週刊暗号資産決済ニュース【2022年9月第4週】/Token2049レポート
Hey!👋
先週はイギリスの新政権が減税政策を発表したことを受けてポンドが対ドル最安値を記録するなど、金融市場においては大きな混乱がありましたね。
・ポンド、最安値更新の26日に対ビットコイン取引が急増
https://jp.reuters.com/article/fintech-crypto-gbp-idJPKBN2QU00X
ロシアの停戦提案に対してウクライナはNATOへの加盟を申請しましたが、紛争状態にある国の加盟にNATOが合意するかについては非常に困難であるとの見方が強くあります。
また、各国における不換紙幣に基づいた貨幣制度が不安定化する中で、暗号資産市場では、USDCの時価総額が減少しており、リスク回避の姿勢強まっていると言えますね。
トルネードキャッシュ事件やBUSDなどの影響でステーブルコイン市場全体の構造も変わりつつあり、米ドルを基軸通貨とした貨幣制度の中で、どの貨幣/資産で価値を保存するかが重要な局面となりそうです✌️
そんな中、私たちはシンガポールでToken2049に参加してきました!
基調講演においてLedgerのCEOであるPascal Gauthierが、下記のように語っていたのが印象的で、Regulatory compliance系のプロジェクトは成長が期待できそうと感じました🥳
・テクノロジーカンパニーになるか規制対応のスペシャリスト集団になるか
・どちらかを選択するのが最適解で、協力関係でやっていくべき
https://mobile.twitter.com/Ledger/status/1575395150032998402
個人的にはHyperithm、CYBAVO、Onchain Custodial、ScorechainなどOTCやコンプライアンス系のプロジェクトが特に気になった次第です🤗
今後は各プロジェクトが、国家や規制、事業者に対してどのようなビジネス提案をできるのかが重要になるとも想定され、それぞれの領域で協力関係を構築していきたいですね。
では、先週の週刊暗号資産決済ニュースを振り返っていきましょう!
✅USDC
Circleが主催したカンファレンス「Converge22」においてはジャック・ドーシー率いるTBDが米ドルステーブルコインへのアクセスの改善を目的にCircleとのパートナーシップを発表。
アルゼンチンやトルコなど、インフレーションに苦しむ国に住む人々が、米ドルステーブルコインにアクセスできるようになることで、金融包摂の実現が期待されます。
TBDの最高執行責任者であるエミリー・チウ氏は下記のように述べており、「法定通貨→暗号資産(デジタルな法定通貨)」のインフラの整備が暗号資産決済市場の成長に繋がると考えられます。
「今日の米ドルは基軸通貨であり、ビットコインは明日の基軸通貨になる可能性があると考えています。ステーブルコインはその架け橋です。」
WEB5構想においては、Decentralized Web Applications上での自己主権型の決済手段の実現が想定されていましたが、USDCをどのようにエコシステムに統合するのかとても気になるところです✌️✌️✌️
また、CircleはCross-Chain Transfer Protocolのローンチ予定とともに、現在対応中の8のブロックチェーンに追加で、Arbitrum One、Optimism、Near Protocol、Polkadot、Cosmosへの対応についても発表を行なっています。
各チェーンエコシステムにおけるUSDCの流動性や効率性が改善することで、ステーブルコインの更なる社会実装が進むことが期待されますね!
Token2049においては、Suberra、Alcemy pay、FOMO pay、Transak、BridgePay、mercuryoとディスカッションをかわしましたが、やはり「法定通貨→暗号資産→法定通貨(取引所、OTC)」の包括的なエコシステムを各国で構築できるかが重要であると考えられます。
✅Market trends in each country
・Russia
ロシアは資源国として世界のエネルギー政策にも大きな影響を及ぼしている一方で、ウクライナとの戦争の長期化によって国力の相対的な弱体化、プーチン大統領の信用力の低下などが危惧されています。
すでに多くのロシア国民は他国に逃亡を図っており、近隣諸国のカザフスタンにおいてはロシア国民の受け入れとともに、暗号資産から現金への交換に関して、合法化する準備を進めています。
ロシアは、西側諸国の経済制裁への対応として、国際決済に暗号資産を活用することを目指しており、USDTやUSDCなど米国で発行されていなく、ボラティリティがない暗号資産の採用を検討しているとのこと。
基軸通貨である米ドル経済圏から除外された国々での暗号資産決済の普及は急速に進んでおり、暗号資産を「価値交換手段」として国家が採用する取り組みがどのような影響を市場全体にもたらすのでしょうか?
