昨日デフォルトしたアルゼンチン。通貨下落する中でBTCが使われるか現地調査した
はじめまして!Token Labという有料クリプト情報サイトでリサーチャーをやってるDa-です。
私は仕事がら、北米と南米に出張に行く事が多いので、現地で調べてきた色々なクリプト事情をシリーズで書いていこうと思います。
皆さんはアルゼンチンという国をご存知でしょうか?日本から見ると地球の本当に裏側、緯度で見ても経度で見ても裏側です。私はこの国にコロナウィルスで渡航を禁止されるまで、2か月に一度訪れてました。
そのアルゼンチンが昨日デフォルトしました。デフォルトについてはBitflyer加納さんのNotesが詳しいです。
デフォルトは債務不履行のことで、簡単にいうと政府の借金が返せなくなった状況です。国債の残高が増えすぎて、税収が増えずに借金が返済できなくなっています。
そして、借金の減額や支払いを延期してもらうように政府は国債を持っている人に交渉することになります。
もともと経済は悪化していたのですが、コロナがとどめを刺した感じです。企業に対して解雇禁止など60日間設けるなど中々すごいことをしています。
そんな中、アルゼンチンペソの価値は急速に下落しています。何がすごいって、2年間で価値が3分の1になっています。国内品はいいんですが、輸入品の価格が3倍になってるんですよね。
また、アルゼンチンペソからUSドルへの両替も月に$200!に制限されています。
このように通貨の価値が下がっていて逃げ場もない中で、価値が変わりにくいビットコインは買われるのでは?という事で調査しました。
ちなみにアルゼンチンは南米のパリと呼ばれるようなきれいな町並みで、スタバもとても美しい建物に入っています。この1階がスタバってすごいオサレですよね。
メキシコやブラジルに比べると治安も良く、肉がおいしく物価も安いため、観光にはおススメです。このステーキも1000円もしません。
1.アルゼンチンのBTCの普及状況
アルゼンチンでのビットコインの普及状況ですが、実はアルゼンチンでの歴史は古く、2013年からAR$ベースの取引があります。
取引量はバブルがあった2017年12月に一度大きく上がった後、仮想通貨市場の落ち込みと共に一度は下がりましたが、AR$の悪化が始まった2018年2月からは市場の冷え込みにもかかわらず大きく取引量を伸ばしています。
https://coin.dance/volume/localbitcoins/ARS 1
ただAR$の悪化が激しいために、チャートをBTC払いに直してみるとほぼ横ばいになっている点に注意が必要です。
また、首都のブエノスアイレスにもEstacio Bitcoinという日本で言うHashHubのようなスペースがあり、ビットコインやブロックチェーンの関係者が集まり日々ディスカッションを行っています。
残念ながら予定が合わず参加はできませんでしワークショップが行われていました。
ちなみにアルゼンチンで使用できる仮想通貨取引所は14箇所あるとこのページに載っています。これに加えてHuoch ArgentinaとBinanceもアルゼンチンペソでの購入をサポートしています。
2.BTCの日常決済の状況
日本でもニュースになりましたが、アルゼンチンでは全土の公共交通機関の支払いに使用されているSubeという非接触型スマートカードに、BTCをロードできるようになりました。
アルゼンチン政府のウェブサイトによると、これらのカードは、首都ブエノスアイレスを含む37都市のバス、電車、地下鉄、およびモーターボートの乗り物に使うことができます。
このSubeはアルゼンチン運輸相が関わっているカードで、日本のSuicaのような感じで使うことができます。BTCの最低購入金額もAR$50(US$1.00)程度です。チャージはATMや首都のブエノスアイレスに208箇所あるSubeポイントで行うことができます。
ただ、アルゼンチンのバスでBTCのアイコン等は目立って見ることはできませんでした。上記のSubeのページでもBTCは特に見かけません。
確かにAR$の変動は激しいですが、現地人は給与をもらった瞬間US$に変えており、US$で保管している限り為替リスクはありません。
Subeを使う時にも日本のSuicaのように高額を入れるわけではありません。むしろ短期的な変動ならAR$よりBTCの方が大きいこともあるでしょう。BTCであえて公共交通機関の支払いを行うメリットを見つけられませんでした。
3.価値保存手段としてのBTC
では価値保存手段としてのBTCはどうでしょう。USドルへの両替が制限されているのであればBTCに変える人が居そうです。
現地のスタッフと話して印象的だったのは、「アルゼンチンペソを信用したことは一度もない。2012年に渡航してきたが、ペソで持っていたら資産が何分の一になったと思う?」という発言です。
たしかに、2年で3分の1になるような通貨は持たないでしょう。給与も受け取った瞬間にみんなUSドルにしています。皆さんも最初のグラフを見てわかるように、アルゼンチンペソって歴史的に下落が戻った事ってないんです。おそろしい。
ところがUSドルへの両替が200ドルに制限されました。するとBTCのチャンスも出てくるじゃないでしょうか?
ただこの点についても、現地人は闇両替で解決しています。レートは悪くともアルゼンチンペソを持っているよりマシです。闇両替なんかはメディアには出にくいですが、現地に行くと報道されないような現地の現実がありました。
4.まとめ
通過の価値が下がるアルゼンチンで、BTCの可能性を探りました。結論としては、価値保存手段としてはUSドルが一般的で、規制が始まった今でも闇両替という手段があります。
仮想通貨はまだ普及に時間がかかりそうで、闇両替よりレートの良い手段があると一般に認知されてからのようです。
ちなみにToken Labに行くとより詳細なデータを出してリサーチしてるのでぜひ見てください。無料期間が1週間あるので、お気軽に見てみてくださいね。
最後にもう一枚肉乗っけておきます。