🐇21のレッスン - ビットコイン・ラビットホールに落ちて学んだコト🕳️Lesson 12

🐇21のレッスン - ビットコイン・ラビットホールに落ちて学んだコト🕳️Lesson 12

🐇Lesson 12🕳️
お金の歴史と没落

“そういう規則というのは、たとえばまっ赤にやけた火かき棒をあんまり長くにぎっているとやけどをするよ、とか、指をナイフでとぉってもふかく切っちゃったら、たぶん血が出てくるよ、とかですね。そして『毒』と書いてあるびんの中身をたくさんのんだら、たぶんまちがいなく、いずれ困ったことになるよ、というのも、アリスはぜったいにわすれなかったのでした。”
引用元:不思議の国のアリス

多くの人は、お金は金で支えられており、厚い壁で守られた大きな金庫で保管されていると考えている。これは何十年も前に真実ではなくなった。私は、金や紙幣の理解が事実上まったくなかったのと、そもそもなぜ何かに支えられている必要があるのか分からないという、はるかに深刻な問題の最中にいたので、自分がどう思っていたかは定かでない。

ビットコインについての学びの一部分は、法定紙幣に関してである。それは何を意味するのだろうか、どういう経過を経てきたのか、そしてなぜそれが我々が手にした中で、ベストなアイデアはないかもしれないのか。では、法定紙幣とは正確に何なのだろうか?そして、我々はいかにしてそれを使う羽目になったのだろうか?

法定によって示されるのは単純に、正式な認可や提議が課されている事を意味している。それゆえ法定紙幣は単に、誰かがそれはお金であると言ったがゆえに、お金なのである。今日、あらゆる政府が法定通貨が使っているため、この誰かこそが、あなたの政府となる。残念ながら、この価値提案にあなたが反対する自由はない。すぐにあなたはこの提案は、非暴力なこと以外のあらゆることなのだと感じるだろう。もしこの紙の通貨をビジネスや税金に使うのを拒否したなら、経済について語れる仲間は刑務所の相部屋仲間のみになってしまう。

法定紙幣の価値は、その固有の特性に起因するものではない。ある種の法定貨幣がいかに優れているかどうかは、それを現実化させている人々の政治的・財政的な(不安定)安定性にのみ相関する。その価値は、法令により独裁的に課されているのだ。

fi·at /ˈfēˌät,ˈfēət/ --- 'Let it be done'(それをなせ)

最近まで、2種類のお金が使われていた。貴重な物から作られた商品貨幣、そして単にたいてい書面で、貴重な物を表すだけの代表貨幣。

商品貨幣には上記ですでに触れた。人々は特別な骨や、貝殻そして貴重な金属をお金として利用した。のちに、ほとんど金や銀のような貴重な金属から作られたコインがお金として利用された。これまでに発見された最古のコインは、天然の金銀混合物で2700年以上も前に作られたものだ。ビットコインに何か新しいものがあるとすれば、コインとしての概念はそれではない。

 

リディアのエレクトラム硬貨. 画像著作権 cc-by-sa Classical Numismatic Group, Inc.

貯蓄するコイン、または現代的な言い回しでHODLするコインは、コインそれ自体とほとんど同じくらい古いことが判明している。最古のコイン・ホドラーは、ほぼ100枚のこうしたコインを壺に入れ、寺院の土台に埋めた人であり、2500年も経ってから発見されたのだ。言うなれば、かなり優れたコールド・ストレージである。

貴重な金属コインを利用する欠点の一つは、削り取られてしまい、実際にコインの価値を落とされてしまうことだ。削り取ったものから新しいコインを鋳造し、時間と共にマネー供給をインフレさせて、いつの間にか個々のコインの価値を落としてしまう。人々は文字通り銀硬貨から、ばれない限り出来るだけ多く削り落としていたわけだ。この時代、彼らはどんなタイプのDollar Shave Club風広告を展開していたのだろう。(※翻訳者注1)

政府は、自分たちがそれをやる時のみインフレに冷静でいられるので、このゲリラ的な貨幣価値の毀損を止めさせるための努力がなされた。古典的な警察と泥棒のシナリオで、コインを削るやつらはますますその技術が創造的になり、対抗手段として‘鋳造の達人たち’もますます創造的になって行った。「数学的諸原理」の名声で世界的に著名な物理学者であるアイザック・ニュートンは、かつてこうした達人たちの一人であった。現在のコインにもある、側面に小さなストライプを追加したことによるものだ。簡単にコインを削り取れる日々は終わりを告げたのだ。

こうしたコインの改鋳方法は抑え込まれたが、コインにはいまだ他の問題がある。とりわけ大きな価値の移動が必要となる場合、それらはかさばり、あまり輸送に便利ではない。メルセデスベンツを購入するたびに、銀貨の入った大きなバックで現れるのはあまり実用的でない。

