【書き起こし】第4回情報法制シンポジウム2 新型コロナ対策 「LINEの新型コロナウイルス対応」
【第4回情報法制シンポジウム】テーマ2「新型コロナ対策 官民のデータ連携・公益活用の実践と課題」※オンライン開催・参加無料 | Peatix
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報告1 「LINEの新型コロナウイルス対応」福島 直央(JILIS研究員・LINE株式会社公共政策室 室長)
いくつか取り組みをご紹介し、データ関係について、課題に見えてきたことを紹介する。
流行初期、日本では話がでず、中国で危ないと言われていた頃。
厚生労働省と協力してチャットボットをつかったFAQを提供した。
当時、コロナウイルスや新型肺炎といったものがどんなものか、どのようなときに感染するか。日本の状況や海外の状況について、厚生労働省などいろいろなところに電話がかかりまくっていた。それを減らしたいということで、LINEのチャットボットで、書き込めば回答が返ってくる仕組みを作った。
Webに掲載するものと違って自然文で質問できる。実際に意思に相談することもできるようにした。
ダイヤモンド・プリンセスで集団感染が発生。
DMATの方が乗り込んで支援していたが対応が追いつかない。だいたい乗客が4000人ぐらい載っていて、同サポートするかについて厚生労働省から相談を受け、LINEをインストールしたiPhoneを配り、さっきのFAQや心のケア相談、ご高齢の方の薬需要に対応する問い合わせ・手配を提供。
件数はあまり多くない印象を受けるかもしれないが、意外と深刻な相談も多く、結果的にはいろいろな助けになったと言われている。
最後に厚生労働省の方が清掃に入ったが、iPhoneにお礼の手紙が挟まっていたりしたとのことでよかった。
接触すればするだけ感染リスクが上がる中で、どれだけ遠隔で支援するかが大事だと考えた。
LINEみらい財団
休校した学生にむけてここで勉強ができるよというものを提供
こうしたことをしている間に日本でも流行が開始。
どうしたら流行を把握できるか、LINEとしてはなにができるか。
最初にやったのはパーソナルサポートアカウントの提供。
都道府県の運用するチャットボットを作成し、そのチャットボットから皆さんにアンケートが届く。
熱ありますか、息苦しくないですか、過去にそんな症状はありましたか、どこに住んでいますか。
この地域に発熱が続いている方が多い、ということが見えると、対応が必要なことを自治体として把握できる。
3/5にはじめ、6/17時点で26自治体で実施中。
実際にやってみて、保健所の検査結果と付き合わせるとちゃんと情報が見えてくることができた。
LINEではシステムを提供させていただき、データ分析は慶応大学の宮田先生のチームで実施しているが、三連休後に発熱する方が増えたことがわかる。
三連休で増えたという話があったが、それが、これを見ると明確に見えてくる。
身近な人で感染・発熱が多かったが、そういう人がいないのに感染している人が増えてきているということも観測できた。
26の自治体で展開しているがデータ提供ですごく大変だった。取得するデータが個人情報。発熱しているかの情報。
コロナ感染で深刻になるかどうかに既往歴が関わる。リスクが高いかどうかの情報も取っておかないと適切な案内ができない。でもそうすると要配慮個人情報を取ることになってしまう。同意を取らないといけない。
県が運用しているということは、各県の個人情報保護条例に沿ってやらなくてはならない。
神奈川県では、自治体の方に話を聞いて、じゃあこうしようと、有識者の話も聞いて、定めを作って始めた。
いいものができたということで別の自治体でやろうとしたが、個人情報保護条例が違って問題になった。
2000個問題というのをよく言っていたが、まさにここで引っかかった。
個人情報の定義が違う、要配慮個人情報が、神奈川県の条例にはあったが京都府の条例を見ると書いていない。定められていない。さてこれは?
若しくは個人情報の利用提供範囲について、この条件を満たしていれば同意を得なくても提供できる範囲というのがあった、神奈川は詳細に、8個とか定められていた。京都府をみると、6個しか書いていない。その6個の中を見るとこれはどう合わせればよいのだろうと言うものが出てきたり。
今までの答申をつかっていくのに累計答申をつかうが、神奈川にはある京都にはある滋賀にはあるのか?
データ観点で課題と感じたところ。
よくこれだけ作った。
同じ規約でそのまま行けるなら問題なく進められたが、途中途中でそれが止まることがあった。
国との関係でもっと大規模に調査したほうがいいのではないかという話をしたときに、厚生労働省が、情報提供に関する協定を結んで、厚生労働省に情報を提供してもらえませんかということを始めた。協定を結んで全国調査へ
私どもは最初、あの協定を見ると、協定の申込みを見ると、最初、既存データ若しくは新規データのどちらかを提供してくださいと書いてあるのだが、既存データを出せるか考え、同意をどうとっているかという話もあるので、難しいだろう、匿名化も難しい、匿名化しすぎると使えない。ここでは、新規のものを出そうという話になった。
今回取得して、そしてコロナの目的に置いてのみ使いますよ、かつそれを利用者から得た同意の範囲内において厚労省に提供する、LINEと厚労省は目的範囲内でのみ利用するとしました。
無償で、調査自体も提供もお金をとっていません。
どの時点で終了するかが難しく、何月何日と言っていいのか、いつの時点で感染対策が終わるかわからなかったので、厚生労働省が終了を宣言した時点で廃棄削除する形でやらせていただいた。
8300万人のLINEユーザーを対照に調査を実施。
当初2400万人程度から回答を頂いていたが最後には1800万ぐらい。平均2000万程度。
今まででやった中で国勢調査に次ぐぐらいのデータを、まる2日であつまると。そのデータを厚生労働省に提供し厚生労働省で分析し対策に使った。
結果を分析したもの
郵便番号も取っているのでもっと細かいデータを厚生労働省では使っているが、公表は都道府県単位にしています。
北海道が多かったり岩手県も多かったり。
その中でもこの辺は危ないのではというので実際にどの部分に対処するか検討し実行していた。
3密回避をどれぐらいしていますか、テレワークどれぐらいしていますかと言うのを調査すると、大3階に向けて三密回避、テレワークが進んでいることがわかっていた。
どういうスケジュール感でやっていたか。
厚生労働省FAQボットは実施決定から3日ぐらい。
ダイヤモンド・プリンセス号は端末確保含め5日ぐらい。
神奈川県は利用規約を定めるの含め10日ぐらい、それを1ヶ月かけて他の自治体に広げた。
全国調査も1週間もかけていない。
検討が不十分な点があったかもしれない。こんなやり方ならもっと簡単にできるという話もあるかもしれない。
こういうのをやるときに、一番困ったのは、社会的意義があるが、一方企業としては持っているデータを提供することで社会的意義があるが得られる利益はない。そのデータ出したの?というレピュテーションリスクのほうが心配になる。
この範囲で提供します、と規約とかを書いてやった。本当はもうちょっと簡単にできたかもしれない。ぜひ今日の議論で、こうしたら全国展開しやすかったのでは、このデータだせたのでは、という議論をさせていただいて次に活かす、またコロナの状況が終わったわけでもないのでこの間の中で使える知見が得られたらと思う。
私からは以上です。