【調べ物】アルゴリズミックステーブルコイン:FRAX FINANCE

【調べ物】アルゴリズミックステーブルコイン:FRAX FINANCE

CoinDeskの記事「The Quest for a Truly Decentralized Stablecoin」を読んだらアルゴリズミックステーブルコインの世界が面白そうだったので、上手く機能してそうなFRAXについて調べた備忘録。
Curveのプール接続もあり、まだ「完全に理解」してすらいないので誤っている点はご指摘ください。

ウェブサイト:https://frax.finance/
Document:https://docs.frax.finance/
GitHub:https://github.com/FraxFinance/frax-solidity

プロジェクトの動機

法定通貨や暗号資産などの担保資産を用いたステーブルコインがある中、UniswapとAMMに着想を得て、市場価格に応じてアルゴリズムでUSDCの担保比率を調整・法定通貨ペッグ型ステーブルコイン(USDC)とアルゴリズミック型ステーブルコインのブレンドを行っている。こうすることで、過剰担保を解消しつつ、その管理コストを削減した純粋なオンチェーンマネーを目指している。

 

トークン構成

Frax…アルゴリズミックステーブルコイン
Frax Shares(FXS)…ガバナンストークン、mint・償還時の手数料、 シニョレッジ収益・超過担保価値

 FXSによるガバナンスの対象となるパラメーターには、担保プールの追加/調整、さまざまな手数料の調整(ミンティングや償還など)、および担保比率のレートの更新

積極的に担保を管理したり、人間が変更可能なパラメータを追加したりすることは、自発的に新しい実装に完全に移行する必要があるハードフォーク以外にはできません。

 

(FRAXの価格推移)

https://www.coingecko.com/ja/%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%B3/frax
2020年12月から始まり、Ampleforceのようなアルゴリズミックステーブルコインがハイボラティリティの一方、FRAXは価格が安定している。 

(FXSの価格推移)

発行から暫くは不安定だったが、2021年5月以降は微増傾向


マルチチェーンへの展開

各チェーン上のdappsに統合されているよう。

  

価格の安定化機能

FRAXの需要が高まるにつれて、後述する担保比率の調整機能が働く。コントラクト上で1FRAX=$1(担保比率に応じたUSDC + FXS – 手数料分のFRAX)で償還できる。これが払い戻し約束の役割を担う。
また、下記のように市場に裁定機会が生まれることで$1への調整が期待される。

1FRAX=$1以上への乖離時
プロトコルにて$1で入手したFRAXを、公開市場にて$1以上で売却する裁定機会となる。

担保率に応じたUSDCとFXSの組み合わせでmintが出来る。担保として差し出したFXSとしてBurnされるため、交換時にFXSが売り圧に晒された点をFXSの発行量減少と相殺する。 

1FRAX=$1以下への乖離時の投資家行動
公開市場にてFRAXを$1以下で入手し、プロトコルにて$1(担保比率に応じたUSDC + FXS)で償還する。このとき、例えば即座に100%USDCに戻したい場合などにFXSが外部に十分な流動性を持っているかどうかは重要である。

 (償還画面)

0.827USDC(執筆時点で$0.8258422) + 0.040FXS(執筆時点で$0.158)償還のFeeがFRAX建てとして差し引かれる。

なお、上記のように、FRAX=$1の目標に応じてFXSの流通量と価格に影響が生じる。

 (Collateral ratioの推移)
ゆっくりと減

 

 FRAXの発行量は増えている。
2021年6月26日以降にmintが急増しているがCollateral ratioには影響はない模様。

 

担保比率の調整

担保比率更新機能
プロトコルの担保比率更新機能(The collateral ratio refresh function)は、任意のユーザーが1時間に1回呼び出すことが出来る。
この関数は、FRAXの価格が1ドルを上回っている場合、または下回っている場合に、担保比率を.25%のステップで変更。

(contracts/Frax/Frax.sol)

このあたり?

