21年8月のLightning Network重要ニュースまとめ
Diamond Handsプロジェクト発表と立ち上げをしてからすでに3ヶ月弱が経過しました。
定期的にDiamond Handsのルーティングに関するアップデート記事を書いていたのですが(ちょっと最近アップデート出来てませんが)、今月からニュース、トレンド、技術など複数の観点からレポート的な形での情報発信も増やしていこうと思っています。
なお、今までやっていたDiamond Handsプロジェクトへの参加ノードへのビットコイン報酬配布も今後も継続していく予定ですが、現在資金の確保や、ビットコイン報酬の引き上げを目指して裏で色々調整、動いているので、少々お待ち下さい。個人的に最近仕事の整理や引き継ぎなどが上手く進んだのもあり、色々またゴリゴリやっていくのを楽しみにしています。
というわけでまずは8月の重要Lightningニュースまとめと、簡潔な所感の紹介から行きます。他にもLightninngのキャパシティのトレンド分析と小川さんのノード運用の技術分析記事もすぐに公開予定です。
ちなみにLightning系のニュースの理解はルーティングと何が関係あるんだろう、思う人もいるかもしれませんが、これは大アリです。
Lightningのルーティングを効果的にするには、常に新しいLappsやウォレット、利用者が多そうなサービスのノードなどを予測して、チャネルを拡大していく必要があります。その点でもニュースをちゃんと追っておくことで、どこにLightningの需要が落ちていそうか、今後出てきそうか、などの戦略を立てられるようになります。
8月の重要Lightning Networkニュース
Umbrel v0.4リリースと新しいフルノード経済圏出現の予兆(08/05)
Umbrel v0.4が公開され、今までのビットコインとLightningのフルノード&ウォレット機能の提供に加え、クラウドホスティングや写真のバックアップなど、ビットコイン関連以外の機能を簡単に拡張するアプリの提供を始めました。
Umbrelのチームの発表記事にも書いてありますが、これはビットコインのフルノードを超えたパーソナルサーバの運用という非常に大きなテーマ、流れになる可能性があると思います。ラズベリーパイなどの常時稼働のパーソナルサーバを保有する人が増えると、ビットコインという資産を安全にプライバシーが高く管理できるだけでなく、個人的なデータやパスワード、デジタルアイデンティなどを第三者を信頼せずに自分で管理し、Lightningのマイクロペイメントと組み合わせることで、新しいより分散化、プライベートなインターネットを実現出来るポテンシャルがあります。
まだまだUmbrelは不安定な部分もありますし、このビジョンの実現は容易なものではないですが、Umbrelの利用者は世界的に増え始めており、今後ビットコインのフルノードで今まで出来なかったことがどんどん拡張されていくトレンドや意義というのは注目に値すると思います。
ライトニングネットワークを用いたフルノード電話公開(08/10)
こちらもLightningのフルノードの機能を拡張させるアイディアで、Impervious APIというサービスを使い、フルノード同士でP2Pで直接電話が出来るプロトタイプが公開されていました。
ノード同士の直接の電話機能自体が流行るかどうかは別として、このようにP2Pな形でよりプライバシーや検閲体制の高い機能が簡単に作れるようになったのはすごく個人的には印象的で、Umbrelのアップデート同様、今後フルノード保有者だけがアクセスできる分散型のサービスが増えていくことを予感させます。
Substack、OpenNodeを利用し、Lighting Networkによる決済を導入(8/23)
Substackはクリプト界隈でも人気のニュースレタープラットフォームですが、Lightningのペイメントプロセッサー大手のOpenNodeと連携して、サブスクリプション支払いのオンチェーンとLightning両方に対応しました。
ビットコイン払いをする時は、クレジットカードのように毎月自動引き落としではなく、1年間などまとめて支払わなくてはいけないのが若干マイナスですが、ビットコイン関係のニュースレター提供者はビットコイン支払いに対して自主的にディスカウントを提供している人が多いようです。
ビットコイン支払い機能はまだ一部のクリエイターのみに公開されているようですが、ビットコイナー反省会などでもこれを機に動画のコンテンツと絡めたニュースレターを始めたいなーと思っています。
BitcoinリワードアプリFoldは2022年末までにライトニングをフル統合(8/23)
こちらもOpenNodeが絡んでいますが、ビットコインをキャッシュバックするビットコインデビットカードで人気のFoldが、キャッシュバックををLightningのウォレットにそのまま引き出せるような機能の提供を近く始める予定だと発表しました。
Foldはアメリカではすでにかなり人気になっており、モバイルアプリのユーザー数もすでに50万人を超えているそうです。個人的には日本でも似たようなビットコインキャッシュバックデビットカードは需要があると思いますし、どこかがそのうち提供し始めるでしょう。
NayutaCoreウォレット機能の大幅アップデート(8/25)
ノンカストディアルなLightningモバイルウォレットのNayuta Coreがアップデートされ、大幅に機能やUIが改善されました。
今まで提供していたゲームとの接続と、ノンカストディアルな形でのストリーミングペイメント(自動支払)に加えて、自分でチャネルを開設したり、オンチェーンとLightning支払い機能両方に対応も可能になり、スタンドアローンなLightningウォレットになりました。
Nayuta Coreに関しては自分も一部開発に関わっているので若干バイアスはありますが、ビットコインウォレットしては特徴的でわかりやすいUIと、自動ペイメント機能はやはり重要だと思います。
特にこのストリーミングペイメント機能を自分が別途開発したLightning Crushでも活用していますが、裏でウォレットを稼働させておくことで、ゲームをするだけで自動的にリアルタイムに1サトシ単位のビットコインを受け取れるのは新しい体験だと思いますし、すでにこの要領で1ヶ月ちょっとで10万以上の小さなTxをCrushだけでも発生させています。
Twitter社、ライトニングネットワークのチップサービスをベータテスト(9/1)
TwitterがLightningのチップを導入するという話は以前から言われていましたが、少しづつその概要がリークされ始めています。
それによればチップの利用にはStrike社のウォレットとの接続が必要な可能性が明らかになりました。ただし、StrikeはカストディアルでKYCも必要なサービスであり、一部の地域でしかアクセスできないいこともありこれには批判や懐疑的な見方も一部すでに出ています。自分もKYC前提のLightning利用はTwitterとしてもあまり相性がいいとは思いません。
ただし、その後その他のウォレットとも接続できる、などのコメントも関係者から出ているようで、若干まだどういう形でLightning実装するかは不明です。
TwitterとLightning統合はいずれにせよLightningに関してはかなり大きなニュースですし、単純な投げ銭利用だけではなく、新機能のSuperFollower(ツイートの有料サブスクリプションサービス)にもLightning払いを採用することも示唆しているようなので、個人的にもこれは期待しています。
とりあえず8月の重要ニュースとして注目したものは以上です。また9月前半はエルサルバドルのビットコイン法定通貨化とLightning支払い運用開始という非常に重要な動きも始まっているので、次回はその辺についても考察しようと思います。
また、小川さんのLightningノード運用の技術レポートや、Lightning上のキャパシティのトレンド分析記事などは、別途Spotlight上で公開するので、そちらも是非読んでください、
また、今回紹介したImpervious APIやその他技術関連の詳細は、ビットコイン研究所(有料版)の方でも詳しくコラム形式で解説されているのでより深い部分に興味がある人はそちらも覗いて見てください。