令和四年度の新米の販売が始まりました。②〜苗の育苗から田植え〜
桜が満開を迎えそろそろ花びらが散りだすかもという四月の中旬、昨年の種籾を約60度のお湯で殺菌し、網袋に入れて、隣の川につけて発芽を促してみます。
水につけた時の水温から日々の水温を足して約100度になったころ発芽をするそうですが、ここ郡上白鳥の春というと四月の半ばでも気温が低く、ゴールデンウイーク頃に入ってようやく安定した暖かさになったりで、この水をつけた四月の半ばから一週間たち二週間経っても合計温度は100度にならず、、これでは6月初旬の田植えに間に合わないということで、川からあげて井戸水につけることにしました。
五月の半ばに入ってようやく発芽してくれました!
発芽したては直射日光が強すぎるため、日陰か屋内で育てます。数日経ったころ屋外へだして不織布をかけ弱い日光を当てる「緑化」という期間に入ります。
6月の初めに田植えを始めました。今年は、冬期湛水をした田んぼを耕さず、昨年刈った稲の株と株の間に手植えをしました。手植えをして初めて気がついたのですが、昨年の秋に沢山のトンボが水の張った田んぼに卵を生みにきてて、この田植えの時期にその子どもたちが羽化をするため、早朝の田んぼでは羽化ラッシュになっておりました。
田んぼの中を歩く足から発生した波で稲の株に登ってきて羽化を始めたヤゴというべきか、、トンボが波にさらわれてしまったり、足で落としてしまったり。そのトンボを救助したり、そうならないよう安全な場所に移動したりしました。
そういったトンボたちを救出する際は結構慎重にせねばなりませんでした。羽化したてのトンボは真っ白で柔らかく、繊細に扱わなければ壊れてしまいそうです。そーっと指へと移動させて、タンボの中を歩く際も他の羽化したてのトンボが波にさらわれたり水の中に落ちないように気をつけながら、そんな救出作業をしたのち苗を植えるという感じで約二週間かかって全ての田植えを終えました。
一反三畝を手植えで植えるというのを、植えるまえに想像して「これは腰を痛めるかもしれぬ」と気を張っておりました。確かに毎日のストレッチは必須でしっかり筋を伸ばして次の日にそなえつつ騙し騙しなんとか頑張れましたが、不耕起で手植えをする場合、小指の側面から手首にかけてに結構力が入るらしく、終盤に差し掛かる頃は、その痛みのおかげで長時間手植えを続けられず辛かったことを思い出します。自らの体を使って労働せねば気づかぬ場所に負荷がかかっていることに改めて気づかされました。
この経験も来年の田植えの糧となると思います。
田植え頃の田んぼは、サカマキガイの透明な卵が苗の根元に見られたり、ホウネンエビにトノサマガエルやモリアオガエル、沢山のオタマジャクシたち、ゲンゴロウに、タガメ、水路の入り口を縄張りにするヒメタニシやイモリ、田んぼをプカプカ遊泳する浮き草などなど賑やかになります。
また、この頃、カモの夫婦が昨年同様やってきてくれました。田んぼや、横の水路で仲良く休んでくれたこのカモのご夫婦が今年子供を産みました。コガモと一緒に水田を泳ぐ姿もみられました。このカモの家族の物語は夏の部で語りたいと思います。
(夏の部へ、つづく)