 FRAXが$1を超えると、関数は担保比率を1ステップ下げ、FRAXの価格が1ドルを下回ると、関数は担保比率を1ステップ上げる。リフレッシュレートとステップパラメータの両方は、ガバナンスを通じて調整できる。 

Buybuck(買い戻し)とRecollateralize(再担保化)による担保資産の価格調整

前述の担保比率の変動により、FRAXの買い入れ時に生じた担保と差が生じる。これらの解消に「Buybuck(買い戻し)」および「Recollateralize(再担保化)」の機能が設けられている。

 

Buybuck(買い戻し)
担保超過となっている場合は、FXSを差し出し(=Burnされる)して担保となっているUSDCを買い戻すことが出来る。自社株買いをモデル化している。

Recollateralize(再担保化)
逆に担保不足になっている場合はUSDCでFXSを購入できる。その際に付与されるFXSにはボーナスレート(.20% ガバナンスで調整される)が設定され、目標比率までの担保補填を促す。
https://docs.frax.finance/fxs-buybacks-and-recollateralization

価格メカニズム

FRAX-V2

Collateral Investor AMO(Algorithmic Market Operations Controller)
…担保のUSDCはAave、Compound、Yearnで流動性提供に利用される。これらのプロトコルはFRAXで大規模な償還があった際に備え、待機期間なく即座に引き出せるプロトコルが選定されている。これら資金の運用は即座に償還に扱えるため、Collateral Ratioには反映されない。これらCollateral Ratioを上回った投資収益は、FXS1559に基づいてFRAXのmintに用いられ、mintされたFRAXはFRAX-FXS UniswapペアでFXSの購入に用いられる。

購入したFXSはBurnされるため、FXSの価格上昇圧力になり、FRAXプロトコルの担保比率低下、ペッグを強固にする作用が働く。

 (他プールでのUSDCの運用状況)

 

ガバナンス

Snapshotを利用してFXSトークンホルダーによりvote
Forum:https://gov.frax.finance/
Snapshot:https://snapshot.org/#/frax.eth 

Distribution

コミュニティ  65%– 65,000,000 FXS
チームと投資家 35%– 35,000,000 FXS うち12%が初期投資家。2020年8月に初期ラウンド。2%はローンチ時にロック解除、5%は最初の6か月間、5%は1年間。
長期に分配して

進捗

最後に、Fraxは不可知論的なプロトコルであることに注意することが重要です。市場が長期的にどのような担保比率に落ち着くかについては何も想定していません。完全にアルゴリズム的である0%の担保を備えたステーブルコインにユーザーが単に自信を持っていない場合があります。プロトコルは、その比率が何であるかについて何の仮定もせず、代わりに、FRAXの価格を1ドルにするために市場が要求する比率を維持します。たとえば、プロトコルが60%の担保比率にしか到達せず、FRAX供給の40%のみがアルゴリズム的に安定化され、その半分以上が担保によって裏付けられている場合があります。プロトコルは、より多くのFRAXの需要とFRAX価格の変更の結果として、担保比率を調整するだけです。FRAXの価格が1ドルを下回ったとき。プロトコルは、信頼が回復し、価格が回復するまで、再担保し、比率を増やします。FRAXの需要が再び増加しない限り、比率を無担保化することはありません。FRAXが完全にアルゴリズム化されたものの、市況の要求に応じて実質的な担保比率に再担保される可能性もあります。この決定論的で反射的なプロトコルは、裏付けのないステーブルコインに対する市場の信頼を測定するための最もエレガントな方法であると信じています。以前のアルゴリズムによるステーブルコインの試みでは、1日目にシステム内に担保がありませんでした(そして、いかなる方法でも担保を使用したことはありませんでした)。このような以前の試みは、1日目のアルゴリズムのステーブルコインに対する市場の信頼の欠如に対処していませんでした。Fraxが固定されているUSDでさえ、世界的に有名になるまで法定通貨ではなかったことに注意してください。”

https://docs.frax.finance/price-stability

・Collateral Ratioの低減(USDC依存の低減)は大目標
・外部プールでの流動性確保のために繋げている感じ?
・USDCを非中央集権型(バスケット型など)に変えることに課題意識があるようだけれども、良い手があるかどうか。
・Tornado Cashによる匿名性も視野に入っているよう。

その他

AMO Specs
「Decollateralize - Mints FRAX into money markets. The CR does not lower by the amount of minted FRAX directly since all borrowed FRAX are overcollateralized.  」
Decollateralize – CompoundやらCREAMにFRAXを貸し出して金利収入を得るために,mintすると。借りたFRAXはすべてオーバー担保されているため、鋳造されたFRAXの量だけCRが直接下がることはありません。

 大きな額のmintが貸付時に出来るということ?全体発行量はキャップされているけど市場流通が早まる?

FRAXの担保に現在時点で15%のFXSが含まれているので、この価格に対して大口売却→下落からの取り付け騒ぎというIRON的シナリオを避けたいところ。

Curveにくっつけてやるぜ!というのもやっているらしいけれども今回はスキップ。

まだアルゴリズミックステーブルコインまだ何もわからん。

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