バイオフィリア第0侯Vol.2                           〜厳しい越冬

バイオフィリア第0侯Vol.2 〜厳しい越冬

「厳しい越冬」 

冬の間、巣箱の中のミツバチたちは活動休止のようです。 女王 は子を産まず、 ミツバチたちは半冬眠状態というイメージ で しょうか。 晴れた日の日光に気付くと 目を覚まし用を足しに出 かけます。 遠出をすることなく巣箱の近くで排泄を済ませま す。 ミツバチの排泄物は糞と尿が混ざったような黄色い液体で す。 なぜか白い物の上に落とす習性があるのか、 白いから目立 つためそう言われるのか、 とにかく巣箱の近くの白いものは冬 になるとミツバチの糞で汚さ れる事があります。 ですので実家の畑に巣箱が置いてあって、 その近くの物干し竿に母がシーツなどを干すと必ず黄色い糞を 付けられるため、母からいつもクレームが来る事となるのでし た。それでも毎年嫌な顔もせず巣箱を置くことに協力してくれ るのです。 

私の生まれ育った岐阜県郡上市白鳥町は雪深い町です。 たくさ ん降る時は場所にもよりますが、2メー ト ル弱ほどの積雪となることもあります。 雪が積もる日は、朝起きると巣箱が埋まってし まう事もしばしば。 基本、冬のミツバチは晴れた日以外滅多に巣箱の外に出ていませんが、 雪が積もった日にすぐ巣箱を雪の 中から掘り出さないと、春まで生き埋め状態になってし まいます。 巣箱を掘り出す前にはまず、 巣箱に辿 り着くた めの道を作らねばなりません。雪はどこにも平等に同じ量同時に降り積もるので。巣箱を掘り出 すには雪が降るたび同じように道も作り続けることになります。 ですので春のミツバチが増える時期に新 たに巣箱を設置する際、冬のこの除雪作業を想定して、なるべく 苦労しない場所選びをする必要がありま す。 ----- 冬のミツバチたちは、春から秋にかけて貯めた蜜を食べな がら冬を越します。 私は時々、私たちの商品を 置いていただいている取引先でお話し会をさせて頂く事があります。 そこでミツバチの生態などもわかる 範囲でお話しします。 諸説あると思いますが、 働き蜂の寿命は大体24 日ほどで、女王は3〜 8年ほど生きるとお伝えしていま す。 

以前、お話会で次のような質問をされたことがあります。 「働き蜂の寿命は24 日ほどのようですが冬の 間の寿命は同じなのでし ょうか?越冬期間は3ヶ 月ほどあることになると思うのですが。 」と。 ---- たし かに。計算が合わないじゃあないか?? ---- あることを思い出しました。子供の頃です、 父が山 で拾ってきたヤマネを飼っていた事がありました。(ヤマネは天然記念物で本来飼ってはいけない?かも しれません、、40年ほど前の事なので時候という事で。) 冬になるとヤマネは冬眠をはじめました。その時、仮死状態で冷たく丸まったヤマネを手で温めてやると モゾモゾと動き出すのがなんと も可愛かったことを記憶しています。 それを思い出して、巣箱の近くの雪の上で死んだと 思われるミツバチを拾い、 手の中で温めてみました。 するとミツバチはゆっくり と動き出して、暖房の効いた室内にそのまま移動すると、しまいには飛び回り ました。 それで思ったのです。 寿命自体は変わらないが仮死状態は10 0パーセン ト生きているとカウントしない のではないか、 だから春を迎えることができるのではないか。 ----- これはあくまで私の想像ではあります。 そうやってミツバチや他の小さな生き物たちは過酷な冬を乗 り切ったものだけが命を繋ぎ、また春を迎えることが出来るのかもしれません。 

つづく

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山奥の地元でニホンミツバチと暮らす人たちです。

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