ドイツ製と言えば、どのように米ドルがその名を獲得したかには、もう一つの面白い話がある。「ドル」という言葉は、ヨアヒムスターラーの略語であるドイツ語のターラーに由来している。 ヨアヒムスターラーは、ザンクト・ヨアヒムスタールの町で鋳造されたコインである。ターラーは谷から来た人(または何か)の略記であり、ヨアヒムスタールは銀貨生産で有名な谷であったため、人々は単にこれらの銀貨をターラーと呼んだ。 Thaler(ドイツ語)はdaalders(オランダ語)、そして最後にdollars(英語)へと変わった。

オリジナル’dollar' 聖ヨアヒムがローブと魔法使いの帽子姿で描かれている。画像著作権cc-by-sa Berlin-George

代表通貨の導入が、ハード・マネー没落の先触れであった。金証券は1863年に導入され、約15年後、銀ドルもまたゆっくりとしかし確実に、紙の代理権、銀証券へと置き換えられていった。

最初の銀証券導入から、これらの紙片が我々が今日、1米ドルとして認識するものに変わるまで約50年かかった。

1928年の米国銀ドル「要求に応じて持参人払いである」写真クレジット:スミソニアン協会の国立貨幣コレクション

上記の1928年、米銀ドルはいまだに銀証券の名前で呼ばれており、この紙片の所有者が、実際に少量の銀を保有していることを示す単なるドキュメントである点に注意してほしい。このことを示すテキストが、時間と共に小さくなっていったのを見るのは興味深い。“証明書”の痕跡はしばらくして完璧に消え去り、これらは連邦準備券という安心の声明に置き換えられた。

上で述べたように、同じことが金にも起きた。それまでほとんどの世界は、金銀複本位制であった。つまり、通貨が主に金と銀から作られていた。金貨に交換可能な金の証明書を持ったことは、間違いなく技術的な向上であった。紙はより便利で、軽く、単純により小さな数字を紙面に印刷するだけで、好きなように分けられるので、より小さな単位への分割も簡単である。

これらの証明書が、実際の金と銀の代理権であるのを持ち主(ユーザー)に思い出させるため、証明書はそれに応じて色づけされ、紙面自体にはっきりそのことを明言した。その記述を上から下に流暢に読むことができる。

“これは要求に応じて持参人払いである100ドルの金貨が米国財務省に預金されたことを証明するものである。”

写真クレジット:国立アメリカ歴史博物館の国立貨幣コレクション

1963年、“要求に応じて持参人払い”の言葉が全ての新規発行紙幣から削除された。5年後、金と銀への紙の紙幣の償還は終了した。

紙幣の背後にある起源とアイデアを示唆する言葉は削除された。金色は消え去った。残されたのは紙と、それにより政府が望むだけ印刷ができる能力だけであった。

1971年に金本位制が廃止されたことで、この世紀にわたる手品が完成した。お金は今日、我々が共有する幻想となった。法定通貨の誕生。軍隊を指揮し、刑務所を運営する何者かが、それには何らかの価値があると言うから、何がしかの価値がある。今日流通している全てのドル紙幣にはっきりと読み取れるように、“本紙幣は法定通貨である”。言い換えるなら、これには価値がある、なぜなら紙幣がそう言うから。

現在使用されている2004年シリーズの20ドル紙幣。'本紙幣は法定通貨である’

ところで、今日の銀行券にはわかりやすく隠されたもう一つの面白い教訓がある。2行目は、これは“公的および私的な全ての債務に対する”法定通貨である、と読める。経済学者には明らかかもしれないことが私には驚きだった。全てのお金は借金である。このせいで私の頭はいまだ痛んでいるので、お金と借金の関係の探求はエクササイズとしてあとは読者に委ねようと思う。

見てきたように、金と銀はお金として何千年もの間、使われてきた。時間が経つにつれ、コインは紙幣へと置き換えられた。そして紙幣はゆっくりと支払い方式として受け入れられた。この受容は、幻影を作り出した。 —  紙幣それ自体が価値を持つという幻想である。最後の動きは、写像と実物の間にある繋がりを完全に断ち切る事だった。金本位制を廃止し紙幣それ自体が貴重であると皆を説得したのだ。

ビットコインは私に、お金の歴史と経済の歴史の中でもっとも偉大な手品、法定通貨について教えてくれた。

 

 

(C)Gigi "21 Lessons" クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に基づき翻訳

※翻訳者注1…Dollar Shave Club 大手企業で独占されていた男性カミソリ業界に「月額1ドルで定期的にカミソリを自宅に届ける」サブスクリプションモデルと言う斬新な販売方法で参入し、急成長を続けているアメリカの会社。無駄に高機能化・高額化する髭剃り商品に、「ただの髭剃りにそんなんいらんやろ。男は黙ってDSC。」と、ど直球に切り込むスタイルで、CEO自ら出演するチープながらセンス溢れるCMも話題となり大ブームを巻き起こした。これからのマーケティング・スタイルのヒントがここに。

言及するのは野暮だが、ここでは削り取られる銀貨(shaving off)と髭剃りがかかっている。

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