【楽観】DeFiの定点観測【2020年11月】
ども。今日はDeFi(分散型金融)の定点観測をしていきます。
DeFiの定点観測とは・・・毎月のDeFi市場を定点観測していこうという企画です。
DeFiはまだまだ黎明期ですが、無限の可能性を秘めた業界だと思っています。
それでは行ってみましょう。
前回の記事はこちら。【落ち着く】DeFiの定点観測【2020年10月】
DeFiのファンダメンタルズ
まずはDeFi PulseのDeFiランキングを見ていきましょう。(11/20時点です)
TVL*(total Value Locked)は11.05Bから14.27Bに上昇!
*TVLとはDeFiにロックしている金額のこと
Maker Dominance(先月はUniswapでしたが今月からMakerに変わっています)は17.73%。まあいつも通り群雄割拠というところでしょうか。
DeFiPulse Indexは82.69から106.74に急回復!
TVLの向上は人々のDeFiに対する信頼性の裏返しで、DeFiへの信頼度が少しずつ上昇していることを意味します。
DeFi Pulse Index(DPI)はDeFiPulse独自のインデックス価格です。詳細は有料欄に書いたので興味のある方はそちらをどうぞ。
サービサー別TVL
次にDeFiのサービス別TVLランキングです。
1位Maker、2位WBTC、3位Compoundです。
先月は1位Uniswap、2位Maker、3位CompoundだったのでUniswapの一人負けですね。「今月のDeFiニュース」でも取り上げますが、Uniswapのキャンペーンの終了が影響していると思われます。
Uniswapの代わりにSushiswapが6位に順位を上げています。それ以外にはHarvest Financeあたりが順位を上げていますね。
今月のDeFiニュース!
DeFiのここ1ヶ月のニュースを独断と偏見で取り上げて解説していくコーナーです。
今月は結構暗いニュースを中心に取り上げてみました。
UNI祭り終了、SUSHIがTVLをかっさらう
先月までTVLナンバー1だったUniswapですが、11月17日に大盤振る舞いキャンペーン(UNIの配布)が終了しました。
UNI配布終了の影響はけっこう大きく、UniswapのTVLが一気に1位から5位まで下落しました。
またUniswapのフォークプロジェクトであるSushiSwapがUniの終了に合わせキャンペーンを行い、UniswapのTVLを引き抜きに成功したのもその一因です。
UniswapからUni farm終了したTVLを引き寄せるべく、Sushi側でもそれらのプールにインセンティブを寄せてきた https://t.co/bWbyOPZfWL
— 信玄🐣 (@shingen_crypto) November 16, 2020
Uniswap VS Sushiswapの仁義なき戦いがはじまっています。
どちらが競争に勝つのか、はたまた第3勢力が勝つのか、AMM(Automated Market Maker)業界は熾烈な競争が繰り広げられています。
注目しましょう。
Credが連邦政府に破産を申請
米国拠点にレンディングを提供していたCredが破産申請
2週間前から入出金は停止
資産0.5〜1億ドルに対し、負債1〜5億ドルと言われており、顧客の資金回収は難航が予想
レンディング利用するなら、10%の金利を得るためのリスクをしっかり認識、納得の上で
Not your keys, not your Bitcoin です https://t.co/QVvmNZUTTM
— Teruko (@TerukoNeriki) November 9, 2020
仮想通貨レンディングのサービスを行っているCredが破産しました。
Credの負債額は最大5億ドルで、顧客の資金回収はかなり難しそうとのことです。
Credは直近まで元気に営業していたようです。僕はCred自体全然知りませんでしたが、日本人にも被害にあわれた方が多数いるようです。
またCredの破産についてはいくつか危険な兆候があったようです。
(参考記事)レンディング企業のCredが破産申請
この方は資金引き上げに成功したようですが、はっきり言ってプロの所業だと思いましたw(僕にはこんな神回避みたいなことできませんw)
今月の不正流出
DeFi関連の不正流出が多すぎるので、「今月の不正流出」のコーナーを作ってみました。
Harvest Financeが不正流出:フラッシュローンの脆弱性を悪用
DeFiプロトコルHarvest Finance、2400万ドル相当が不正流出
10/26ごろ、DeFiのアグリゲーターサービスを行っているHarvest Financeが不正流出の被害に遭いました。今回の攻撃はフラッシュローンの脆弱性を利用した攻撃のようで、被害額は2400万ドル(約25億円)とのことです。
フラッシュローンは一時的に担保なしで借入できるため革新的なサービスな一方、たびたび不正流出が起きています。
というのも、Harvest FinanceだけでなくValue DeFi ProtocolやAkropolisでも同様の被害が報告されています。
10月下旬にHarvest Financeのフラッシュローン攻撃の被害にあった身として
-フラッシュローンとは-攻撃のまとめ-現状のDeFiの課題-そもそも攻撃者はハッカーなの?
