現代貨幣理論(MMT)とは

現代貨幣理論(MMT)とは

なぜMMTの記事?

最近は仮想通貨界隈でもMMT(Modern Monetary Theory)に興味を持つ人が増えているため、この記事を書くことにしました。仮想通貨界隈ではMMTは不人気であり、特にビットコイナーからは激しく批判されることが多いです。しかし、必ずしも正しい理解に基づいた批判ではないこともあり、まずは正確にMMTとは何かを理解することが重要と考えます。


租税貨幣論

MMTを理解する際にはまず、貨幣はなぜ人々に受け入れられているのかについて知る必要があります。ただの紙切れである1万円札に対してなぜ人々は価値を感じるのでしょうか。
MMTでは租税貨幣論に基づいて貨幣を分析しています。租税貨幣論とは税が貨幣を流通させるという理論です。具体的にどういう意味かを以下で説明します。

政府はまず国民に対して税を課します。これは一方的かつ強制的に行われます。実際税金を支払わない場合、懲役または資産を差し押さえられてしまいます。
政府は税を課す際、自国の通貨で税金を支払うように設定します。日本の場合ですと日本円です。国民は生まれながら納税という債務を持っており、この債務を解消するために日本円を必要とします。
よって日本円および税金は以下のように分類されます。
国民にとって、日本円は資産、税金は負債。
政府にとって、日本円は負債、徴税権は資産(債権)。

なお時系列は、
1.政府が国民に日本円での税金を課す。
2.国民は税金を支払うために政府に対して労働力を供給し、日本円を受け取る。
3.政府が徴税権を行使して日本円を回収する。
となります。国民はもちろん政府支出以上の日本円を支払うことはできないため、総政府支出>総徴税額が常に成り立ちます。

総政府支出>総徴税額が常に成り立つということは政府は恒常的に黒字を出すことは出来ないことを意味します。したがって、このフレームワークでは必ずしも政府の赤字は非難の対象とはなりません。

租税貨幣論はあくまで貨幣が成り立つための十分条件であり、必要条件ではありません。ヤップ島の石貨のように税による強制力が及ばない貨幣も存在します。しかし現代の高度に発達した国家はすべからく税を国民に課しており、租税貨幣論が成立します。

上記の議論で読者の中には納税のために日本円が欲しいと思ったことはないと主張するかもしれません。実際、ほぼすべての国民は毎月の給料から自動的に税金が差し引かれており、納税する感覚が薄くなっていても不思議ではありません。その結果、貨幣を商品の交換のための特別な商品として見て、貨幣は貨幣だから貨幣であるという共同幻想こそが駆動力であると感じてしまうのかもしれません。


政府はデフォルトしない

租税貨幣論では政府支出は回収する税金によって制限されていないことが分かりました。

政府は自由に貨幣を創造できることから、国債はあくまで政府のポリシーとして金利を受け取る手段を提供しているだけであり、政府は支出を拡大する際に追加で国債を発行する必要はありません。
(政府と日銀の統合政府で考えております。現実には政府が増税せずに支出を拡大させるには国債を発行し、プライマリーディーラーがそれを落札し、それを日銀が購入するというフローとなります。)

政府は自国通貨建ての債務に対してデフォルトすることはありません。元本および利子を支払うときにその分だけの円を刷ることによって必ず返済することができます。
したがって、政府の支出においての制限はインフレーションのみとなります。円を刷りすぎた場合は急激なインフレになるリスクが存在します。よって政府は支出および税金を調整することによってインフレをコントロールします。
政府支出の拡大・税率の引き下げ→インフレに貢献する。
政府支出の縮小・税率の引き上げ→デフレに貢献する。


資産と負債はコインの裏表

会計上すべての金融資産の反対には金融負債が存在します。例えば銀行預金は家計の金融資産、銀行の金融負債です。国債や社債は保有者にとっては金融資産、発行体にとっては金融負債です。
経済を公共セクターと民間セクタに分けます。このとき公共セクターの金融資産-金融負債>0の場合、民間セクターの金融資産-金融負債<0となり、合計すると0となります。経済全体の金融資産-金融負債=0となるのは会計上明らかです。
したがって、もし政府が恒常的に黒字を達成した場合、民間セクターは恒常的に赤字となります。民間セクターがトータルで金融資産を保有するには政府が負債を抱える必要があります。この負債が貨幣および国債となります。


MMTの政策

以上を踏まえた上で、MMTは税率の変更および政府支出の拡大・縮小でインフレ率をコントロールすることが可能であると主張します。現在の日本のように恒常的なデフレ状態が続く場合、MMTは減税または政府支出の拡大をすることによってインフレを引き起こすことを推奨します。


ビットコインはデジタルコモディティ

ビットコインなどの仮想通貨は金融資産ではありません。なぜならその反対に負債が存在しないからです。
仮想通貨は金や原油などのコモディティに近く、コモディティの一種と考えるのが適切です。過去においてコモディティが通貨に使用されたことがあるため、ビットコインなどの仮想通貨が将来通貨になる可能性を否定することにはなりません。よって、現在ビットコインはなにかと聞かれた場合はデジタルコモディティであると答えるのが最も現状をうまく表していると考えます。


最後に

MMTの解説は以上となります。もし本記事を読んでMMTをより深く理解したい読者には以下の本をおすすめします。
MMT現代貨幣理論入門
https://www.amazon.co.jp/MMT%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E7%90%86%E8%AB%96%E5%85%A5%E9%96%80-L%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%A4/dp/4492654887

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