飲まざるを得ないのです
みなさんこんにちは。先日、私のブログを読んで下さっている方から応援のお言葉を頂きました!毎回、ためになるのかわからないような内容ばかりですが(笑)、こんなブログでも楽しみにして下さっている方がいてくれて、とても励みになりました。どうもありがとうございます!
と言う事で、さっそく今回もブレずにお酒にまつわる話をしたいと思います(笑)。先日、友人宅にお呼ばれをして昼食を頂く機会がありました。まあ、昼食と言っても当然お酒は欠かす事が出来ない訳で(笑)、ワインなどを飲んでいたのですが、途中から日本酒を飲む事になりました。
すると友人が「今日はこのお猪口でどうぞ」と言ってこちらの・・・
「龍馬」と書かれたお猪口を用意してくれました。
幕末の歴史にはあまり詳しくない私ですが、龍馬と言えば土佐ぐらいはわかります。そして、土佐と言って思い浮かべるのは「日本酒の銘醸地」と・・・「酒豪」と言う文字(笑)。なるほど、今日は飲むぜよ!って事かなと考えていると、さっそく友人が日本酒を注ぎに来てくれました。
私は、咄嗟にそのお猪口を持って日本酒を頂こうとしたのですが、その瞬間ある事に気付きました。
・・・ん、これは?・・・ま、まさか!?
さて、みなさんはお気付きになりましたか?実はこのお猪口・・・
底が尖っているのです。と言う事は・・・
お酒が入った状態では決して置く事が出来ないのです(笑)。
つまり、このお猪口にお酒を注がれたら最後、あなたは飲み干すか、もしくは永遠にそのお猪口を持ち続けなければならないのです(笑)。
そんな恐怖のお猪口ですが、実はこれ、「可杯(べくはい)」と呼ばれる酒器なのです。その名前の由来は、「可」と言う文字が漢文においては「可〇〇(〇〇すべし)」と書き、常に句の上にきて、決して句の下には置かない事から、飲み干さないと置く事が出来ない杯を「可杯(べくはい)」と呼ぶようになったそうです。
その中でも、とりわけ有名なのが土佐のお座敷遊びで使われる「座興杯(ざきょうはい)」と呼ばれる「べくはい」で・・・・
おかめ、ひょっとこ、天狗のお面を模した盃になっています(写真は普通のお面です)。
そしてそれぞれに特徴があり、ひょっとこは口の部分に穴が開いているため、指で穴を押さえないとこぼれてしまうため飲み干さざるを得ない、天狗は鼻が長いため置く事が出来ず飲み干さざるを得ない、おかめは唯一置く事は出来るが、女性の顔を下に向けて置くのはかわいそうなので飲み干さざるを得ない、と言った感じです(笑)。
また遊び方としては、それぞれのお面の絵柄が描かれた独楽(コマ)を回して、その独楽が止まった時に軸の向いている方向に座っている人が、その時に出た絵柄の「べくはい」でお酒を一気に飲み干す、と言うものです。いや~、なかなか楽しそうなお座敷遊びですね(笑)。
ちなみに、今回私が使ったすり鉢状の「べくはい」は、「そらきゅう」と呼ばれるもので、どうやら元々は南九州地方の宴席遊びで焼酎を飲むために使われていた物のようです。ひょっとこ杯のように穴が開いている物もあるらしく、「そら!」と注がれたら「きゅっ」と飲み干す事から名付けられたそうです。
さっそく私も、注がれた日本酒を「きゅっ」と飲み干しました。
すると、案の定すぐに「もう一杯いかが?」と言った感じでまた日本酒を勧められ「きゅっ」と飲み干すの繰り返し・・・まるで自分がタイムループしているかのような錯覚に陥りました(笑)。・・・この後一体どうなってしまうのか(笑)?
いかがでしたか?なかなか珍しい「べくはい」でしたが、検索してみるとネットショップでも購入ができるようなので、ぜひみなさんも「べくはい」を手に入れて、お座敷遊びを楽しんでみてはいかがですか?ちなみに天狗の杯が、鼻の部分にもお酒が入り容量が一番多いので、くれぐれもお気を付けください(笑)。