という観点で久々にコラムっぽく記事を書きました。是非とも読んでください〜。https://t.co/Jf2AbULkzZ
— Shingo Arai / アラタ(arata) @ CRYPTO TIMES (@cry_curr_ar) November 16, 2020
ちなみにHarvest Financeについてはコミュニティ投票によってIOUトークンが発行が決議されました。発行されたIOUトークンは被害者の救済に当てられる模様です。
Poll has closed with 71.93% in favor of creating a tradable IOU token. The next poll will center around the Uniswap market for the IOU token (IOU/FARM or IOU/USDC). pic.twitter.com/wbFRr5Lujf
— Harvest Finance (@harvest_finance) October 31, 2020
Pickle Financeが不正流出:複数のコンポーネントをまたいだ攻撃
DeFiプロジェクトPickle Finance、20億円相当の仮想通貨DAIが不正流出
11/17にPickle Financeがハッキング被害に遭いました。被害額は2000万ドル弱(約20億円)です。
Pickle FinanceはYearn.financeと似た仕組みで、DeFiプロトコル間で資金移動させて利回りを最大化するイールドファーミングを提供しています。(一部サービスはYearnのフォークです)
記事によると、Pickle Financeには「Jar(瓶)」というCompoundを利用して作成された資金プールがあり、このJarが偽物のJarにすり替わっていたことからDAIが不正流出したようです。(相当複雑な手口のようです)
また、こちらの被害についてPickle Financeは被害の補償を行わないことを発表しています。
Pickle FinanceのDiscordによると、$20Mが奪われた被害に対して、資金を返済するIOUトークンの発行はしないとの事
理由は成長を阻害するため
IOUを発行するHarvestやDeFi Valueとの違いとして、コミュニティが発言する場がなく中央集権な事
資金を失った方はお察しします。ガバナンスは大事…
— Da-🐣 (@otukarehitoiki1) November 23, 2020
不正流出の被害者に対する弁済より自分のサービスの成長を優先させる姿勢には正直首を傾げざるをえませんね。
個人的にPickle Financeは今後一切使わないと思いますw
Origin Protocolのステーブルコインが不正流出
ステーブルコインプロジェクトOriginDollar(OUSD)、7億円相当の暗号資産が流出
一方で被害者が救済されたのがこちらの流出です。分散型eコマースのOrigin Protocolのステーブルコイン Origin Dollar(OUSD)がリエントランシー攻撃によって不正な資金流出の被害に遭いました。被害額は約7億円です。
リエントランシー攻撃とは複数回「Enter」等をクリックすることによってプログラムを複数回呼び出し繰り返し資金を引き出す攻撃のようです。
こちらの被害についてはOrigin Protocolが100%補償を行うことをすでに発表しています。
After the $OUSD hack, we are committed to making our users whole. Regardless of whether we are able to recover the lost user funds, we will be releasing a compensation plan to provide compensation equal to 100% of the value deposited to OUSD over time.
— Origin Protocol (@OriginProtocol) November 20, 2020
不正流出の被害にあってしまったことは残念ですが、Pickle Financeと比較するとOrigin Protocolの姿勢には好感がもてます。
補償の詳細は後日発表されるようです。続報を待ちましょう。
おわりに
以上、今月のDeFiでした。
今月は暗いニュースが多かったですが、各種指標は回復しDeFiトークンの価格も回復傾向です。
勢いが続いてほしいのは勿論ですが、セキュリティリスクに対して不感症にならないように気を付けることが求められているような気がしています。
有料エリアではDeFiPulse Index(DPI)について解説しました。ご興味のある方は購入いただけると嬉しいです。