泡がMORI MORI
昔、「夢がMORI MORI」と言う番組があったのをご存じですか?フジテレビ系列で毎週土曜日の23:30から翌0:00まで放送していたバラエティ番組です。森脇健児、森口博子、SMAPなどが出演していて、キックベースなどをするのですが、森口博子が歌うテーマソングの「夢がMORI MORI~」と言うフレーズは今でも耳に残っています。
さて、なぜ急にこの番組を思い出したのかと言うと、この日は珍しく泡盛を頂く機会がありまして、泡盛を眺めながら「泡盛、泡MORI、泡がMORI、泡がMORI MORI…」と連想ゲームのように膨らみ、いつしか「夢がMORI MORI~」と口ずさんでいました(笑)。
と言う事で、今回は知っているようで実は知らない泡盛について書いてみようと思います。
まずは、泡盛と言ってみなさん思い浮かべるのはやはり沖縄でしょう。実際に、泡盛は沖縄を代表する蒸留酒です。しかし、酒税法上は焼酎のカテゴリーに分類されています。では、他の焼酎と区別するための定義とは一体何なのでしょうか?以下に簡単にまとめてみました。
- 米を原料とすること
- 種麹に黒麹菌を使用すること(原料に含まれるでんぷんをアルコール発酵が可能になる糖分に変える為の糖化という工程に必要)
- 全量麹仕込みであること(通常、日本のお酒は麹に主原料を加えて造られる。例えば、日本酒や米焼酎は麹に米を加える、芋焼酎は麹に芋を加える、麦焼酎なら麹に麦を加える。しかし、泡盛は米に黒麹菌を繁殖させて造った米麹のみを使って造られる)
- 蒸留には単式蒸留器を使用すること(蒸留器には単式蒸留器と連続式蒸留器がある)
この4つが泡盛の定義です。恐らく、勘の良い人なら気づかれていると思いますが、実はこの定義の中にはどこにも「沖縄」の文字がありません。つまり、この4つの定義さえ守っていれば、沖縄でなくても泡盛を名乗るお酒が造れる訳です(実際に、沖縄県産以外の泡盛も流通していたようです)。
そして、過去には「泡盛」と言う名称そのものが名乗れなかった時代もあったのです。そのあたりも含めて、次は泡盛の歴史について触れてみたいと思います。
泡盛の歴史は、お酒の蒸留技術の日本への伝播により生まれます。この蒸留技術の日本への伝播に関しては、様々な説がありますが、最も有力な説はシャム国(タイ国)から15世紀頃に当時の琉球王国(沖縄)に伝わったとする説です。この時に、蒸留器、タイ米(実は、泡盛のほとんどが今でもタイ米を原料に使用)、貯蔵用の甕などがもたらされ、そして琉球地方に存在する黒麹菌と出会い、泡盛が誕生したとされています。
その後、泡盛は徳川家の献上品の中にもその名前が記される事もあったようで、元禄年間(1688~1704)頃には、琉球産のお酒に関しては泡盛と言う名称が定着していたようです。
しかし、その後第二次世界大戦を経て、1972年にアメリカの統治下から沖縄が本土に復帰すると、泡盛は酒税法上の「焼酎乙類」に分類される事になり、泡盛なのに酒類表示には「泡盛」と言う名称を名乗れなくなってしまいます。昔から泡盛として親しまれてきた物が、急に焼酎乙類と言われて、造り手も消費者もかなり困惑したと思われます。
その後、1983年に「一般に慣熟した呼称があるもの」として認められ、例外表示として「泡盛」が使用出来るようになりました。そして同じ年に、沖縄で造られた泡盛と他県産の泡盛を区別する為に、沖縄県産の泡盛には「本場泡盛」と表示出来るようになりました。
更にその後、1995年には地理的表示として「琉球」が認められ、1999年から「琉球泡盛」と言う呼称の利用を開始し、2004年には「琉球泡盛」への呼称の統一方針が打ち出されました(現在は「本場泡盛」より「琉球泡盛」の呼称の方が主流)。ちなみに、我が家にある泡盛はこんな感じです。
もう一つはこちら。
あれ、これ「琉球泡盛」って書いてないやん!偽物か!?と思ったら、
ちゃんと裏面に「琉球泡盛」の表記がありました(ある意味、他県産の泡盛も気になりますが(笑))。
最後に、泡盛と言う名称の由来についてですが、これにはいくつかの説があるようです。例えば、サンスクリット語で酒を意味する「アワムリ」から来ているとする説や、タイ米が原料として使われる前は米と粟が使われており、「もり」と言う酒を意味する古語と合わさり、「粟もり」から「泡盛」になった説などがあります。
しかし最も有力な説は、蒸留の際に導管から滴る蒸留液が受壷に落ちる時に、泡が盛り上がる状態を見て「泡盛る」となり、そこから「泡盛」となった説です。つまり・・・、
「泡がMORI MORI」なんです!(ちゃんとタイトルの伏線を回収しました(笑))
「夢がMORI MORI」から泡盛へとかなり強引な流れでしたが、なんとかまとめてみました(笑)。泡盛に関しては、もう一つ書いてみたい事があるので、また機会をみてまとめてみたいと思います。沖縄に行きたくてもなかなか行けそうもないので、みなさんも泡盛でも飲みながら沖縄の風を感じてみてはいかがでしょうか?