金を積立で買うならどこがお得か?
今年の初めごろから金の積立を検討していて、各社のコスト比較を行っていました。
金を買えるところは色々あるけど、手数料やスプレッドが微妙に違って、各社比較するのはなかなか手間ですよね。
それでもいろいろがんばって情報を集め、主な企業10社の手数料や特徴を比較検討したので、最近の高騰で金を買いたくなった方にも参考にしていただけると思い今回紹介してみます。
なお各種の数値は予告なく変更になっている可能性があるので、このブログの数値はあくまで参考値として使用してください。
では表を見ていきましょう。
会社名 | 年会費(円) | 保管料(円) | 購入手数料(%) | 売却手数料(%) | スプレッド(円) | スプレッド手数料換算(%) | ネット完結 | ドルコスト平均法 | 自動引落 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SBI証券 | 0 | 0 | 2.2 | 0 | 80 | 1.231 | ○ | ○ | ? |
楽天証券 | 0 | 0 | 1.65 | 0 | 78 | 1.200 | ○ | ? | ☓ |
マネックス証券 | 0 | 0 | 2.75 | 0 | 111 | 1.708 | ○ | ☓ | ☓ |
住信SBIネット銀行 | 0 | 0 | 2.5 | 0 | 93 | 1.431 | ○ | ○ | ○ |
岡安商事 | 3300 | 0 | 2.5 | 0 | 33 | 0.508 | ☓ | ☓ | ○ |
KOYO証券 | 1500 | 0 | 0 | 0 | 66 | 1.015 | ☓ | ○ | ○ |
田中貴金属工業(3000~29000) | 0 | 0 | 2.5 | 0 | 87 | 1.338 | ○ | ○ | ○ |
田中貴金属工業(30000~49000) | 0 | 0 | 2 | 0 | 87 | 1.338 | ○ | ○ | ○ |
田中貴金属工業(50000~) | 0 | 0 | 1.5 | 0 | 87 | 1.338 | ○ | ○ | ○ |
三菱マテリアル(~10000未満) | 880 | 0 | 3.1 | 0 | 87 | 1.338 | ☓ | ○ | ○ |
三菱マテリアル(10000円以上) | 880 | 0 | 2.6 | 0 | 87 | 1.338 | ☓ | ○ | ○ |
徳力本店 | 1100 | 0 | 0 | 0 | 87 | 1.338 | ☓ | ○ | ○ |
岡藤商事 | 3000 | 0 | 0 | 0 | 30 | 0.462 | ☓ | ○ | ○ |
どんな会社があるか
金が買える会社は大まかに証券会社、マテリアル系の会社、商社などがあるようです。証券会社系はネットに強いが証券口座を開かなければいけない場合が多く、会社によって現物引き出しができるできないなどの違いもあります。
それぞれのサイトへのリンクを貼っておきます。
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
住信SBIネット銀行
岡安商事
KOYO証券
田中貴金属工業
三菱マテリアル
徳力本店
岡藤商事
手数料について
金を売っている会社は手数料とスプレッドで儲けています。逆にいうと金を買うときのコストは主に手数料と、スプレッドということです。
手数料の中でも多くを占める購入手数料は購入金額に対して一定の割合で掛かる手数料です。消費税みたいなものですね。
会社によっては月の積立金額の大小によって購入手数料が変動する方式を採用しているところがあります。三菱マテリアルや、田中貴金属がそれですが、積立金額が高いほうが手数料は安くなります。沢山買ってもらったほうが会社は儲かりますからね。
つまり、自分が月にいくら積み立てるかによって手数料が得になる会社は変わってしまうのです。
高い金額を毎月積み立てようとして、途中で家計が苦しくなって金額を減らしてしまうと手数料が割高になる場合もあるので、自分が無理なく購入を続けられる金額を計画的に選ばなくてはいけません。
スプレッドについて
スプレッドは売り買いの提示金額の差額です。スプレッドは見えないコストになってしまいがちなのでスプレッドを勝手に手数料に換算した項目を表に追加しました。
つまり「スプレッド手数料換算」の項目は私が勝手にスプレッドにどれくらいのコストがかかっているかを算出したもので、会社のサイトに掲示されているものではありません。
計算式は、売値、買値の中央値で購入し売却した場合に比べて、スプレッドがあることで購入金額の何%のコストがかかったかで算出しています。計算式は簡単。金価格は6500円としました。
<スプレッド手数料換算> = <スプレッド> ÷ 6500 × 100
ただしこの値はあくまで参考値に過ぎないので注意が必要です。金価格が変動したり流動性が変化すると、スプレッドは変更になる可能性が高いですし、実際変動しています。
その他項目について
- 細かく表に入れることができなかったので省略したが、年会費・保管料が0としている会社でも契約条件によって手数料がかかる場合もあるので注意が必要。積立の契約であればかからないところが多いが実際に契約する前に確認してくださいね。
- ネットで完結できるかどうかも選ぶ基準にしたので表に加えている。登録するのに家に書類が送られてきてはんこを押して返送するなどの手続きは面倒だ。実際に契約してはいないので公開されている登録手順だけをみてネットだけで契約が完結できるかどうかを確かめている。
- 「ドルコスト平均法」というのは積立購入の場合にドルコスト平均法を使って購入してくれるサービスがあるか否かである。チリも積もれば山となるので、一応参考にした。
- 「自動引落」ができるかどうかも重要だ。積立の場合は自分が積み立てているかどうか忘れていても勝手に積み立てられているのが理想だ。いちいち振り込むのは精神的ハードルが高すぎる。
税金