善悪の判断は個々に委ねるとして、不換紙幣に基づいた貨幣制度の不安定化とともに、暗号資産決済は、国際決済市場においてより大きな意味を持つことになりそうです🤔
・Latin America
ラテンアメリカではステーブルコイン担保ローンが普及しています。
その背景には、脆弱な自国通貨のもとで人々が伝統的な銀行システムにアクセスができず、その代替として暗号資産の利用を行わざるを得ないといった事情が存在しています。
暗号資産担保ローンは、下記のようなユースケースがあり、ラテンアメリカの企業や人々の生活を金融領域からサポートしています。
・年利7.9%のUSDCローン(Ledn)
・DAIを担保にしたアルゼンチンペソペッグステーブルコイン「NuArs」ローン(Buenbit)
ブラジルの銀行「Itau」は、年利172.85% までの個人ローン、アルゼンチンの銀行「Banco Santander」は最大で年利230%のローンを提供しているなど、ラテンアメリカにおける伝統的な銀行システムは、ほとんどその役割を果たせない状態にあります。
ステーブルコイン担保ローンによって、ラテンアメリカの企業や人々が、法定通貨の代替としての支払い手段を確保できることは、より広い意味での金融包摂を実現することでしょう。✌️
・Africa
サハラ以南のアフリカの小売市場では、1,000ドル未満の少額決済において暗号資産が採用されている割合が、80%以上を超えていることをブロックチェーンデータ会社「Chainalysis」のレポート は明らかにしています。
このことは、サハラ以南のアフリカにおいては暗号資産が小売市場で広く採用されていることを示しており、ナイジェリアナイラのボラティリティなどの影響で、価値を保存できる資産へのアクセスが必要であるといった背景が存在しています。
また、アフリカにおいてはP2P取引の割合が6%を占めており、他の国々と比較しても特異的な数値となっています。
P2Pプラットフォーム「Paxful」の利用者は、前年比でナイジェリアで約55%、ケニアで約140%、ガーナの総取引量は、過去2年間で400%の増加を記録しているなど、急速に市場が成長していることがわかります。
アフリカの暗号資産決済市場にどのようにアプローチできるのか私たちも考えていこうと思います😉
✅Bitcoin/Lightning Network
tbDEXプロトコル上でのUSDCの決済は暗号資産による金融包摂の実現に向けては非常に現実的な選択肢ではあるものの、法定通貨の延長線上での取り組みかつ中央集権化/検閲のリスクについてはやや評価が分かれる形となっていますね。
https://twitter.com/TBD54566975/status/1575272867029082112/retweets/with_comments
tbDEX Whitepaper v0.1
https://tbdex.io/whitepaper.pdf
https://github.com/TBD54566975/collaboration/blob/main/projects/GETTING_STARTED_TBDEX.md
Lightning Network上でステーブルコインなどを送金、決済することを目指すTaroもアファ版をリリースしており、ビットコインで世界の金融ネットワークを構築する取り組みは加速していくとも想定されます。
https://lightning.engineering/posts/2022-9-28-taro-launch/?utm_source=substack&utm_medium=email
https://github.com/lightninglabs/taro#readme
Taroによって、人々がStrike、Ibex Mercado、Paxful、Breez、BitnobなどのアプリケーションからLightning Networkネイティブのステーブルコインにアクセスできるようになり、これによって、Bitcoin/Lightning Networkが価値交換手段としてより重要な役割を担うことになっていくのかもしれませんね✌️
他のトピックとしては、米国のシンクタンクであるBitcoin Policy Instituteは、人々から財務管理、プライバシー、自由を奪うとしてCBDCを警戒する主張を展開。
デジタル人民元は富の追跡を目的に開発された側面もあり、米国においてはデジタルドルよりも規制に準拠したステーブルコインが求められていくのかもしれません。
https://twitter.com/NSmolenski/status/1574752888705908745
また、シリーズ Bで8,000万ドルを調達したStrikeは、Lightning Networkにおける決済について下記のように述べており、TBD、Taroとともに新しい決済の時代を創出しようとしています。
「光の速さで動き、ほとんどコストをかけずに安定できるデジタル機器を手に入れました」
「決済ネットワークの歴史の中で、決済ネットワークが決してできなかったことを実行します。」
Lightning Networkは、9月29日時点でキャパシティーが4,900BTCを超えており、世界最大の機関と協力することを目指すStrikeによって、さらなる普及が期待されますね✌️
https://twitter.com/kerooke/status/1575490303720820739
まとめ
先週はステーブルコインによる金融包摂について各地域/企業の取り組みが報じられた一方で、リスク回避を目的としてUSDCなど暗号資産市場からの資金流出の傾向が確認された1週間でしたね。😉
Bitcoin/Lightning Network領域においてもステーブルコインの普及が進むことで、暗号資産の決済手段としての活用についてより多くの議論が交わされることでしょう。
ステーブルコインによって、暗号資産はより便利な決済手段として世界的に普及することが期待されますが、米国中間選挙後の米国経済がどのように変化していくのかなど、基軸通貨としての米ドルについては多くの議論が今後も交わされていくことでしょう。
私たちもマルチチェーン対応を進めている他、各国の規制に準拠したエコシステム形成など中長期的な市場形成に向けた取り組みを行っていきます✌️
✅USDC
@jack’s @TBD54566975 Teams Up With Circle to Take US Dollar Stablecoin Savings and Remittances Global
@circlepay Expands #USDC Stablecoin to Five New Chains, Unveils Cross-Chain Transfer Protocol
✅Russia
#Kazakhstan ready to legalize #crypto as Russians flock to the country
https://cointelegraph.com/news/kazakhstan-ready-to-legalize-crypto-as-russians-flock-to-the-country
#Russia unlikely to choose #Bitcoin for cross-border crypto payments: Analysis
✅Latin America
UFC fighter El Ninja to become first #Argentine athlete paid in #crypto
#Crypto Loans Are Booming in #LatinAmerica Amid Runaway Bank Rates and Inflation
✅Africa
#Crypto Is Quietly Thriving in Sub-Saharan #Africa: Chainalysis Report
#Ghana set to catch up to #Nigeria and #Kenya in terms of crypto adoption: Chainalysis
✅Bitcoin
#Bitcoin think tank: Reject #CBDCs and look to #BTC and #stablecoins instead
Strike CEO : El Salvador’s Bitcoin Experience ‘Doesn’t Hurt My Company at All’