「犯罪収益移転危険度調査書 令和元年度版」②危険度の高い取引についてまとめてみた

 「犯罪収益移転危険度調査書 令和元年度版」②危険度の高い取引についてまとめてみた

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Taakeです。警察庁の犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)の「犯罪収益移転危険度調査書 令和元年度版」まとめてみたシリーズの続編②危険度の高い取引編です。
原本P93~102をまとめました。
これ読めばあなたも危険な金融犯罪博士!ふわっとした金融犯罪の解像度が上がること間違いなし。
クリプトとは切っても切れない分野なので、読んでおくことをお勧めします。原本も普通に面白いです。読みにくいけど。
内容は(1)非対面取引(2)現金取引(3)外国との取引3つで構成されます。※無料部分は(1)の非対面取引のみ。

 

1 取引形態と危険度
FATFの新「40の勧告」解釈ノートにおけるマネー・ローンダリングやテロ資金供与の危険度を高める状況の例(「非対面の業務関係又は取引」、「取引が現金中心である」)に加え、来日外国人によるマネー・ローンダリング事犯検挙事例の存在等を参考にして、取引の危険度に影響を与える形態として、(1)非対面取引(2)現金取引及び(3)外国との取引を特定し、分析・評価を行った。

(1) 非対面取引


ア 危険度を高める要因

(ア) 非対面取引の特徴

情報通信技術の発展、顧客の利便性を考慮した事業者によるサービス向上等により、インターネット等を通じた非対面取引が拡大している。

  • 預金取扱金融機関におけるネットでの口座開設や振込等の金融取引
  • 郵送で口座の開設等の申込手続ができるメールオーダーサービス
  • 金融商品取引業者等におけるネットでの口座開設や株式の売買等

 取引の相手方と直に対面せずに行う取引である非対面取引は、以下のような課題がある。

  • 同人の性別、年代、容貌、言動等を直接確認することにより、本人特定事項の偽りや他人へのなりすましの有無を判断することができない
  • また、本人確認書類の写しにより本人確認を行う場合には、その手触りや質感から偽変造の有無を確認することができない
  • 上記のように、非対面取引においては、他人になりすますことを企図する者を看破する手段が限定され、本人確認の精度が低下することとなる。

したがって、非対面取引は対面取引と比べて匿名性が高く、容易に氏名・住居等の本人特定事項を偽ったり、架空の人物や他人になりすまして取引を行うことが可能である。具体的には、偽変造された本人確認書類の写しを送付すること等により、本人特定事項を偽ったり、他人になりすましたりすることが可能となる。

なお、我が国は、FATFの第3次対日相互審査において、「非対面取引における身分確認及び照合に関する義務が十分でない。」旨指摘された。

(イ)非対面取引がマネー・ローンダリングに悪用された事例

  • 窃取した健康保険証等を用い、インターネットを通じた非対面取引により他人名義で開設された口座が、盗品の売却による収益の隠匿口座として悪用されていた事例
  • 架空の人物になりすまして非対面取引により開設された口座が、詐欺やヤミ金融事犯等において、犯罪による収益の隠匿口座として悪用されていた事例
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯において、偽造の身分証明書を使用した非対面取引により開設された複数の架空名義口座が振込先に指定されていた事例
  • 長期不在中の親族の写真付き本人確認書類を使い、スマートフォンアプリにより銀行口座を開設して、詐欺の犯罪収益を振り込ませていた事例
  • 偽造の健康保険被保険者証を使用し、オンラインで銀行口座の開設の申込みをして、キャッシュカードが本人限定郵便で郵送されてきた際に、郵便局員に口座開設の際に使用した偽造の本人確認書類を提示し、キャッシュカードを受け取っていた事例
  • オンラインで架空の法人名義口座を開設し、特殊詐欺の犯罪収益を振り込ませていた事例

イ 非対面取引の危険度の低減措置

当初、犯罪収益移転防止法で、顧客等の本人特定事項の確認方法を以下に定めていた。

  • 特定事業者が直に本人確認書類の提示を受ける方法
  • 顧客等から本人確認書類又はその写しの送付を受けて、当該本人確認書類又はその写しに記載されている当該顧客等の住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により転送不要郵便物等として送付する方法
  • 郵便事業者等が、特定事業者に代わって住居を確認し、本人確認書類の提示を受けた上、氏名等を特定事業者に伝達する方法
  • 電子署名による方法

しかし、近年、転送不要郵便物及び本人限定受取郵便物として取引関係文書を送付することによる本人確認方法においては、空き家を住居とした偽造の本人確認書類の写しを悪用して、当該空き家にキャッシュカードやクレジットカード等の取引関係文書を配達させるなどの不正事例の発生が認められている。

この実態を踏まえて、オンライン完結型本人確認手法などの危険度を低減させるための措置を規定した改正規則が2018年11月に施行され、さらに2020年4月に改正が施行された。これらの措置によって、従来型の本人確認方法を厳格化する一方で、オンラインで完結する効率的な本人確認方法がが可能となった。
改正の変遷の概要は省略。以下のサイトのリンクを参照されたい。

わかりやすくまとめてみた!!犯収法、これからどうなる?【やまざき調べvol.6】

オンライン完結型本人確認手法の実施に必要な画像の撮影及び送信に当たっては、特定事業者が開発した又は第三者が開発し特定事業者が使用の契約を締結したソフトウェアに限って使用することを認めることで、加工された画像データが用いられることを防止している。

金融庁が策定している監督指針においては、インターネットバンキングが非対面取引であることを踏まえ、取引時確認等の顧客管理に必要な体制の整備が図られているかという点を監督上の着眼点の一つとして定めている。
事業者においては疑わしい取引を判断するに際して、IPアドレスやログイン所在地を踏まえて取引をモニタリングするなど、リスク低減措置が図られている。

ウ 非対面取引の危険度の評価

  • 非対面取引においては、取引の相手方や本人確認書類を直接観察することができないことから、本人確認の精度が低下する。
  • したがって、非対面取引は、対面取引に比べて匿名性が高く、本人確認書類の偽変造等により本人特定事項を偽り、又は架空の人物や他人になりすますことを容易にする。
  • 実際、非対面取引において他人になりすますなどして開設された口座がマネー・ローンダリングに悪用されていた事例があること等から、非対面取引は危険度が高いと認められる。

(2) 現金取引(以下はご購入ください☆)

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