税金はみんなが思っている以上に金額が高い、非常に重要な要素なので確認しておきましょう。
金の売り買いを短期的に繰り返して所得を得た場合は雑所得とみなされますが、通常、金の積立は譲渡所得とみなされます。
譲渡所得の中でも、購入してから売るまでの期間が5年以内であれば短期譲渡所得とみなされますが、5年以上であれば長期譲渡所得とみなされ、それぞれ課税対象が異なります。
課税対象額の計算は以下のようになります。
短期譲渡所得の課税対象額
<売却益+その他利益> − 50万円(控除額)
長期譲渡所得の課税対象額
(<売却益+その他利益> − 50万円(控除額) )÷ 2
なんと、長期譲渡所得になれば課税対象額が半分になるのです。
なので積み立てるのであれば5年以上を念頭に行なうべきでしょう。
年間購入コストを比較する
最初の表を使って金の積み立てに掛かる年間のコストを出して比較していきます。積立金額は月2万円、3万円、5万円の三種類で比較します。5万円以上であれば手数料などはそれほど変動しないのでこれで十分です。
会社 | 手数料合計(月額20000) | 手数料合計(月額30000) | 手数料合計(月額50000) | 備考 |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | ¥8,233.85 | ¥12,350.77 | ¥20,584.62 | 価格乖離があるかも |
楽天証券 | ¥6,840.00 | ¥10,260.00 | ¥17,100.00 | 価格乖離があるかも |
マネックス証券 | ¥10,698.46 | ¥16,047.69 | ¥26,746.15 | 価格乖離があるかも |
住信SBIネット銀行 | ¥9,433.85 | ¥14,150.77 | ¥23,584.62 | |
岡安商事 | ¥10,518.46 | ¥14,127.69 | ¥21,346.15 | |
KOYO証券 | ¥3,936.92 | ¥5,155.38 | ¥7,592.31 | |
田中貴金属工業(3000~29000) | ¥9,212.31 | |||
田中貴金属工業(30000~49000) | ¥12,018.46 | |||
田中貴金属工業(50000~) | ¥17,030.77 | |||
三菱マテリアル(10000円以上) | ¥10,332.31 | ¥15,058.46 | ¥24,510.77 | 預かり方法によって保管料がかかる https://gold.mmc.co.jp/howto/mgp/keep.html#storage_fee |
徳力本店 | ¥4,312.31 | ¥5,918.46 | ¥9,130.77 | 徳力プレミアムで年率0.1%~地金を増やすことができる。5~300gは売却手数料も掛かる |
岡藤商事 | ¥4,107.69 | ¥4,661.54 | ¥5,769.23 | 子会社が行政処分を受けている |
手数料の計算に使用したのは年会費、購入手数料、スプレッドの手数料換算のみです。
見てください。圧倒的に「岡藤商事」「徳力本店」「KOYO証券」が安い結果となりました。ここらへんの会社は年会費はかかるが、スプレッドと手数料が非常に安いです。ただしネットには強くないので悩ましいところです。岡藤商事は子会社が過去に行政処分を受けているのもちょっと気になります。
ネット完結させたいとなると3万円以下であれば楽天証券が安く、5万円以上であれば田中貴金属工業が安くなります。ただし楽天証券は現物を引き出すことはできません。楽天証券によると保管企業が倒産した場合も資産は保全されるということですが、とはいえ、真の安全資産を追求するならば、やろうと思えば現物を自分で保有できるというのは魅力的です。同じ証券系でもSBI証券は現物で引き出しが可能です。
結局、自分の月々の積立金額が決まっていればだいたいコストは決まってくることがわかるので、ネットでの完結や、現物にできるかなどそれぞれ自分の重視する観点で会社を選ぶのがいいでしょう。
備考に「価格乖離があるかも」と書いたのは金地金の価格と売買価格がずれているなあということですね。なんでなのか深堀はしていないですが、例えば7/22日現在地金の価格を反映している田中貴金属工業の地金価格とSBI証券の価格は結構違います。
(理由がよくわからないので、そもそも乖離なのか、こういうものなのかも不明)
まとめ
結論です。
1. 自分が5年以上むりなく続けられる範囲で積み立てる月々の金額を決める
2. その上で手数料合計を比較する
3. 自分が重視する観点で購入する会社を決める
というのが良いでしょう。実際にサイトを訪問してどんな感じか見てみるといいと思います。
番外編
全く違う選択肢として、金ペッグの暗号通貨を購入するということも可能です。
Tether Gold (XAUT)という名前で、Bitfinnexなどの海外の暗号通貨取引所で購入することができます。
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/tether-gold/social/
1XAUTは1トロイオンスの金の延べ棒に紐付けられており、デジタルなトークンとして扱うことができます。
利点は、自分で金の所有権を管理できるが、物理的な保管コストを支払わなくてすむ点や、暗号通貨取引所の比較的安い手数料で購入できる点。板取引可能なので狭いスプレッドで購入、売却できる(流動性が十分にあればですが)。などの点が挙げられえるでしょう。
ただし、取引所の破綻リスクや、発行元であるテザーの破綻リスクも織り込まれてしまうので(いわゆるGOXリスク)、安全資産として所有するには懸念点も残ります。
公式サイト https://gold.tether.to/
海外の取引所でのXAUTの購入は自己責任でお願いします。
おまけ
最後にどうでもいいおまけとして、購入してくれた人になやんだ末に私が結局選んだ会社を紹介しておきます↓
(トップ画像はPexelsのMichael Steinbergによる写真)