紀元前7世紀からの「普遍的な価値の概念と貨幣化」の歴史|古代ギリシャから代理AI時代における普遍的価値の脱構築まで

紀元前7世紀からの「普遍的な価値の概念と貨幣化」の歴史|古代ギリシャから代理AI時代における普遍的価値の脱構築まで

■紀元前7世紀〜紀元前4世紀

・古代ギリシャの原始社会においては、共同体における生贄の部族への均等な分配(儀式/政治制度)といった「普遍的な価値の概念」が確立されていたことで、社会/経済的価値が発明されており、紀元前7世紀から文字や数字、会計が普及したことをきっかけに紀元前6世紀には貨幣が社会技術として定着することとなった。

※生贄は野蛮な行為である一方で、共同体における社会的価値の測定、分配を古代ギリシャにおいて標準/定着化させており、共同体社会における普遍的な価値のものさし(概念)として機能していた。

・メソポタミアにおいても文字や数字が存在し、より高度な会計の仕組みが構築されていたが、官僚主義的な経済システムであったために「価値の概念」に普遍性はなく、それぞれの社会階層において限定的でさまざまな価値のものさし(概念)によって社会は運営されていた。

・古代ギリシャでは紀元前6世紀のアテネやサモス島において、貨幣単位「ドラクマ」が使用されていた形跡が残されており、普遍的な価値単位による記録とその価値の譲渡性(個人間での債務の相殺など)によって貨幣(経済的価値の表象)は新しい社会技術として社会の発展を促進することとなった。

・貨幣にとって「普遍的な価値の概念」と文字や数字、会計は必須条件であり、古代ギリシャでは紀元前5世紀頃から神話的な主観的世界ではない科学的な世界観が誕生し、客観的な社会的現実を人々は理解できるようになった。

・貨幣の発明は、人々をより公平な自由競争へと導き、日常的なモノの売り買いから国家予算までを1つの社会技術で規定できる社会システムを構築した。紀元前4世紀頃の古代ギリシャには硬貨を発行する鋳造所が100ヶ所ほど作られることとなった。

・伝統社会においては社会階層の固定化など、安定のために人々の自由を制限しており、「金がすべて」であることが社会を大きく変革したことで、古典的な神学や倫理による社会システムは終焉を迎えることとなる。

■紀元前4世紀〜紀元8世紀

・中国では、紀元前4世紀に斉の桓公が、優秀な学者や思想家を集めたシンクタンク「稷下学宮」を設立し、お金を主権国家による統治機能の一部とする貨幣思想(書物「菅子」)を完成。

・紀元前175年の漢王朝では文帝がこの貨幣論を無視し、「人民が私的に貨幣を発行する」ことを認めたことで、政治的な混乱を引き起こすこととなった。

・主権国家が通貨発行権を独占し、貨幣によって国家の統治能力を強化することは、紀元前4世紀の中国においてその源流を確認することができる。

・主権者が存在する貨幣制度は、政治的権限の独占や統治機能の強化を前提としており、規模の拡大に応じて共同体における理想論よりも主権者の都合が優先される構造的な欠陥も存在している。

・各共同体においては独自の「普遍的な経済的価値の概念」を小規模な範囲で人々が信用できることを前提に相互信用ネットワークなど、独自の貨幣/社会制度の構築もある一定の範囲では可能とされる。

※プライベートマネーや地域通貨に関する議論は、クレディト(アルゼンチン)、ブリクストンボンド(ロンドン)、イサカアワーズ(ニューヨーク)、WIR(スイス)Lightning Networkなどを参考に別途調査を行う。

・ローマ帝国崩壊後のヨーロッパ(紀元3-8世紀前半)においては、社会構造そのものは部族主義等への伝統的なあり方に回帰したものの古代ギリシャを発祥とする「貨幣と経済」による「普遍的な経済的価値の概念」が根付くこととなった。

■まとめ

市場帝国主義などお金による支配と権力闘争は紀元前6世紀頃からその源流を確認することができます。👍

近代国家における自国通貨の独占的な支配による弊害から近年においては、国家/貨幣制度のリサイズ化や代替通貨の採用、共同体経済への回帰といった傾向も確認されており、「普遍的な経済的価値の概念」の歴史においては、「伝統社会⇆貨幣化」のサイクルの1つとも想定されます。

一方で、デジタル技術(代理AI・ブロックチェーン技術)の登場によって、非生物との信用レイヤーや貨幣制度、社会契約の構築についても検討する必要があるのかなと思われ、これは非常に難解ですね。😂

Ex:

・代理AIによる自律世界と現実間のガバナンス|現実・オンチェーン・仮想レイヤーにおける貨幣制度、信用の設計

現実:人間-代理AI(非生物 ※物理ロボット?も含む)

現実-仮想:人間-代理AI(非生物)

仮想:代理AI(非生物)-代理AI(非生物) 

※電脳世界、肉体と精神(意識)の分離:ここまでくると普遍的な価値の概念って必要ない…?

逆説的に「普遍的な経済的価値の概念」そのものが発明されない、貨幣による社会運営(政治的権限の独占や統治機能)そのものが必要とされない社会についても考察を行っていければと思いますが、現在における国家や貨幣の課題自体は、「普遍的な経済的価値の概念」の歴史における「伝統社会⇆貨幣化」の範囲の議論にとどまるのかもしれません。

国家/貨幣制度のリサイズ化や代替通貨の採用、共同体経済への回帰 + デジタル技術(代理AI・ブロックチェーン技術)による非生物との信用レイヤーや貨幣制度、社会契約の構築

= 代理AIによる自律世界と現実間のガバナンス|現実・オンチェーン・仮想レイヤーにおける貨幣制度、信用の設計

とかになるとわりとダイナミックな仮説検証ができるかもしれません。

代理AI時代における普遍的価値の脱構築とは🤗

■参考文献

21世紀の貨幣論

https://honto.jp/netstore/pd-book_26356568.html

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