香り甲州
みなさんこんにちは。今回は日本ワインについて少し取り上げてみようと思います。みなさんは「甲州」と言うブドウ品種をご存じでしょうか?「甲州」は日本を代表するブドウで、OIV(国際ブドウ・ワイン機構)にもワイン醸造用ブドウとして登録された、世界にも認められた日本固有の品種です。
そんな「甲州」を使ったワインが日本にはたくさんあるのですが、今回取り上げるのはこちらのワインです。
大泉葡萄酒株式会社さんが造った甲州ワインです。一見、普通の甲州ワインのようにも見えますが・・・
「香り甲州」と書かれています。そして、ラベルの左下には・・・
謎の「ノンボルドー栽培」の文字が。・・・これは一体どう言う事なのでしょうか?少し解説してみたいと思います。
近年、甲州ブドウにはある物質が含まれている事が判明しました。その物質とは・・・
3-メルカプトヘキサノール(3MH)の前駆体
何やら難しい名前ですが(笑)、この3MHはパッションフルーツやグレープフルーツのような柑橘系の香りをもたらす物質です。そして前駆体とは、その物質が生成される前の状態を意味します。つまり、簡単に言うと甲州ブドウには、パッションフルーツや柑橘系の香りをもたらす物質がまだ香らない状態で存在しているのです。そしてこの前駆体は、発酵の過程で酵素によって3MHとなり、パッションフルーツや柑橘系の香りをもたらすのです。
しかしこの前駆体には、銅イオンと結合してしまう特性があります。そしてブドウ栽培には、昔から病害駆除として「ボルドー液」と呼ばれる殺菌剤が使われてきたのですが、実はこのボルドー液には硫酸銅が含まれているため、過剰に使用すると前駆体と結合してしまい、3MHによる香りが損なわれてしまうのです。
そこで、この3MHによる香りを損なわないようにするために、「ボルドー液」を使用しない「ノンボルドー栽培」の甲州ワイン、つまり「香り豊かな甲州ワイン(香り甲州)」が誕生したのです!(ちなみに、一番最初にこのタイプの甲州ワインを造ったのはメルシャンさんで「甲州きいろ香」と言う商品です。)
まあ、難しい話はこれぐらいにして、この香り甲州を飲む機会を私はずっと探していたのですが、ある日の食卓にこんなものが並びました。
ブリ!しかも、お刺身ではなくて「ブリしゃぶ」をするとの事でした。そこで、「ブリしゃぶ」を食べる時のポン酢をイメージして・・・
「香り甲州」をいただきました!まずはワインの香りからですが、やはり柑橘系の香りがしっかりと感じられて、その後ろに少し梨っぽいフルーティなニュアンスもありました。味わいは辛口ですがフルーティで、厚みのある酸味、そして中盤にはミネラル感と旨味も感じられるまろやかな甲州でした。
さっそく「ブリしゃぶ」と合わせてみると、ポン酢の柑橘とワインの柑橘系のニュアンスが同調し、また旨味のあるまろやかなワインの味わいが、脂の乗ったブリの旨味を引き立ててくれて、非常に良く合いました!この他にも、煮物や豚肉の炒め物なんかとも合わせましたが、どれも満遍なく合いました!
いつも甲州のワインを飲んで思う事は、どんな食事とも上手に調和してくれる、いわゆるフードフレンドリーなワインだな~と言う事です。特に和食との相性は最高だと個人的には思っています。こういうワインが常時家にあると、晩酌の時には非常に便利なものです(笑)。ぜひみなさんも、一家に一本は甲州ワインを常備してみてはいかがですか(笑)。そして、普通の甲州と「香り甲州」の飲み比べなんかをしてみても面白いかもしれませんね!
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