培が許可される品種として、2021年1月26日に新たに赤ワイン用の黒ブドウ品種4種類と白ワイン用の白ブドウ品種2種類が加わる事が正式に承認されました。これは、簡単に言ってしまうと地球温暖化による気候変動にも柔軟に対応するための措置です。
さらに顕著な例としては、以前は気温が低くてブドウ栽培にあまり向いていなかったイギリスで、最近では品質の高いスパークリングワインが造られるようになったのも、温暖化によってブドウの栽培適地が北へとシフトしているからです(南半球では南にシフトしている)。
他にも、アメリカのワイン銘醸地であるナパバレーやオーストラリアなどでは、山火事の発生リスクが高くなり、実際にいくつかのブドウ畑やワイナリーが山火事による被害を受けていますし、ドイツなどでは気温が高くなった影響でブドウが凍らず、アイスワイン(自然に凍ったブドウを収穫して造る甘口のデザートワイン)の生産量が少なくなっています。
このように、ワインの世界にも環境問題が大きく影響している訳ですが、最初に書いた「SDGs」のように、環境に配慮したワイン造りに取り組む生産者も増えています。
例えば、ニュージーランドでは「Sustainable Winegrowing New Zealand(SWNZ)」と言う独自の認証があります。これは、化学的な農薬を極力使わない事はもちろん、ワイン醸造時にワイナリーから排出される様々な物質にも配慮しているなど、まさに「地球の環境を壊すことなく、未来へと継続する事が可能な方法」を実践しているワイナリーにのみ与えられる認証です。
この認証を取得するためには、とても厳格な審査基準をクリアする必要があるのですが、ニュージーランドのブドウ畑のなんと96%がこのサステイナブルの認証を受けているそうです。ちなみに、私が昔ニュージーランドで購入したワインにも・・・
このように「SWNZ」の認証マークが付いていました。
と言う事でざっとですが、今回は環境の日と言う事もあり、環境問題とワインを絡めて書いてみました(と言っても、まだまだ掘り下げて書くべき内容はありますが・・・)。これをきっかけにして、今まで以上に環境に配慮した行動を取りたいと強く思いました。身近に出来る事から少しづつ始めていきたいですね。