オーストラリアワインセミナーに行ってみた
みなさんこんにちは。今回は9月末に東京で開催されたオーストラリアワインセミナーについて書きたいと思います。以前、「オーストラリアワイン テイスティング東京 2023」と、「オーストラリアワイン スペシャルディナー」についてお届けしましたが、今回のセミナーはその翌日に開催されたものなので、この2日間はオーストラリアワイン漬けになれる大変幸せな日々でした(笑)。さて、この日私が向かったのは・・・
虎ノ門ヒルズにある・・・
こちらの「アンダーズ東京」さん!さっそく中に入ってみると・・・
案内がありました!ちなみに、今回のテーマは「コルク&スクリューキャップでの20年熟成比較」で、簡単に説明すると、コルク打栓とスクリューキャップ打栓の同じ年の同じワインを比較して、打栓違いで熟成に差は生まれるのかを検証すると言う非常にマニアックかつ興味深い内容でした!
そもそも、同じ年の同じワインで打栓違いが存在するのは、コルクとスクリューキャップの両方が同時期に混在していたオーストラリアなどの限られた地域しかなく、しかもそのワインを20年前から今日のためにずっと保管し続けてきた「ヴィレッジ・セラーズ」さんの努力なくしては開催出来なかった、非常にレアなセミナーでもあるのです(おそらく、打栓違いの同じ年の同じワインは、もう世の中にはほとんど存在していないと思われます)。
さて、会場に入ると、すでに席にはワイングラスと資料が用意されていました。今回は、5つの生産者の「現行ヴィンテージ、コルクとスクリューキャップが両方打栓されたヴィンテージ」の3本、つまり合計で15種類を比較試飲する予定なので、この後テーブルの上はグラスで一杯になるものと思われます(笑)。・・・それにしても、今回の会場である「アンダーズ東京」さんは、虎ノ門ヒルズ森タワーの51階にあるので・・・
見てください、この景色!昨日の「ロングレイン」さんが39階でしたが、今日はそれよりもさらに上層階で、目の前には東京タワーが!やっぱ東京って凄いな~(笑)。そして・・・
いよいよセミナーがスタート!向かって左側は、今回のワインセミナーを20年前から企画準備してきた「ヴィレッジ・セラーズ代表のコーエン」さん、そして講師は、日本を代表するソムリエの「森 覚」さんが務めてくださいました!では、まずは・・・
南オーストラリア州クレア・ヴァレーの生産者「グロセット」の「ポーリッシュヒル・リースリング 2022/2000」から試飲。創立者のジェフリー・グロセットは、世界最高のリースリング生産者の一人としても有名で、クレア・ヴァレーの生産者と共にスクリューキャップ導入の主導的役割を担った人物でもあります。
左から2022年スクリューキャップ、2000年スクリューキャップ、2000年コルクとなっていますが、やはり20年以上経過しているワインは色合いがより濃くなっています。そして味わいは、2022年が非常にしっかりとした酸味のあるまだ硬い印象なのに対して、2000年のコルクは少し酸味が穏やかになり熟成した印象、2000年のスクリューキャップはまだ酸味の生き生きとしたニュアンスも残っており、明らかにコルクのワインとは異なる味わいでした。続いては・・・
西オーストラリア州マーガレット・リヴァーの「ルーウィン・エステート」の「アートシリーズ・シャルドネ 2019/2003」を試飲。マーガレット・リヴァーのパイオニア的存在で、昨日の試飲会でも登場したシャルドネです。
味わいは、2003年のコルクがより水分が抜けたようなストーンフルーツやアプリコットなどの濃縮感のある果実味なのに対して、2003年のスクリューキャップはもう少し若さのあるようなストーンフルーツやアプリコットなどの果実味に、より酸味がフレッシュさを与えるような味わいで、両者の間には違いが感じられました。続いては・・・
南オーストラリア州マクラーレン・ヴェイルの「ダーレンベルグ」の「ダリーズ・オリジナル・シラーズ・グルナッシュ 2021/2002」を試飲。4世代、110年以上に亘りマクラーレン・ヴェイルでワインを造り続けている生産者で、キューブと呼ばれる独創的な形のワイナリー建築物でも有名です。
まず外観ですが、2002年のコルク(写真左)の方が2002年のスクリューキャップ(写真中央)よりもオレンジ色のニュアンスが発展している(熟成感)のが見て取れました(写真ではわかりづらいですが)。そして味わいも、コルクはより酸化熟成による落ち着きやドライフルーツ感があり柔らかいテクスチャーなのに対して、スクリューキャップはもう少し果実のジューシーさや酸味の輪郭などが残っていて、全体的にまだ少し若い部分も感じられるような味わいでした。続いては・・・
南オーストラリア州バロッサ・ヴァレーの「エルダトン」の「コマンド・シングル・ヴィンヤード・シラーズ 2018/2002」を試飲。バロッサ・ヴァレーを代表するプレミアム生産者で、この「コマンド・シラーズ」はオーストラリアを代表するワインの一つでもあります。
味わいは、2002年のコルクがよりドライフルーツ感の強いプラムやレーズンなどを感じ、スパイスの風味もあるけど全体が柔らかくまろやかなテクスチャーなのでより果実の甘さを感じやすいのに対して、スクリューキャップはもう少し水分を持ったプラムなどの果実に、丁子などのスパイスやセージなどのハーブ感などより複雑な香りで、味わいも果実味よりも全体のバランスの取れたスタイルに変化していました。そして最後は・・・
ヴィクトリア州グランピアンズの「マウント・ランギ・ギラン」の「ランギ・シラーズ 2019/2003」を試飲。オーストラリアを代表する優雅な冷涼地シラーズを生産する蔵元として知られています。
味わいは、2003年のコルクがドライフルーツにキノコなどのアーシーなニュアンスがあり、酸化熟成のニュアンスも強めに出ていて、全体的に丸くて甘やかな印象なのに対して、2003年のスクリューキャップは、ドライフルーツと言うよりも煮詰めたブルーベリーなどのコンフィのようなニュアンスに、五香粉のようなスパイス感があり、味わいも果実味はしっかりありつつも、もう少し酸味が全体を引っ張るようなスタイルに変化していました。これにて、15種類の比較試飲が終了(疲れた~(笑))。
見てください、この荘厳な風景を(笑)!最後の方は、グラスを置くスペースが少なくて大変でしたが(笑)、これだけ貴重なワインを同時に比較しながら試飲出来る機会はもうないので、今回はとても勉強になりましたし、とても良い経験が出来ました!そして何より、ワインによって大小の差はありましたが、明らかにコルクとスクリューキャップとでは同じ保存状況下でも熟成に違いが出る事がわかりました!
今回試飲をした5生産者、15種類のワインです。これだけのワインを20年間も保管し続けてくれた「ヴィレッジ・セラーズ」さんには、改めてお礼を申し上げたいと思います、20年越しの素晴らしいワインセミナーを企画してくださり、本当にありがとうございました!
さて、大変貴重なセミナーを終えた後は・・・
ビールで乾杯(笑)。やはり、どうしても試飲会やセミナーの後はこれが飲みたくなるんです(笑)。そして、この日は泊まりだったので・・・
私はこの後、夜の新橋へと消えて行きました(笑)。